rinのリーガとスペインサッカーについて語るブログ

ラ・リーガとスペインサッカーについて気軽に書きます。内容めっちゃ浅いです笑 アトレティコのファンです。

ラ・リーガ7節プレビュー

1、初めに

 皆さんこんにちは。よろしくお願いします。

 この2週間皆さんはどのようにお過ごしでしょうか。私は大学が始まり、中々に忙しい日々を送っております笑 今節までは全試合視聴&プレビューを作れましたが、今後は中々難しいことも増えてくるかもしれません。できる限りやっていきたいと思いますので暖かく見守っていただければ幸いです。

2、ラ・リーガ6節レビュー

 代表ウィーク前、序盤戦最後の試合となった第6節。今節最大の注目試合となったのは言わずと知れたデルビ・マドリレーニョ。アトレティコの本拠地 シビタス・メトロポリターノで行われたこの試合。まずスタメン発表の時点で驚きが1つ。バルサとの契約の関係で今季は60分以降からの出場が続いていたグリーズマンがフェリックスと並び2トップの一角として初先発。モラタを控えに置く形でスタート。序盤からテンション高く入ったのは、ホームチーム。左肩上がりのハイプレスで良い形で回収。ヴィニシウス、フェデのスピードに対してはジョレンテ、レイニウドが対応。チャンスを作った。しかし、ここで動じないのがマドリー。落ち着いてこれをシャットアウトすると、一瞬の好機を見逃さず、2点を追加。後半はしっかりとボールを握ったローテンポの試合に持ち込み、ロヒ・ブランコの反撃を1点で抑え快勝。唯一の6連勝で序盤戦を走り抜けた。昨季のエル・クラシコではベンゼマ不在により、チームが壊れ惨敗を喫したが、この試合のアンチェロッティ率いるチームは一味違った。ここで今節のPick up Playerの紹介。それはデルビにおける個人的MOM ロドリゴ

 この試合、これまでの試合に引き続きベンゼマの代わりにデランテーロの位置に入ったロドリゴはタイミングの良いスピード感ある抜け出しで、裏を狙い続け相手DFを攪乱。それによって出来たスペースをフェデやモドリッチが活かす形がチームとして確立されていた。1点目のシーンも最初に裏に抜けたのはヴィニシウスであったが、かあ地としては同様。ヴィニシウスの裏抜けでDFラインを下げ、それによって出来たスペースからチュアメニがループパス。そこに2本目の矢として裏に抜けてきたロドリゴが沈めた。今夏エンバぺの獲得に失敗し、またベンゼマの後継者問題もしきりに叫ばれているマドリー。しかし、ここ最近のロドリゴのパフォーマンスはそれらのネガティブ要素を一気に払拭するほどの大きな期待感を感じさせるもの。昨季、完全覚醒を果たしたブラジルの先輩 ヴィニシウスに続き、今季を彼のシーズンとすることで一気にトップスターダムに乗っかりたいところだ。

 その他バルサは最下位エルチェに快勝。ビジャレアルvsセビージャのヨーロッパ出場組同士の対戦は1vs1ドロー。ラ・レアルは久保の活躍もあってエスパニョールに勝利。ベティスはジローナに辛勝。それ以外の結果は下記画像の通り。また今節のベスト11(控え組込)も下記参照でお願いします。

 

3、ラ・リーガ7節プレビュー

1、アトレティック・クルブ vs アルメリア

 ホーム アトレティックは前節ラージョをサン・マメスに迎えての1戦。バルベルデvsイラオラというかつての師弟対決となったこの試合、アトレティックは3vs2で勝利。ハイプレスを前提とした強度の高いフットボールを志向する当該両チームだけあって、激しい攻防の中でチャンスシーンも多い、見ごたえのある試合となった。その中でアトレティックはミスからの序盤の失点を引きずらず、相手の裏を取ってからの打開で3点を記録。良い形で代表ウィークに入ることに成功した。試合を重ねるたびにバルベルデフットボールは浸透いてきており、その中でイニャキやニコ、ベレンゲル、サンセといったタレントもそれぞれの良さを見せるようになってきた。今節の相手であるアルメリアは直接対決で6戦5勝1分と未だかつて敗北のない相性の良い相手。再開初戦、サン・マメスで勝ち点3を挙げて、今後の厳しいヨーロッパ出場権争いへ勢いをつけたいところだ。注目選手はイニゴ・マルティネス

 今夏、契約延長問題で騒ぎを起こしたイニゴ。一時期はバルサへの移籍がまことしやかに囁かれていたこともあったが、結局はまとまらずに残留。今後大きな変化がない限りは今季を持っての退団となる。開幕以来、負傷により出遅れていたイニゴだが復帰するとさすがの安定感を披露。ラージョ戦ではカメジョに前に入られてしまい、先制点に繋がるミスを犯し、また2失点目はファルカオに一瞬マークを外されるなど、得点に繋がるミスが2本あったが、それ以外の場面では小気味よい供給とカバーリングでチームの勝利に貢献した。この代表ウィークは出遅れの影響もあってラ・ロハからは落選。ラポルト、パウと絶対的な左利きCBが2枚いる中で、右利きCBを差し置いてまでイニゴを入れたいと思わせることが出来るか。残り2か月超で自身の価値を証明したい。


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アウェイ アルメリアの6節はマジョルカとの一戦。この試合ではトゥレやラザロといった新戦力をスタメンに起用。532の形に再び戻し、悪い流れからの脱却を狙ったが、結果は0vs1の敗北。この敗戦をもってサディクの退団以来、3連敗という成績となっており、非常に苦しい状況が続いている。今夏に獲得した多くの選手は局所的には良いプレーを見せているものの、それがチームとして継続的に活かせているかと言われるとそうではなく、ここを早くフィットさせない限りはこの厳しい状況は簡単には変わらないだろう。ルビがどういう布陣を持ってどんなフットボールを展開するのか。妥協した中途半端な形ではなく、彼の志向するフットボールを形にしていく方が、個人的には好転するようにも感じている。注目はロドリゴ・エリー

今年3月、冬にノッティンガム・フォレストを退団して以来、未所属になっていた中でアルメリアに移籍。以来CBの一角として、ルビからの信任を得ている。アラベス在籍時以来となっているプリメーラの舞台でも存在感を発揮しており、5バックの中央で引き締めつつ、時折の縦パスでビルドアップにも貢献。アルメリアのDFリーダーとして君臨している。そんな彼がこの試合どのようなパフォーマンスを見せられるか。強烈なスピードを持ったアタッカーが複数かかえるアトレティックにスピードな若干の課題を抱えるエリーがどのような対応を見せてくれるのか。注目だ。


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2、カディス vs ビジャレアル

 ホーム カディスの6節はバジャドリーの本拠地 ホセ・ソリージャに乗り込んでの1戦。バルサ戦に続き、4411気味の布陣でトップ下にソブリーノを置いた形は、それなりに機能。もちろん相手との力関係はあるものの、しっかりとボールをつないでいくセルヒオ体制以降のカディスらしい、フットボールが展開できるようになった。その一方で課題が残ったのはクロス対応の部分。サイドのボールホルダーに対する圧が弱く、またCBのルイス・エルナンデス、チュストの2枚はクロス対応に秀でたタイプではないため、ヴァイスマンやモンチュなどに中で合わせられるシーンが目立った。レデスマの好セーブに救われたものの、1,99というバジャドリーxGが示すように、2点ほどは取られてもおかしくない展開であり、この部分は修正が間違いなく必要なところだ。それでも敵地での1vs0での今季初勝利の持つ意味は大きく、この代表ウィーク明けから良い流れを作っていきたいところ。相手はビジャレアルと超難敵だが、昨季ホームでは処理した相性の良い相手。勝ち点3を狙いたい。注目はルベン・ソブリーノ

 昨季、バレンシアから加入すると特に終盤にかけて、アレホやサルビ・サンチェス(現ラージョ)とは異なるタイプのアタッカーとして活躍したソブリーノ。今季は開幕には出遅れたものの、復帰以来先述のように、トップ下のような位置に入っている。バジャドリー戦では前に入るルーカス・ペレスの付近を衛星的に動きながら、チームの攻撃を牽引。更にビルドアップにおいてタイミングよく引き出し手となってあげるなど、ボール出しの局面でも素晴らしい存在感を魅せた。アルカラスやアレックスの復帰である程度、縦パスが入るような状況を再び作ることが出来るようになったカディス。その中で受け手としてソブリーノがどのようなプレーを見せることが出来るのか。注目だ。


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 一方、アウェイ ビジャレアルの6節はセビージャをシウタ・デ・バレンシアに迎えての1戦。前節ヘタフェ相手に不覚を取っただけに、勝ち点3が欲しい試合だったものの、結果は1vs1のドロー。不調のセビージャ相手に勝ち点1で留まる結果となってしまった。ジェラール・モレノを負傷で欠いたこの試合、ビジャレアルはロチェルソを中に入れ、コクランを左に回す昨季のジェラール離脱時と同じ形になったが、これは30分でロチェルソが負傷を負ったことで終了。バエナが代わりに起用された。攻撃面ではロチェルソ時、バエナ時共に一定の内容を見せた一方で、課題が残ったのはそこではないポイントでの守備。そのポイントは右SHに入るチュクウェゼ。ベティス戦でも途中出場ながら、逆サイドからのクロスに対して大外を空けてしまったチュクウェゼ。そんな彼はこの試合でも、守備を怠ることが多く、対面のアクーニャに起点を作られるシーンが散見された。同ポジションのライバルであるジェレミ・ピノは最終ラインに吸収されて後ろで5を作るといったタスクを担っているほど、守備での計算が立つだけに、余計にチュクウェゼの守備は悪目立ちしている。ここをどのようにエメリが考えるか。可変の形を変えるのか、ピノをより重要視するのか。ここは見どころだ。注目選手はアルナウトダンジュマ

 ECLで昨季のリヴァプール戦以来の復帰を果たしたダンジュマ。ECLではPKや1vs1を外してしまい、まだ本調子ではないことは明らか。それはセビージャ戦でも垣間見ることが出来た。だからこそ、この代表ウィークによる休息は非常に大きい。もちろん約5カ月公式戦から離れていたことを考えても、そう簡単に元の調子に戻るかは怪しいところ。しかし、ジャクソンの台頭、モラーレスの加入があった中でもダンジュマのエリア内での存在感は別格。ジェラールがおそらく負傷の影響でまだ合流できないことから、ダンジュマには得点面にこだわって期待したいところだ。彼本人としても移籍報道が流れ、またW杯に向けてもオランダ代表当落線上の立場。ビジャレアルへの愛とW杯へのアピールのためゴールという結果でその気持ちを示したい。


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3、ヘタフェ vs バジャドリー

 ホーム ヘタフェの5節はオサスナ相手に勝利。好調オサスナ相手にエル・サダールに乗り込んでの1戦ということで、厳しい試合になることが予想されたが、その予想を良い意味で裏切り2vs0の完勝となった。もちろんその背景には前半の内にチミー・アビラが退場したことも大きく影響しているとはいえ、それでも苦しかった序盤戦を連勝という形でブレイクにまで持って行ったことは、今後戦っていくうえで非常に大きい。更にこの試合では司令塔として期待されるルイス・ミジャがヘタフェデビュー。デビュー戦は途中出場で2枚イエローを受けての退場とほろ苦いデビューとなってしまったが、実力は確かなだけに、今後の活躍に期待したいところ。チームとしては、WBを高い位置に張らせることで幅を取り、それを中盤の展開で生かすという昨季やっていた形が復活しており、良い循環が生まれていた。選手は揃っているだけに、この形を引き続きできれば、ここからの上昇は容易だろう。注目選手はドミンゴス・ドゥアルテ

 今季グラナダから加入した元ポルトガル代表のドゥアルテ。一昨季までは中小クラブの中ではトップレベルのCBとして存在感を放っていたが、ケガの影響もあり昨季からパフォーマンスは低下。スタメンすら危ない状況まで落ち込み、グラナダ降格の一因にもなってしまった。そんな状況からの脱却を図り、W杯への滑り込みを狙うためヘタフェに加入した今季。しかし、開幕から3バックの左で使われたドゥアルテのパフォーマンスレベルは上がらず。右利きであることによってのビルドアップでの窮屈さ、また守備時でもポジショニングのミスなど不安定なパフォーマンスが続いていたのだ。この悪い流れが劇的に変わったのが、幸か不幸かDFリーダーを務めていたジェネの負傷離脱。これにより右CBに回ることなったドゥアルテは安定感あるプレーを披露。ヘタフェのDFラインをしっかりと支えている。その影響もあってチームもドゥアルテのポジション変更以来連勝。今の良い雰囲気を創り出している。この試合の相手であるバジャドリーも調子こそ上がっていないものの、タレントは揃っており危ないシーンも多くなることが予想される。その中でドゥアルテがどこまでDFラインを支えることが出来るか。完全復活に期待したい。


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 アウェイ バジャドリーの6節はカディス相手にホームで痛恨の敗戦。サイドからのクロス攻撃を主体に、多くの決定機を作り、XGは2.21を記録するなどカディス相手に終始優位を保ちながら、得点だけがついて来ず。結果アディショナルタイムにゴールを許し、勝ち点0となってしまった。これで連敗。開幕6戦で1勝1分4敗と厳しい成績となっており、昇格組の中では、最も低い降格圏の18位に留まっている。もちろん、まだまだ序盤であり、ここから巻き返しは如何様にも効く段階だが、より問題なのは成績ではなく、内容面。タレント力はありながら、そのタレント力のみに頼ったフットボールを展開しており、それを上回るものを作れていないのだ。これはパチェタ監督以前から継続して残っている問題点であり、中々改善されない部分。その原因は不明だが、ここを変えない限り、大きくチームが上向くことはないだろう。今節はヘタフェの本拠地 アルフォンソ・ペレスに乗り込んでの1戦。なんとか勝ち点を奪うことで、残留に向け、良い勢いを作っていきたい。注目選手はモンチュ


 ラ・マジア出身の彼はグラナダを経て、昨冬ローンという形でバジャドリーに加入。今夏に買取が行使され、正真正銘バジャドリーの一員としてプレーするようになった。開幕戦ではピボーテの位置に置かれ、ゲームメイクを任されていた彼だが、彼の魅力はその部分でなく運動量の豊富さ。グラナダ時代からプレス回数の多さが話題になるなど、その能力を見せていた彼。カディス戦でもインテリオールの位置で使われると、ヴァイスマンの陰に飛び出し、クロスに合わせつつ、守備時にはダイナモとしてプレッシングをかけ続けた。足元で受けることが好きな選手が多いバジャドリーにとって、動きながらラ・マシア仕込みの適切なポジショニングができるモンチュは貴重な存在。彼の活きる形をチームとして確立させ、継続していきたいところだ。


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4、セビージャ vs アトレティコ

ホーム セビージャの6節はビジャレアルとのアウェイゲーム。5節に続き、今季初の連勝を狙ったセビージャ。この試合ではラメラの不在もあって、久しぶりに右のSHにヘスス・ナバスを起用する驚きの布陣でスタート。ホセ・アンヘル、キケ・サラスといったカンテラーノは残した上で、微調整を行った。このロペテギの策は序盤は機能。大外に張るヘスス・ナバスは、サイドチェンジの際のターゲットとして一つボールが収まるポジションとなり、そこにイスコやオリベルが飛び込んでくる形は何度か惜しいチャンスを生み出した。実際、先制点のシーンも、この流れからビジャレアルの隙をついた形。また守備面でも左肩上がりで左ラテラルのペドラサが高い位置を取るイエローサブマリンに対して、ナバスがついて行き守備時は一時的に5枚を作ることでしっかりと所謂5レーンを管理した。しかし、それだけで勝てるほど相手は甘くなかった。昨季CLベスト4に輝いたウナイ・エメリの率いるチームは個での剥がしと、それぞれのタイミングの良いポジショニングで徐々にセビージャを圧倒していき、最終的なXGは2.2vs0.5という結果に。それでもなんとか耐えたセビージャは敵地で勝ち点1を拾うことに。そしてこの1は解任寸前であったロペテギを少なくともこの代表ウィークのブレイク期間では切らないという選択をすることになった。立て直しとなるこの試合、フロントの期待に応えるような戦いぶりを見せることができるか。まだ序盤だから〜で済ませられる時間はもう終わった。今節の注目選手はネマニャ・グデリ

   

 本来ピボーテの位置を本職とするセルビア代表は昨季からクンデ、ジエゴ・カルロスの不在時にCBとして起用され、安定したパフォーマンスを見せるように。怪我の多かった2人の穴を感じさせないプレーを常時見せた彼は、昨季のセビージャを語る上で欠かせないプレーヤーの1人となっていた。そしてその2人が完全に離れた今季、ここまでの試合ではやはり本職ではない以上物足りなさが残るプレーが続いていたが、前節は素晴らしい出来。相手の攻撃を最後の局面でしっかりと体を張り、防ぎ続け相手の決定機を何本も防いだ。その結果、この試合のベストプレーヤーにも選出。新戦力2人が時間がかかりそうな今、既存戦力で中心となれるのはやはりグデリであり、彼がどこまでこのパフォーマンスを維持できるかでセビージャの目指す順位も変わってくる。リーダーとしての活躍を期待したい。


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 アウェイ アトレティコの前節はホームでのデルビ。これまでご存じ契約問題の関係で60分からの出場となっていたグリーズマンをスタメンとして起用するなど、この試合に臨むアトレティコ及びシメオネの覚悟が感じられる試合ではあったが1vs2で敗戦。XG、ポゼッション、シュート数いずれもで相手を上回りながらも、一瞬の隙をマドリーに突かれ前半で2失点。その後はペースを落とし、ボール保持に比重を置いたマドリーにゲームを支配され、終盤に自分たちの流れを得、1点を返すもののエルモソの退場で勝負有り。この試合、アトレティコの選手たちのモチベーションは非常に高く、それでいて高まったメンタルを良い具合にコントロールできているというベストに近い状態でありながら、マドリーに完全に上回られることになってしまった。このショックは大きく、内容、スコア以上に完敗と言える試合だ。これでレヴァークーゼン戦に続き公式戦連敗。恒例となってはいるがシメオネの退任を求める声も再び増え始めており、開幕戦の良い雰囲気は何処へやらという状況。この状況を何とか上向かせるためにもブレイク明けのこのセビージャ戦。敵地とはいえ勝点3が求められる。注目選手はアンヘル・コレア


 昨季12G5AとG+Aでチームトップの成績を残したコレア。しかし今季はモラタの復帰、グリーズマンの台頭などもあり、リーガでの先発出場はわずか1回。それもターンオーバーを用いたセルタ戦のみとなっている。しかし、デルビでも存在感を発揮したように、出ている時のプレーは素晴らしいものがあり、チームとしてこのプレイヤーを控えにおいておくのは非常に勿体無いところ。現在の苦しい状況を劇的に変えられるだけの選手であり、より序列を上げた起用に期待したいところ。サンチェス・ピスファンでは2019年1月より勝利のないアトレティコに勝ち点3をもたらすことができるか。注目だ。


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5、マジョルカ vs バルセロナ

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ホーム マジョルカの6節はアルメリアをホームに迎えての1戦。バタグリアの欠場もあって、ガラレタ、グルニエ、アントニオ・サンチェスの3枚を並べた中盤はボール保持の部分で大きな存在感を見せた。その中でも特にグルニエは、今季初の左IHとして起用されると、上手くライン間に顔を出し、そこからテクニックを活かしたチャンスメイクで相手にとって脅威となっていた。その一方でやはりこの3枚だと守備面の不安が多少なりともあるのはまた事実。ピボーテの位置に入ったガラレタはフットボールIQが高く、守備も上手い選手ではあるが、バダクリアに比べるとフィジカル的に大きく劣る。そのため、アルメリア戦でも、ガラレタの前で選手が彼を背負いながら受け、ライン間を強引に狙いに行くと言うシーンが垣間見られた。現在のマジョルカの中盤はここまでにあげた4人に加えて、イドリス・ババ、ダニ・ロドリゲスといった質を保証できるプレーヤーを抱えており、相手に合わせてどう組み合わせていくか。注目だ。今節の相手はバルサ。マドリー相手に健闘しながら最終的には1vs4となった反省を活かし、ホームで勝ち点をもぎ取りたいところだ。注目選手はジャウメ・コスタ


 バレンシアビジャレアルを渡り歩いたベテランももう34歳。キャリア晩年といえる段階に入ってきた。しかし、今季のマジョルカではその老いを感じさせないプレーを披露。好調のチームを支えている。彼に与えられているタスクは守備時には5バックの左大外として対応しつつ、攻撃時には、チームで1番高い位置を取り、幅と深さを担保。このことで相手のラインを押し下げ、また広げ、結果イガンインやグルニエなどにスペースを作ってあげている。この背景にあるのはジャウメ・コスタ自身がフリーでボールを受けれた場合、しっかりと違いを作るクロス等での貢献ができると言う点。この事で相手DF陣は彼を放置しておく事はできなくなっているのだ。このバルサ戦ではいつものタスクに加え、相手WGとの守備対応という部分も求められる。ラフィーニャになるかデンベレになるか、フェランになるか。いずれにしても攻守両面での大きな貢献に期待したい。


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アウェイ バルサの6節はカンプ・ノウでエルチェに3vs0の勝利。ディフェンスに全てを賭けるというレベルで比重をかけ入ってきたエルチェだったが、14分で早くもDFリーダーのベルドゥがDOGSOにより退場。バルサは終始1人多い状況でゲームを進めることができ、危なげない試合展開で勝利することができた。そんなこの試合ではメンフィス、フレンキーのオランダ代表コンビが活躍。普段は控えの立場に甘んじている2人が自分たちの能力の高さを改めて見せつけることに。健全な形で質の良い競争は続いており、バイエルン戦の敗北こそあったものの、そこから立ち直り、良い雰囲気を作ることができていると言えるだろう。今節の相手はマジョルカ。マドリーとの対戦を見る限り、54ブロックを敷いて低いラインで来ることが予想できる。代表に行ったメンバーも多く、この後のミッドウィークにインテル戦があることを考えても、どれだけ省エネで勝点3を挙げられるか。この部分にこだわりたいところ。早い時間帯での先制点が重要になってくる。注目選手はアンス・ファティ


 このブレイク期間、多くの選手が代表として活動したバルサ。更にはその中で負傷者が続出。代表ウィークに対して恨み節を言いたくなるような最悪の期間になってしまった。そんな代表ウィーク中、代表に選出されずチームに残ったのがアンスだ。ルイス・エンリケ代表監督からの信頼は得ているものの、続いている負傷の影響もあって、今回は見送りとなったアンス。それだけに休養は十分取れていると思われる。鮮烈デビューを飾ってから早4シーズン目。年齢も19とまだまだ若手ではあるが、そろそろもう一つ上の段階に行きたい年齢にもなってきた。2度の長期負傷離脱があっただけに無理だけは禁物だが、今季は結果を残したいところ。先述の代表に関しても、ルイス・エンリケは常に彼を気遣う発言をしているが、その一方で結果を出さなければ選出はもちろんない。バルサの10番としてその才能を見せつけることができるか。期待したい。


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6、エスパニョール vs バレンシア

  ホーム エスパニョールの6節はラ・レアル相手に1vs2で敗戦。セビージャ戦に続いて連敗という形で代表ウィークに入ることとなった。ここまでの試合の中でカブレラ&セルジ・ゴメスの2人はビルドアップ面での難、守備時の判断ミスなどが散見されており、それを嫌ってかディエゴ・マルティネスはその2人にカレロを加えて5バックの形に。しかし、比較的余裕を持ってカブレラやカレロが持っていたとしても、そこから効果的に差し込むようなパスは殆どなく、結果としてサイドプレーヤーが1枚減ったことで、WBが孤立してしまうシーンが散見される事態に陥っていた。CBの質不足は深刻であり、ボール保持を行っていくにはかなりの無理がある現在のエスパニョール。そうなると、残された手段はリトリートからのロングカウンターしかない。幸い今節の相手であるバレンシアはボール保持にこだわりたがるチームであり、幸か不幸か自ずとそういった展開になることは容易に予想できるところ。粘り強いからタレント力を生かしたフットボールで連敗を止めたいところだ。注目選手はレアンドロカブレラ

 エルモソの退団後の冬にヘタフェから加入して以来DFリーダーとして左CBを務めるウルグアイ代表CB。南米系のCBらしく人への強さを武器とする一方で、細かいところのポジショニングやボール保持時のビルドアップ関与という点においては、大きな難を抱えており、エスパニョールのボール運びでも彼のパスミスやアバウトなロングキックでボールを失うシーンが散見される。この試合でもハイプレスを仕掛けてくるガットゥーゾのチームは、このウルグアージョを狙いにしてくるものと考えられ、ここを彼がどのように回避できるかが注目どころ。ウルグアイの先輩 カバーニ相手にいつも以上のプレーを期待したい。


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 アウェイ バレンシアの6節はセルタに3vs0で完勝。序盤は中盤での苛烈な主導権争いが続き、中々思ったようなフットボールができない状況が続いたが、徐々にモリバの推進力、アルメイダのゲームメイク、そしてガヤの左下からの裏への流し込みのボールでペースをつかむように。リノの崩しからカスティジェホが得点を奪うと、後半はセルビの退場もあって2点を追加。難敵相手に3点を挙げ、見事勝利を果たした。またこの試合では、カバーニ、モリバ、アルメイダの新戦力3人が初スタメン。カバーニは中々存在感が示せなかったが、インテリオールの2人はそれぞれの良さを見せた。3勝3敗とイーブンの形でブレイクを迎えたバレンシア。この代表ウィークはラ・ロハに選出されたガヤ、ギジャモンの2人を筆頭に複数の主力が各代表としてプレー。この選手たちがどのような状態で帰ってこれるのかは1つの注目ポイントだ。アウェイでまだ勝ち点1すら拾えていないバレンシア。勇敢な戦いぶりで勝ち点3を狙いたいところだ。注目はアンドレ・アルメイダ

 今夏ポルトガルのヴィトリアというチームから加入した彼。22歳のリーガ初挑戦ということで、控え枠としての獲得のようにも思われたが、ソレールの退団もあり、序列が上がり、徐々に出場機会も増えてくるように。ムサの負傷もあって先発出場を果たしたセルタ戦では小気味良いパスワークと視野の広さでゲームメイクに貢献。アディショナルタイムにはゴラッソを沈めるなど、さっそくの大活躍でその能力の高さを見せつけた。その姿はかつてバレンシアで活躍した同胞のアンドレ・ゴメスを思い起こさせるもの。退団後は上手く行かなかったが、一時期のバレンシアを中心と支え続けた彼に続き、中盤を支配することが出来るか。期待したい。


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7、セルタ vs ベティス

 ホーム セルタの6節はメスタージャに乗り込んでのバレンシアとの1戦。序盤からバレンシアのハイプレスの前に中々ボールを持つことが出来ず、最終的にはポゼッション率はわずか34%。この数字はこれまで、ほぼすべての試合で相手よりも高い保持率を誇っていたセルタにとって自分たちのやりたいフットボールができていない証拠。セルタのビルドアップの基本形としては、CB2枚とDH、OHの選手が4枚で平行四辺形のような形を作りながら運ぶ。その上で、そこが上手く行かなければハビ・ガランの個での剥がしという選択肢があるといったものだが、バレンシアはその1つ1つに選手を早い段階から捕まえさせており、結果ボールを落ち着かせるポイントが作れないまま失点。セルビの退場で終戦となってしまった。前節のアトレティコ戦に続いて連敗といった形で、代表ウィークに入ったセルタ。しかし、代表に選ばれているメンバーはラーシェン、アイドゥーなど多くはなく、ベティス戦までに修正できる時間はある程度ある。難敵相手とはいえ、3連敗だけは何としてでも避けなければならない。バライードスの力も借りて、勝ち点をもぎ取りたいところだ。注目選手はレナト・タピア

 一昨季一気にブレイクを果たしたペリーの誇る潰し屋ピボーテ。しかし昨季は台頭してきたベルトランの前に後塵を拝することに。そして今季、デニス・スアレスの実質的退団により、ベルトランが一枚ポジションを上げることで再度ピボーテの位置に収まった。もちろん選手のタイプ的にベルトランのような圧倒的な視野の広さと供給力があるわけではないが、無難にそれらをこなしつつボール奪取の部分では圧倒的な存在感を見せている。そんなタピアが今節直接のマッチアップ相手のようになるであろう選手がフェキル。負傷で離脱していた彼だが、おそらくこの試合には間に這うはず。ボールの落ち着きどころとして、ライン間のチャンスメイカーとしてやはりフェキルの担う役割は大きい。つまりはここを完全に抑えきることさえできれば、ベティスの攻撃はある程度の停滞を起こすはず。勝機を見出すためにも、ここでタピアがどれだけ門番としての仕事ができるか。注目だ。


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 一方のアウェイ ベティスは6節ジローナをビジャマリンに迎えての一戦。ジローナ相手にかなり苦しみながらもなんとか2vs1で勝利。引き続きフェキル、ファンミを欠く中で、引き続き2列目には右からルイス・エンリケ、カナレス、ロドリを並べた布陣でスタート。この試合もある程度ボールを持つことは出来たが、やはりファンミの不在が特に痛く、良い形を作ってもフィニッシャーがイグレシアスのみという状況が散見された。また守備面でも前節のビジャレアル戦に続く問題が継続。相手のドブレピボーテにギドとカルバーリョの2人が出ていく事で、その背後のライン間を上手く使われてしまっていた。CBを押し上げるのか、プレッシングの形を変えるのか。今節の相手もまたライン間を上手く利用してくるセルタなだけに、この部分の修正は不可欠だ。注目選手はボルハ・イグレシアス

 今季、開幕から既に6Gと大暴れを見せている通称パンダ。ジローナ戦でもPKを含む2Gをあげ、チームの勝利に貢献した。そのプレーが認められ、今回の代表ウィークではラ・ロハに選出。0トップ的な役割を期待されるラ・ロハの中で、パンダの所謂9番らしいプレーは、ある意味異質な存在としてオプションの1つにはなっていた。ラ・ロハのデランテーロのポジションはモラタが絶対的な立ち位置を築いているが、その2番手枠は未だ決まっていない。ライバルとなるであろうRDTは登録の関係で冬までリーガでの出場は許されておらず、ジェラールも大きいものではないとはいえ負傷により離脱中。ロドリゴはプレミアで結果を残しているが、長く代表から離れており、アスパスもまたルイス・エンリケ監督の構想には入っていないように思える。この事からもこの調子を維持できればこの枠でカタール行きの最右翼になることは間違いない。チームの勝利のため、そして自身の代表入りのためにも古巣セルタ相手に求められるのはゴールという明確な結果だ。


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8、ジローナ vs レアル・ソシエダ

 ホーム ジローナの前節はベティスとの1戦。好調を維持する強豪との対戦であったものの、序盤から勇敢にボールを大切にする自分たちのスタイルを貫き、ポゼッション率では上回り、xgでもほぼ同じと互角以上の内容を見せた。結果は惜しくも1vs2で敗れてしまったものの、ベティス相手にここまで戦えたことは十分自信にできるところ。アルナウ、ロロの2人が代表ウィークで抜けてしまうのは痛いところだが、無理にこのブレイク期間でフットボールを大幅に変える必要は一切なく、影響としては小さく済むはずだ。今節の相手は前節に続き、強豪レアル・ソシエダ。調子という意味ではベティスの方が勢いがあったものの、よりボール保持にこだわるチームであるのは間違いない。ある程度ボールを握られることも考慮に入れたうえで、上手く保持非保持のバランスを取ることが出来るかが試される。注目はオリオル・ロメウ

 ラ・マシア出身の彼は長いプレミアでの経験を経て今夏リーガに帰還。移籍のタイミング的な問題から開幕には出遅れたものの、4節のマジョルカ戦でスタメンデビューを果たすとそれ以来アレイクス・ガルシアとともにジローナの中盤を支えている。アルナウ、レイニエル、ミゲル、ロロとワイドに若く攻撃的なテクニシャンが多いジローナにとってプレミア仕込みのフィジカルとカバー範囲の広さで彼らをサポートできるロメウの存在は非常に大きいものがあり、アレイクスとのドブレピボーテのクオリティは昇格組レベルを裕に越した、中位~下位の中でもトップクラスのもの。彼らが今節の相手であるラ・レアルが誇るスビメンディ、メリーノ、ブライスらの中盤陣にどこまで対抗できるのか。これが主導権、そして勝敗を占うだろう。


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 一方のレアル・ソシエダは6節 エスパニョールをホーム アノエタに迎えての1戦。ミッドウィークにターンオーバーを実行したラ・レアルはこの試合 CBを除くと現状のベストメンバーでこの試合に挑んだ。前節完敗に終わったヘタフェ戦を踏まえて、攻撃時の形を少し変えてきたイマノル。昨季から継続して低い位置に置いたラテラルでハマることが多かったことから、最初は久保を左の大外で張らせることで幅と高さを負担。その上で、相手WBが大胆に縦スライドができにくい状況を作り、その上でラテラルはビルドアップに参加。そして崩しのフェーズでは久保は内外を自由に動き、両ラテラルはインナーラップを多めに入れるように。これによりゴロサベルやアイエンの良さが出やすい状況を作ったことでより攻撃が効果的に展開できるようになった。後半はトーンダウンし、またル ノルマン不在による対人守備の不安が垣間見られるところもあったが、リードを守り切り2vs1で勝利。リーガでの連敗は防いだ。そして代表ウィーク明けのこの試合、幸い代表に選出されたのは久保、セルロート、パチェコ、トゥリエンテスの4人のみ。休養を十分とったこの試合、敵地で勝ち点3を持ち帰ることでもう一度勢いをつけたいところだ。注目選手はミケル・メリーノ

 ラ・レアルの全てを指揮する最高のオーガナイザー。リーガでは全8試合に先発。ほぼすべての試合でフル出場を果たしている。しかし、彼ほどのリーガを代表する最高のMFでもスペイン代表の厚すぎる中盤の層の前にはメンバー入りすら厳しい状況であり、W杯行きにも赤に近い黄信号が点っている。彼自身としては非常に悔しいだろうが、チームからすると彼がここでしっかりと休むことが出来たことは非常にありがたいところ。彼とブライスの担う役割は、今の4312システムの中では重要度、負担共に非常に高く、また現実的に代えとなれる存在はいない。少なくともオヤルサバルが復帰する冬すぎまでは、4123ではなく、4312の形をベースとして継続するものと考えられる。そこまでブライスとメリーノが高いパフォーマンスを維持できるか。しっかりとブレイクが取れたこの期間、よりリフレッシュした状態のメリーノにこれからも期待したい。


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9、レアル・マドリー vs オサスナ

 アウェー マドリーの6節は敵地でのデルビ。開始から強度高く入ってきたアトレティコの前に押し込まれる展開が続いたが、そこで焦らないのかレアル・マドリークルトワを中心とした守備でしっかりと中央を固め、0に抑えていると相手の一瞬の隙をつき、この日欠場のベンゼマの代わりにデランテーロのポジションに入ったロドリゴがネットを揺らすと、さらにフェデが圧巻の推進力からのゴラッソで追加点。後半は2点の余裕を背景に、個々のプレイヤーの技術を活かしてボールキープしながら時間を進めていくフットボールを展開。最終盤は相手がより圧をかけてきたことで押し込まれたものの、1点に抑え勝利。唯一のリーガ6連勝。更にはUCLでも連勝、USCでもタイトル獲得と素晴らしい序盤戦を送ることが出来た。さらに不安要素とされていたカゼミロの退団、ベンゼマ欠場時のプランという点においても、それぞれチュアメニとロドリゴというニュースターが既に完璧にフィットしており、今のエル・ブランコに明らかな穴はないと言える。チームのクオリティ的にはこのまま走る可能性も十分。この勢いを逃がさないためにも代表ウィーク明けのこの試合、ベルナベウで気持ちの良い勝利を挙げたいところだ。注目選手はフェデ・バルベルデ

 デルビでもベストプレーヤーの1人に挙げられるレベルの活躍を見せたフェデ。実力は文句なしであったものの、モドリッチ、クロースという偉大すぎる前任者の壁を越え切れず、実力相応の出場機会を得られていなかったこのウルグアイ代表MF。しかし、昨季監督に就任したアンチェロッティは彼を右エストレーモのポジションに起用。守備時には5レーンの右大外のポジションに入り、攻撃時には圧倒的なアスリート能力を前提とした推進力でカウンターの起点になる役割を担うように。今季はその役割の質が更に上がっているようにも見え、各試合で圧倒的なパフォーマンスを披露。ワールドクラス候補生から遂にトップオブトップのワールドクラスへと成長を遂げている。今季、シーズンを通してフェデはどのようなパフォーマンスを見せ、どこにたどり着いていくのか。必見だ。


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 アウェイ オサスナの6節は本拠地にヘタフェを迎えての1戦。ベティス戦での敗北こそあったものの、それ以来良い形で連勝を重ね開幕からの良い流れを保っており、かつエル・サダールでの一戦であったこともあって、大方では勝利が予想されていた中で意外な敗北となってしまった。この日のオサスナは全体的にラインが低く、大外の位置で高い位置を取るヘタフェの両WBにSHが降りて対応するシーンが目立った。結果、これまでのオサスナを支えていたサイドを広く使ってのポゼッションがラインの低さによりできなくなってしまい、またSHが外に広がることで、ピボーテの両脇のスペースが空きやすくなると言った欠陥が目立つようにもなっていた。もちろん1失点目のナチョ・ビダルの対応ミス、チミーの軽率な退場などイレギュラーなミスによるマイナス分も多くあったが、それを抜きとしてもこの試合では勝利に値しない内容だったと言えるだろう。連敗だけは何としても避けたいオサスナ。しかし、今節の相手は敵地の絶好調マドリー戦。厳しい試合が予想される。なんとかチーム全体で耐え、勝ち点1でも拾いたいところだ。注目選手はアンテ・ブディミル

 

 昨季8Gを挙げたオサスナのエース。しかし、今季は未だ開幕より無得点と結果が出せていない状況が続いている。実際決定機がないわけではないだけに、彼に一刻も早いエースのゴールが期待される。しかし、ここで気になるのがブディミルが前半戦を苦手としている点。昨季は全8G中、前半戦のゴールはPKによる1点、一昨季は全11G中、前半戦のゴールはわずか2点と際立って前半戦の調子が悪いのだ。この原因がどこにあるのかは分からないが、好調をキープするにはエースの得点は不可欠。なんとか前半戦の間に良い流れに彼自身が乗りたいところだ。今節の相手は王者マドリー。更にはここまで得点面でチームを牽引してきたチミーを欠いての1戦となる。ブディミルのゴール失くして勝ち点奪取はならない。W杯に向けてもこのクロアチア代表FWの活躍に期待したい。


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10、ラージョ・バジェカーノ vs エルチェ

 ホーム ラージョの6節はアトレティックに2vs3で惜敗。イラオラは恩師バルベルデを上回ることはできなかった。序盤からハイプレスの掛け合いとなったこの試合。その上でラージョがプレス回避の起点にしたのが、左のフラン・ガルシア。いつものCB+2CHで運ぶ形に対して、人を付けて出てきたところを逆手に取ったこの戦い方。左WGのアルバロに高い位置を取らせることで、デマルコスをピン留めしておいた上で、フランとアルバロの間にトレホが降りてきて、引き出す形。このトレホに対してCBがついていく事は難しく、ピボーテが対応してきたら、他に空くところができるという考えの下、行われたビルドアップは結果としてアトレティックのプレスを空転させることに成功。トレホ、イシを起点としたライン間での崩しにつなげた。しかし、一方で自分たちのプレッシングが中々ハマらなかったのも事実。最終ラインから剥がし、正確なパスが出せる選手が殆どであるアトレティックの供給部分を抑えきれず、結果イニャキやニコといったスプリント能力に長けた選手たちに裏を取られての失点が続出。この点で、アトレティックと差が出来てしまい、惜敗となった。2勝1分3敗とまずまずの序盤となったラージョ。残留には十分な数字だが、昨季を上回るのであれば、もう少し勝ち点が欲しい、この序盤を上回る勢いで、勝ち点を積みあげられるか。最下位エルチェにしっかりとバジェカスで勝ち点3を拾いたい。注目選手はセルヒオ・カメジ

 昨季ミランデスで得点を重ね、今季は主力としてプリメーラを戦う初のシーズンとなっているアトレティコカンテラーノ。大半の試合でスタメンとして起用されるなどイラオラからの信頼は得ることが出来ているが、結果は未だ無得点。もちろん得点面以外の貢献度は高く、流れて引き出し手となる場面や、動き直しを重ね裏を狙い続けることでDFラインを下げるなど、昨季までのスタメンだったセルジ・グアルディオラファルカオとは異なる良さを見せているものの、やはり得点というわかりやすい数字が欲しいのも事実。まして冬にはRDTが加入する(起用できるようになる)事も決定しており、インパクトを残さなければ、生き残ることは非常に難しくなる。生粋のストライカーとして自身の価値をゴールで示せるか。注目だ。


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 アウェイ エルチェの前節はカンプ・ノウに乗り込んでの1戦。なんとか勝点1でも拾いたかったエルチェは541の形でブロックを作る極端に守備によった形でスタート。左から上がって来るバルデには右SHのテテ・モレンテが付いていき、右のデンベレに対しては、左ラテラルのクレルクに加えて、左SHのフィデルダブルチームをつくり突破を許さないという、一時的に7バックのようになることも許容した上でとりあえず0に抑えるという意思がはっきりとわかる布陣でスタートした。しかし、この目論見はわずか14分で崩れることとなる。CBのところから降りてきて、楔を狙うバルサ。これに食いついて行っていたエルチェだったが、このシーンでは3CB全員が食いついてしまい、裏をレヴァンドフスキに突かれることに。これをベルドゥが後ろから倒したことでDOGSO判定の一発レッド。これで実質的に試合終了となってしまい、結果は3vs0。より多くの点が入ってもおかしくはなかったが、代表ウィーク前ラストの試合を完敗で終えた。この結果をもってフランシスコの解任は既定路線かと思われたが、代表ウィークでその動きはなく、とりあえずは現体制が継続することになりそう。早い時間に気持ちが入りきれておらず、簡単なミスで失点。それ以降も選手に馬力を感じないところを見ても限界感は否めないところだが、ここから同監督がどうチームを立て直せるか。注目選手はフィデルチャベス


 エルチェのセカンドカピターノであり、チーム全体を司る最高のチャンスメイカー。今季は開幕こそしっかりと合わせてきたものの、2戦から負傷により欠場。その間にチームの雰囲気はどん底まで落ちてしまい、復帰後もまだインパクトは残せていない。良いコンビネーションを築いていたモヒカが退団し、また攻撃よりも守備を優先しなければいけないチーム状況もあり、なかなか昨季までの活躍は見せられないであろう今季。とはいえエルチェの勝利のためには間違いなくフィデルの活躍が不可欠であり、このベテランの力が必要。セグンダ時代から残る数少ないうちの1人となった今、このチームを救う存在となれるか。期待したい。


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ラ・リーガ6節プレビュー

1、初めに

 皆さんこんにちは。よろしくお願いいたします。

 リーガも5節を終え、それぞれのチーム状況、やりたいサッカー、新戦力のフィット具合などが段々と鮮明になってきました。その中でやはり3強を筆頭に予め上に来るのではと予想されていたチームが順位を上げ、一方で未だ勝ちなしと苦しむチームもいるなどリーグ内での立ち位置も次第に確立化されているように感じます。第6節を持って一度代表ウィークに入るリーガ。どのような形でブレイクに入るのか、各チームにとって今節は重要な試合になるでしょう。

 ではよろしくお願いします!

 

2、ラ・リーガ5節振り返り

  5節最大のPartidazoであったベティスvsビジャレアル。好調同士の2チームによる対戦は下馬評を覆し、フェキル、ファンミの2人を欠いたベティスが勝利。ビジャレアル的には直接のライバルへの敗北にジェラールの負傷も加わり、かなり痛い敗戦となってしまった。3強はいずれも4発快勝。マドリーはマジョルカバルサカディスアトレティコはセルタとの対戦。いずれもスコアほどの差があった内容ではなかったが、自分たちの流れになったときの決めきる力で、違いを見せつけた。その他、セビージャはエスパニョールにアウェイで勝利し、待望の今季初勝利。久保も所属するラ・レアルはヘタフェに1vs2で敗戦。アトレティックはエルチェに快勝。ジローナvsバジャドリーの昇格組対決はジローナに軍配。

 今節のPick up Playerはセビージャからホセ・アンヘル

  昨季のラージョ戦に途中出場という形で、プリメーラデビューを果たしたセビージャのカンテラーノ。基本ポジションはCBであり、クンデやジエゴ・カルロスを欠くことになりセントラルの層が一気に薄くなった今シーズン、出場機会をPSMから増やしていた。そんな彼がこの試合では右SBとして先発出場。ナバス、モンティエルといった選手たちのコンディションが中々上がらない中で、リーガでは初スタメンを飾ることに。すると彼はラメラの先制点のアシストを皮切りにセットプレー、相手のミスからまさかのドブレーテを達成。2G1Aでチームを今季初勝利に導いた。実際、冷静に見ると守備対応の面や、サイドでの受け方、絡み方などで純粋なラテラルの動きとは程遠く、物足りなさを感じたのも事実だが、今のチームには勢いに乗る選手の存在は不可欠。彼から良い雰囲気をチーム全体に派生させることで、復調へ向かっていきたいところだ。その他の結果及び順位表、今節の個人的選出ベストイレブン(とその控え)は下記の通り。

 

 

 そして今節で忘れてはならない特別な出来事が2つ。まずはカディスvsバルセロナ戦での一幕。1人の大切な命を救うため、チームの垣根、そして選手として以上に1人の人として動いたレデスマを筆頭とする両チームの全ての関係者の方々にリスペクトを送りたい。もう一つはエスパニョールvsセビージャでの出来事。それぞれ不幸な形でこの世を去ることとなったアントニオ・プエルタとダニエル・ハルケというレジェンド2人に対する両サポーターによる16分、21分での拍手。毎年伝統として受け継がれていくこの拍手。彼ら2人が残してくれた功績を忘れないために、サッカー以上に大切な命というものの大切さをこれからも受け継いでいくために、この素晴らしい伝統にふれたいと思う。

 これらの件について触れるべきかはかなり悩みました。実際、私の拙い文章では不快に思われた方もいるかもしれません。申し訳ないです。しかし、1記事について30閲覧いけば本当にありがたい程度の当ブログでも、この事に触れることで、誰かが何かを知る、何かについて考えるきっかけになってくれる可能性があるのであればと思い、私なりの言葉で伝えさせていただきました。ありがとうございました。

 

3、ラ・リーガ6節プレビュー

1、バジャドリー vs カディス

 ホーム バジャドリーの5節は昇格組同士となったジローナとの対戦。結果は終了間際にコーナーキックからゴールを許し、1vs2での敗戦。ポゼッションは上回り、シュート数でも互角の数字となったバジャドリーだったが、XG(ゴール期待値)では2.59vs0.51と完敗。実際、バジャドリー側の得点もモンチュのスーペルゴラッソであり、チャンスらしいチャンスはなかったと言っても過言では無い。もちろん前半30分までにセルジ・グアルディオラ、リュイス・ペレスの2人が負傷交代を強いられたことにより選択肢が限られ、中々状況を変えることが出来なかったのは間違いないが、それにしても物足りない内容と言えるだろう。前節の初勝利の勢いを継続することが出来なかったバジャドリー。今節は引き続きフライデーナイトのゲームで相手はカディス。相手は開幕から5連敗中かつ無得点と厳しい状況であり、ホームであることも考えると勝ち点3がマストの試合となる。豊富なタレントをどのように組み合わせ、どのように決定機を作っていくのか、パチェタの采配に期待したい。注目選手はゴンサロ・プラタ

 第2節より負傷で離脱していたエクアドル代表ウインガーアルメリア戦の途中出場を経て、ジローナ戦でスタメン復帰。らしい仕掛けは見せたものの、アルメリア戦に続き、中々効果的な崩しに繋がるようなプレーは出来なかった。とはいえ、昨季セグンダを騒がせた突破力はプリメーラの舞台でも通用し得るものであり、キケ・ペレスが負傷により欠場する可能性もある今節、彼の突破力が攻撃のポイントとなる可能性は極めて高い。対面のミゲル・グティエレス相手に優位に進め、チームを勝利に導けるか。注目だ。


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 カディスの5節はバルサをホームに迎えての1戦。前半をスコアレスに抑え、相性の良い相手だけに勝ち点Getなるかとも思われたが、後半には4発を叩き込まれ完敗。レヴァンドフスキ、ペドリ、デンべレの投入で一気に試合を決めに来た相手に対抗することが出来なかった。これで開幕5戦全敗&無得点とどん底の状態にあるカディス。とはいえ前回記事でも書いた通り、チームとして明確な戦略は立てられており、その戦略は試合ごとに一定の成果を出しているのも事実。それだけにセルヒオ・ゴンザレス監督の去就をどうするべきなのかについては頭を悩ませるところだ。監督交代をするのであれば、この試合後代表ウィークに突入するだけにこのタイミングがベスト。この試合の結果によってその決断は成されるだろう。注目はルベン・アルカラス

 怪我から帰ってきたこのチームの心臓。オフシーズンの手術の影響で開幕に出遅れたアルカラス。昨冬にセルヒオ監督とともにバジャドリーからやってきた彼はすぐさまチームにフィットすると、チームの司令塔としてボールを引き出し、展開させる役割を負った。特に彼の最大の武器である精度の高いサイドチェンジは、それぞれ右で張るアレホと、左で連携で崩していくイドリシ&エスピノのサイドアタックを活かし、カディスのプレーエリアをべた引きではないところまで引き上げさせ、結果残留へと導いた。今季のカディスはこれまでアルカラス以前同様べた引きのブロックセットという展開が多くなっており、この状況がアルカラス復帰によって変われば、自ずと勢いも出てくるはず。幸い与しやすい相手との対戦となる今節。カディスの復調に期待したい。


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2、マジョルカ vs アルメリア

 ホーム マジョルカの5節はベルナベウに乗り込んでの1戦。ファイナルゾーンにバスを置く形で54ブロックをセットしたマジョルカはそれぞれの人、あるいはエリアを明確に定めることでマドリーの攻撃陣に対抗。これまでのイガンインをムリチの下に配置する5311の形ではなく、明確に左側に降ろしたことでカウンターの破壊力は落ちてしまったが、その分幅をしっかりと人で埋め、良く対抗した。しかし、一瞬のスキを突かれ、マドリーの流石の理不尽ともいえる個の能力で失点を重ね、逆転を喫しての1vs3での敗戦となった。とはいえ、アントニオ・サンチェスが決定機を決めていれば…など、勝ち点を拾う可能性はあった試合と言え、やっていることが間違いではない事を認識するには十分だろう。重要なのはこの敗戦を引きずらず、この試合で結果を出すこと。ホームでのアルメリア戦に勝利すれば代表ウィーク前を2勝2分2敗のイーブンで終わらせることが出来る。これを目指して、勝ち点3を掴みたいところだ。注目選手はルイス・デ ガラレタ。

 昨季後半戦のvsベティスで左ひざの前十字靭帯断裂を負って以来、初のスタメン出場となったガラレタ。これまでラージョ戦、ジローナ戦、終了間際に出て10分弱をこなしていた段階だっただけに、ここでのスタメン起用は意外なところだったが、アギーレの期待に応え、好パフォーマンスを披露。中央をバタグリアとともに締め、奪取時にはさすがのキープ力と視野の広さで、マドリーの即時奪回阻止に貢献。先述の通り、イガンインを降ろし、カウンターの起点が減っているマジョルカの中で殴られっぱなしを回避するためにガラレタの存在は非常に大きいものであった。前節も60分で交代しているだけに、まだフル稼働とはいかないのではあろうが、ガラレタの復帰はマジョルカにポジティブな影響を多大にもたらしてくれるはず。この試合でも彼のプレーに注目だ。


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 一方、アウェイ アルメリアはホームにオサスナを迎えての一戦となった第5節。結果は0vs1で敗戦。CB2枚に中盤の3枚が上手く関わり、良い形でボールを運んでいくことはできていたアルメリアだったが、肝心の崩しのフェーズで相手を脅かすような形が作れず、結果的に押し込んでいるだけというような形になってしまった。サディク退団後、532から昨季のベースであった4213あるいは4123の形に変えているアルメリア。突破力に優れたラテラルを高い位置に置き、エストレーモを中で絡ませるという布陣自体は合理的ではあるが、それぞれが孤立気味になってしまっており、線が繋がっていないのは大きな課題だ。サディクという1つ基準点にもなれば、預けるだけでゴールまで1人でも行ってくれるような選手がいただけに、そこからどのようによりチーム単位での崩しというところに移行していけるのか。注目したいところだ。ここまで開幕より1勝1分3敗。更に残留争いにおいてライバルになるであろうバジャドリーに敗れ、エルチェに引き分けているなど内容以上に結果は悪い。これまた残留争いのライバルになるであろうマジョルカとの対戦となる今節は敵地とはいえ勝ち点3が欲しいところだ。注目はセルヒオ・アキエメ

 ラ・マシア出身の左ラテラルであるアキエメ。ラテラルに高い位置を取らせるこのチームにおいて武器である突破力とスピードを活かし、アルメリアの攻撃において中心の1人となっている。3節のセビージャ戦で見せたように左サイドを1人で打開できるタレントであり、ファイナルサードでの連携がまだ未成熟なアルメリアにとって彼の打開は生命線の1つ。この試合でも532を敷いて、基本的に受け身で入るであろうマジョルカ相手にボールを支配できる展開は続くはずであり、その状況下で彼が大外からそのブロックを壊すことが出来るかは注目したいところ。マジョルカの作りこまれたサイドでの包囲網を崩すことが出来るのか。注目したい。


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3、バルセロナ vs エルチェ

 ホーム バルセロナの5節はカディスとの1戦。バイエルン戦に備えてターンオーバーw実施してきたバルサ。その影響からか、前半は相性の悪いカディス相手に攻めきれず、スコアレス。しかし、55分にフレンキーが得点を奪うと、その後レヴァンドフスキ、ペドリ、デンべレの投入もあって更に追加点。終わってみれば4発快勝となった。そして迎えたミッドウィークのバイエルン戦。チームの実力が試される試合となるこの試合、バルサはLCBにクリステンセン、LSBにマルコス・アロンソを起用。その上で、ブスケツ、ペドリ、ガビを前に思い切りよく出す、シーズン開幕以来やってきたバルサの形で真っ向勝負を挑んだ。その結果、前半高い位置での回収を多く成功させ、決定機を何本も作った。しかし、それを決めきれずにいると後半ゴレツカを投入したことで中盤の馬力を高めたバイエルン。それに対し、中盤の負担の大きさから疲労が見え始めたバルサ。この両者の差によって、インテンシティ及び、セカンドボールの回収率でバルサは劣る展開が増え、その間にセットプレーを含めた2失点。その後フレンキーなどの選手を投入することで巻き返しを見せたものの1点が遠く、0のままで敗戦となってしまった。もちろん課題も多く見られた試合ではあったが、敵地から持って帰ってきたものは、それ以上に収穫が多いはず。昨季の状況から考え、もちろん積極補強はあったとはいえ、ここまでチーム間の差が埋まっていることを実感できたのは間違いなく選手たちの自信になる。敗戦とはいえ、まだグループリーグ。死の組を突破することは前提としたうえで、バルサにとっての本番はトーナメント。それまでにこういったレベルの強豪にどのような形で勝利へもっていくのか。そこをリーガで勝利をあげつつ模索していきたいところだ。注目はフェラン・トーレス

 シティ退団の後味の悪さ、また昨季目立った決定機逸によって現地、日本問わず批判にさらされている傾向の強いフェラン。しかし、バイエルン戦ではデンべレが抑え込まれサイドからの打開が出来ず、彼がロストマシーンになっていた状況で出場。すると、彼の得意な動き直しの多さと質の高さで、時に外側、時に内側を取ることで、相手のブロックを攪乱。その結果、ペドリがワイドに開いて時間を作るなどといったシーンが出てくるようにもなった。バレンシア時代であればともかく、今のフェランはラフィーニャ、デンべレの大外の打開力では大きく劣るが、その一方、彼にはその2人にはない武器を持っており、その武器あるいはキャラクターにチャビも信頼し、一定のタスクを与えているようにも思える。ここでその信頼にゴールという形で応えることで、チャビの、クレの期待に応えることが出来るか。ラ・ロハのエースとして爆発に期待したい。


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 一方、アウェイのエルチェはホームでアトレティックを迎えての1戦。結果は前半に4失点を喫し勝敗を決められるという非常に厳しいものとなった。ディフェンス陣に課題を抱えるエルチェにとって、とりあえず早い時間に失点しないことが命題化されていた一戦だったが、その願いもつかの間9分で先制点を取られると、その後はミスも相次ぎ終戦という結果になってしまった。開幕以来、続いて安定しないCBに加え、モヒカのデッドラインデーの退団を経て、代役となってほしいクレルク、ニコラス・フェルナンデスの2人もまたかなり悪いパフォーマンスぶりと、ディフェンスラインの個の質という面が不足していると言わざるを得ない。昨季終盤、フランシスコの就任以来、順位を上げ今夏はペレ・ミジャの契約延長、コジャド、ロジェール、キナといった魅力的なタレントを集めていただけに、開幕以来の1分4敗という結果は物足りない。そんな状態で迎える今節の相手はバルサカンプ・ノウでは勝ち点1すらも取れていないチームとの対戦となる。なんとかカンプ・ノウで状況を改善するきっかけになるようなパフォーマンスを見せて、ブレイクに入りたいところだ。注目選手はエドガル・バディア

 本来ならDFを選びたいところだったが、前節の惨状を見ると今節誰が出てくるのか、わからないと言わざるを得なかっただけに、ここはあえてバディアを選択。最後尾から不安定すぎるディフェンスラインをコーチングで支え、決定機を流石の反応で止めるなど、エルチェの崩壊を何とか防ぐため孤軍奮闘しているこの守護神。アトレティック戦でも彼のセーブがなければマニータあるいはそれ以上いっていても可笑しくない内容であった。前節以上に押し込まれる展開が予想されるエルチェ。バディアのビッグセーブ連発以外に勝ち目はないだろう。


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4、バレンシア vs セルタ

 ホーム バレンシアの5節はバジェカスに乗り込んでのラージョとの対戦。いつも通り、後ろからしっかりとボールをつなぐフットボールを展開しようとしたバレンシアだったが、ラージョのハイプレスにハマりショートカウンターを喰らう場面が続出。前節降りてきてボールを引きとり、ビルドアップと崩しの2つのフェーズをうまく繋げていたムサも、オスカル・バレンティン、サンティ・コメサーニャの2人の上手いコース取りでのプレスに消され、中々ボールを引き出せず、やむなく最後に流れるシーンが散見された。時間が進むにつれ、ラージョの足が止まってきたこともあって、徐々にボールを運べるようになり、チャンスを作るシーンもあったが、全体的には完敗と言えるだろう。とはいえ、ボール保持を作りこんでいる段階でこの形での敗北はある程度覚悟しているはずであり、切り替えて次の試合に向かうことが肝要。ボールの握りあいになるであろうセルタとの1戦。メスタージャで勝ち切り、ブレイク前に開幕までの結果をトントンにできるか。このフットボールを続けていくうえでもこの試合は重要。注目選手はニコ・ゴンザレス

 今季バルサからローンという形で加入しているニコは本来ギジャモンの控え的立ち位置になるとみられていたが、ソレールの移籍に伴い左インテリオールの一番手として起用。低い位置でボールに携わるというよりは、ライン間に位置して、そこで引き出すという仕事を担っている。とはいえ、ラージョ戦のようにハイプレスで来られた時に2CB、ギジャモン、ムサを抑えられると完全に運べなくなってしまうバレンシアの中でニコがどのような立ち位置をとり、どんな判断をするかは非常に大切。ラ・レアルのミケル・メリーノのようにフィジカル的優位と足元の技術を活かしたIQの高いオールラウンダーになれるか。ムサの怪我による欠場が濃厚視されている中、セルタ戦を制すにはニコの活躍が不可欠だ。


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 一方、アウェイのセルタは第5節アトレティコと対戦。敵地シビタス・メトロポリターノに乗り込んだセルタだったが、アトレティコ相手に1vs4の完敗となった。序盤相手のミスもあり2トップのアスパス、ラーシェンそれぞれにチャンスが1本ずつあったものの、相手GKの好守に阻まれると、それ以降は中々流れを持ってくることが出来ず。負傷により、これまで左降りでビルドアップを助けつつ、ライン間で引き出すという役割を担っていたオスカル・ロドリゲスの不在も響き、思うような攻撃の形を作ることのできた時間は非常に少なかった。これで2勝1分2敗と可もなく不可もなくといった入りを見せているセルタ。ただ、大きな変化を強いられることとなった夏の動きを見れば、漕艇場に良くやっているということはできる。良い形で代表ウィークに突入するためにも、アウェイで勝ち点3を持ち帰りたいところ。注目選手はフラン・ベルトラン

 ボールを大切にする傾向の強い両チームの対戦となる今節において、どちらが主導権を得るのかは注目したいところ。その観点において重要な役割を果たすのがベルトランだ。インテリオールに2人の内、1人をCFに並べ、そこの2人でCBに圧をかけ、その人ではない方のインテリオールがピボーテポジションを捕まえるバレンシアのプレッシング。セルタに当てはめると、アイドゥー、ヌニェスそしてタピアにはマーカーがつくものと考えられる。そんな中でトップ下の位置に入るであろうベルトランが相手のプレッシングの穴を見つけ、そこからゲームを作っていけるかがキーとなる。直接の先輩であったロボトカがCLの舞台で輝いている中、今季のベルトランはどのようなパフォーマンスを見せてくれるか。楽しみにしたい。


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5、アトレティック・クルブ vs ラージョ・バジェカーノ

 ホーム アトレティックの5節は敵地マルティネス・バレーロに乗り込んでのエルチェとの一戦。相手の状態の悪さもあって、ミスを突き、前半で4発を沈めゲームを決めてしまい最終結果は1vs4で終了。ビビアンの軽率なミスによって1点は返されてしまったものの、得点力不足に悩まされた挙句に敗れた前節とは打って変わって気持ちの良い快勝で今季3勝目を挙げた。ここまで所謂強豪と呼ばれるチームと当たっていないとはいえ、バルベルデ新体制の下で明確な形を作りつつ良いチームを作ることが出来ているといって良いだろう。更にポジティブな点が前節でのイニゴ・マルティネスの復帰。契約上の問題で今季は干されるのではとも言われていたイニゴだったが、前節、負傷から戻るとイェライのインフルエンザによる欠場もあってスタメンで出場。流石の安定感と供給面でその価値を示した。来夏での退団が濃厚となっている中でバルベルデ、そしてアトレティックのフロント陣が今後イニゴをどのように扱っていくかは分からないが、その実力が確かであることは証明された一戦となった。そして迎えるラージョ戦、注目はアレックス・べレンゲル

 昨季は442の右SHで起用され、ニコと出場機会を分け合ったベレンゲルだが、今季は左WGの1番手として躍動。内外どちらでもチームに貢献できる流石の技術とサッカーIQ でバルベルデの展開するポジショナルプレーにとって重要な選手となっている。サイドでのトライアングルを重要視するバルベルデ。左サイドはユーリが外、ベレンゲルが中、ムニアインが球出し役という形が固定化していた中でユーリが負傷離脱。代わりにレクエが入って以来、べレンゲルムニアインと2人で状況によって大外のレーンの使い方を変え、ユーリ不在によって破壊力が落ちた左サイドの攻撃を再構成。エルチェ戦では抜け出したベレンゲルのクロスから先制点が埋まるなど、ここの連動度も高まっている。重要な一戦となるこのゲーム。べレンゲルがチームを勝利に導けるか。期待したい。


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 一方のアウェイ ラージョの5節はホームでのバレンシア戦。ここ数カ月バジェカスで中々良い成績が出ていなかったラージョであったが、この試合は素晴らしい出来でバレンシアに完勝。結果こそ2vs1だったが、もう少し差がついていてもおかしくない内容ではあった。開幕のバルサ戦、そして今節のバレンシアのように後ろからつないでくるチームにはやはり強さを見せるラージョ。今節の相手 アトレティックは昨季まではハイプレスからのショートカウンターを中心とするチームだったが、今季はどちらの戦い方もできるハイブリットなチームへと変革を遂げている最中であり、アトレティックがどういいうスタンスで試合に臨んでくるかが重要となる。イラオラ監督にとって敵将のバルベルデは自身をBチーム時代から見てくれていた恩師であり、この試合は師匠に胸を借りる試合。采配によって大きく結果、内容ともに左右されるであろうこの試合、イラオラはバルベルデを超えることが出来るか。注目選手はアルバロ・ガルシア

 バレンシア戦でもさすがの切れあるドリブルで今やリーガでも上位の対人能力を誇るコレイアを完全に上回ったアルバロ。昨季、7G4Aというスタッツを残し、ラージョの攻撃において一番の武器となり続けている彼は、その好調さを今季も維持しているが、唯一シュートの部分の精度はまだ開幕以来、上がっていない。バレンシア戦でも決定機逸が目立ち、結果として最後の5~10分間ハラハラするような展開を作ることに繋がってしまった。代表ウィーク前にゴールを決め、良い状態でブレイクに向かいたいこの1戦。自身のゴールでチームを勝利に導きたいところだ。


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6、ベティス vs ジローナ

 ホーム ベティスの第5節はベニート・ビジャマリンでビジャレアルを迎えての一戦。ミッドウィークのELでファンミが負傷を負い、ファンミ、フェキルという2大エースと言っても過言では無い2人を欠いた中で迎えたこの1戦。昨季、2戦とも完敗を喫したビジャレアル相手に1vs0で勝利。序盤からライン間に顔を出すロチェルソからの攻撃で、多くの決定機を与えてしまったが、何とかルイ・シウバをはじめとするディフェンス陣の奮闘で0に抑えると、徐々にペースをつかみ始め、ファンミの代わりに入ったロドリが決勝点。何とか勝ち点3をもぎ取った。ボール保持において中心となるフェキル、相手が押し込み、高いラインを敷いてきたときに抜群のダイアゴナルランでの裏抜けを見せるファンミというベティスのスタイルでの2面性を支える2人を欠き、できるフットボールが限られる中でもぎ取ったこの勝ち点3の持つ意味は大きい。この勢いそのままにジローナ戦でも勝利をおさめ5勝という結果を持ってブレイクに入りたいところだ。注目はルイス・エンリケ

 今夏フルミネンセから獲得したブラジル人ウインガーは4節のオサスナ戦でデビュー。その後マドリー戦、ヘルシンキ戦、そしてビジャレアル戦では一定のプレータイムを与えられている。ビジャレアル戦でロドリのゴールを演出したようにボールを持った際の突破あるいはキック精度という点には目を見張るものがある一方で、ボールを持っていない間のフリーランやあるいは守備の意識、トランジションといった部分には大きすぎる課題を抱えているように見える。もちろん今季が欧州初挑戦である以上、ある程度多めに見てあげる必要はあるが、ファンミが長期離脱となってしまった今、そう悠長なことを言っていられないのも事実。急激な変化は無理だとは言え、ビジャレアル戦に比べ改善したところを見せられるか。ボール非保持時のルイス・エンリケに注目したい。


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 一方 アウェイ ジローナは前節バジャドリー相手に2vs1で勝利。昇格組同士の対戦となったホームでのゲームで勝ち点3を取り切り、開幕からの5戦を2勝1分2敗のタイに持ち込んだ。これは現状、昇格組トップの成績であり、ここ数年恒例となっているプレーオフ勝者が一番躍進する説を実践している。とはいえ、ここまで所謂強豪と当たっていなかったのも事実。この試合から始まるベティス、ラ・レアル、アトレティコの3連戦でジローナがどこまで戦えるのかは見えてくるはずだ。この3連戦の初戦となるこの試合。ベティスはファンミを欠き、またミッドウィークを戦ってきた状態であることもあって、アウェイとはいえ3連戦の中では一番勝ち点を拾える見込みのある試合と考えられる。現在の好調さを維持し、代表ウィーク前にベニート・ビジャマリンから勝ち点を持ち帰ることが出来るのか。注目選手はサンティ・ブエノ

 今季がプリメーラ初挑戦となっている23歳 ウルグアイ代表CBは開幕より好パフォーマンスを維持しており、ベルナルド・エスピノサやダビド・ロペスといったリーガでの経験豊富な選手たちを差し置き、ジローナのディフェンスを支えている。ラ・マシアでの所属経験もある彼は、ラ・マシア産らしく足元のスキルも一定水準以上のものがあり、またカバーリングのセンスも良く単純にスピードでぶっちぎられることも少ない現代型の良いCBと言える。ゴディンを筆頭に現在でもヒメネス、アラウホと名だたるウルグアージョのCBが輝いてきたリーガ。その系譜に名を連ねるものに今後ブエノはなる可能性を秘めている。


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7、ビジャレアル vs セビージャ

 ホーム ビジャレアルはベニート・ビジャマリンに乗り込んでの1戦に0vs1の惜敗。前半パレホやキャプーにマークを引き付けさせ、ジャクソンとピノが相手最終ラインをピン留めすることでロチェルソやジェラールにライン間を使わせる形が機能。決定機を複数作ったが決めきれず。そして迎えた後半ジェラールの負傷を機に守勢に回ることも多くなる中で失点。ジェラールと同じタイミングで代えたジェレミ・ピノは左サイドを駆け上がるアレックス・モレノに対して時に5バックのような位置に落ちて対応するほどの守備貢献を見せていただけに、失点シーンではチュクウェゼの対応の酷さが目に付いてしまった。アウェイとはいえ内容面、そしてベティスが主力2枚を欠いていたことを考えても勝ち点1は最低でも奪わなければならなかった試合で0に終わってしまったビジャレアル。今節の相手は同じくアンダルシアの雄 セビージャ。ホームであること、またセビージャの現在の調子を考えると勝ち点3以外は許されないこの試合。注目はジオバニ・ロチェルソ

 敗戦&ジェラールの負傷と最悪の試合となったビジャレアル戦。その中で輝きを放ったのがロチェルソ。プレッシングで前に出でいくギドとカルバーリョの背後を上手く狙い、ライン間でボールを引き出してからのチャンスメイクは攻撃のスピードを一つ加速させ、ベティスゴールに迫る決定機を多く作った。決定機逸があったのだけが悔やまれるところだが、昨季に引き続き彼の魅力を再度証明する試合になったのではないだろうか。重くはないようだが、前節負傷を負ったジェラールは近年の怪我の多さを考えると回復までに慎重を期したいところ。昨季、ジェラールを欠くと一気にチームとしての完成度、脅威さが落ちてしまっていたビジャレアル。今季はその課題をどこまで改善することが出来るか。約1ヶ月弱の間、ロチェルソにゲームの支配者としての活躍を期待したい。


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 一方のセビージャの5節はエスパニョールの本拠地コルネジャに乗り込んでの1戦。この試合の結果次第では、ロペテギの解任が確定的という状況の中、セビージャは3vs2で勝利。今季初の勝利を飾り、ロペテギは何とか延命させることに成功した。エスパニョール相手にセビージャはバルサ戦同様4312の布陣を選択。前半はエスパニョールの横のスライドが追いついていなかった場面が多くなっていたこともあって、相手ラテラル前で時間を作れる展開が続き、セットプレー、相手のミスなどで3点を記録。45分で勝負を決めたように見えたが、前半終了間際にホセルのPKで一点返されると、更にブライスワイトに2点目を決められ、かなり危うい展開に。最終的には17本のシュートを打たれながらもなんとか2点で抑え、敵地で貴重な勝ち点3を記録した。この勝利を単発なものにせず、続けていくことが重要。ロペテギ解任問題もとん挫したわけではなく、その可能性が高くある状態は続いている。そんな中で迎えるビジャレアル戦。強敵相手に敵地で浮上のきっかけをつかむ1戦にすることが出来るか。注目選手はキケ・サラス

 5節のPick up Player にあげたホセ・アンヘルとともに、エスパニョール戦でスタメンに抜擢されたのが、このサラス。レキク、マルコンという2人の左利きCBが負傷あるいは負傷明けということで出番を得たサラスは交代となった67分まで気持ちのこもったプレーを披露。たしかに実際にはホセル相手に苦労したシーンが散見されるなど、良いパフォーマンスとは言いにくいものであったが、それでもセビージャのカンテラーノとしてのプライドを感じさせるものは十分見せたといって良いだろう。実力的にはクンデやジエゴ・カルロスなどとは比べるまでもないが、今の苦しいどん底のセビージャに必要なのはクラブのために戦い死ぬことのできるカンテラーノたち。そのセビジスモをエスパニョール戦ではキケ・サラスとホセ・アンヘルからは感じさせられた。近年、カルロス・フェルナンデスやブライアン・ヒルなど成長しきる前に売却されているカンテラーノが続いている中、今後のカンテラーノに夢を与えるためにも彼ら2人のプレーは重要。この2人が長期的にも短期的にも今後のセビージャを変えていくかもしれない。


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8、オサスナ vs ヘタフェ

 ホーム オサスナの5節はアルメリア相手に敵地での対戦。この試合でも前節のラージョ戦に続き相手にボールを握られるシーンが多くなりながら、効率よい攻撃と堅い442ブロックで相手決定機を最小限に抑え、1vs0で勝利。これで開幕5戦を4勝1敗で終え、幸先の良いスタートを切っている。しかし、3節のベティス戦で敗北した後に2連勝しているように、この良いスタートは決して勢いだけではなく、完成度の高さに裏付けされた継続的な強さによるものであるように思える。このアルメリア戦ではモンカジョラとアイマール・オロスという開幕から輝きを見せていたカンテラーノ2枚に代えて、ルベン・ガルシアとブラサナクという昨季スタメンを張っていた選手を起用。それぞれモンカ、オロスとはタイプが異なるプレーヤーたちが故にどうなるか、懸念もあったが、彼らの持つスキルに合わせた戦い方にチームが微調整し、輝きを引き出すことに成功。特にルベン・ガルシアはブディミルの1列下でモイ・ゴメスと良い関係を築きながら、素晴らしいチャンスメイクを見せていた。このように昨季まで積み重ねてきたハードワークを前提とした上で、選手によって相手によって、状況によって様々なスタイルに適応できるオサスナ。このクオリティは高く、今やどのチームにとっても簡単には勝てないチームになっているはずだ。この試合、エル・サダールの観衆を追い風に勝ち点3を確実にあげ、良い形でブレイクに入りたいところだ。注目はチミー・アビラ

 オサスナを牽引するこの熱すぎるゴラッソマシーンのエースは開幕より躍動中。右WGで起用されることの多かった昨季のチミーは、その勝気さゆえか対面の相手ラテラルに必要以上についていってしまうシーンが散見され、ヒートマップが自陣の深い位置に集中するような試合もあった。しかし、今季の彼は整理されたチーム状態と、その中でおそらくより明確化されるようになっているはずの彼個人に与えられたタスクを活かし、ブディミルを囮にサイドからエリア内に侵入してくるセカンドストライカーとして相手に脅威を与えている。その結果、5節終了時点で既に3Gを沈めており、リーガでのキャリアBestである10ゴールを裕に超えるペースで得点を積み重ねている。自ずと強度が高くなるであろうこの試合、エル・サダールの声援を武器に熱い男がチームを勝ちに導いてくれるだろう。


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 一方、アウェイのヘタフェは前節ラ・レアルをアルフォンソ・ペレスに迎えての一戦。相手がミッドウィークにELがあったことからターンオーバーを敷いていたこともあって、ヘタフェは序盤から良い形で試合に入ることに成功。マジョラルのPKは失敗となったものの、前半終了間際、そして後半開始直前と良い時間帯に2発を沈め、2vs1で勝利を果たした。今季初の勝ち点3をラ・レアル相手に獲れたこの結果は大きく、またアトレティコビジャレアル、ラ・レアルと続いたホーム3連戦を勝ち点4という十分すぎる形で終えることが出来るという点でも、これまでの未勝利による悪い流れを一気に覆す勝利になる可能性は十分ある。ラ・レアル戦ではヘタフェは442から532へ再変更。前節バレンシア相手に442で5点を奪われたことを理由に昨季まで使っていた532に戻したのであろうが、ラ・レアル相手はこの形が完璧にハマることに。中盤3枚がラ・レアルのダイアモンドのインテリオールとトップ下を重ね、相手ラテラルの位置までこちらのWBを大胆に縦スライドさせることで、ラ・レアルのビルドアップを完全な機能不全に追い込むことに成功。昨季までは相手ラテラルに対してはインテリオールが出ていくことが多かったが、おそらくラ・レアル用に準備してきた形なのであろうWBの縦スライドプレッシングは勝ち点3という最高の結果をもたらすこととなった。そんな中でこのオサスナ戦。キケ・サンチェス・フローレスはミラーとなる442で来るのか、それともインテリオールを出す532で来るのか、WB縦スライド532で来るのか。ここに注目することでヘタフェが何を目的にブロックを敷いているのか、それが見えてくるはずだ。注目選手はガストン・アルバレス

 昨季ウルグアイから初のヨーロッパ挑戦を果たした彼だが、昨季は出場機会を得られず。しかし、今季はオフシーズンでのアピール、クエンカの退団、クエンカの代役として獲得したアルデレーテの出遅れもあって、序列は上昇。3節のビジャレアル戦にて出場停止となったアンジレリの代わりに出場し初出場を果たした。ラ・レアル戦でも3バックの左に入ると、ある程度スペースがある中でのサディクとの1vs1でも粘り強い、良い守備反応を見せ、ヘタフェの前方へのプレッシングの意識を保たせることに成功した。供給面でもクエンカほどではないにしても良さを見せているアルバレス。この試合、オサスナ相手にラ・レアル戦のようなパフォーマンスを継続できるか。今季の注目株になるかもしれない。


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9、レアル・ソシエダ vs エスパニョール

  ホーム ラレアルの5節はヘタフェのホームに乗り込んでの1戦。ミッドウィークのオールド・トラフォードでのユナイテッド戦に勝利し、良い雰囲気のまま迎えたこの試合だったが、ヘタフェの組織だったプレッシングの前に運び出しに苦労。ターンオーバーを行ったこともあって、いつものような狭い範囲での崩しも見られず、結果ストライカータイプの2トップとトップ下に入った久保の連携という部分でも形ができない難しい状況に自分たちからしてしまった。その結果1vs2で今季未勝利だったヘタフェに勝ち点3を譲る結果に。序盤から勝ち点を拾えていただけに露呈していなかったが、やはり4♢2の形は幅を取る人がおらず、その上ラテラルの初期位置をかなり低い位置に置いているので、サイドの低い位置でハメられるという問題点が昨季から続いている。この部分をアルグアシル監督がどのように捉え、どのように改善するのかは注目したいところ。今節の相手であるエスパニョールはスライドの守備に問題点を抱えており、サイドチェンジに対して中盤の脇が空く傾向にある。ここをどのように生かすのか。タレント力に任せたアドリブ要素の強い中央突破ではない、幅を活かしたラ・レアルのフットボールが見たいところ。注目はアイエン・ムニョス

 左ラテラルに入るカンテラ出身のアイエン。開幕はディエゴ・リコがスタメン出場していたが、彼の負傷もあって唯一のトップチーム本職左ラテラルとして、継続的に出場機会を得ている。代役となる選手がいないだけに、勤続疲労は気になるところだが、現状のパフォーマンスは賞賛に値する。特にユナイテッド戦では対面のアントニーに粘り強く対応。また攻撃時には良いポジショニングと高い技術で久保とともに左サイドを制圧した。先述のようにサイドの攻防、幅の担保という部分がキーとなるであろうこの試合。アイエンが左でどれだけ違いを作ることが出来るのか。期待したい。


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 一方のアウェイ エスパニョールは前節セビージャとのゲーム。ホームで迎えた試合だったが、2vs3で敗れ、今季3敗目を喫することになった。前半の内に3点を失い、ゲームがほぼほぼ決まってしまったこの試合。後半2点を返したのはお見事だが、チームの構造的な欠陥は否めない。まずはサイドプレーヤーの不足。現在4123の形を取り、ブライスワイトとプアドをWGに並べているエスパニョールだが、これらの選手はサイドプレーヤーではなく中央のゴールに近い位置でプレーするのが得意な選手たち。故になのかディエゴ・マルティネスの指示なのかは分からないが、攻撃時は大外の崩しがラテラル1人になってしまっていることが多く、数的不利の中、無理なクロスでチャンスが消えるシーンは散見される。また守備においても442あるいは451の真ん中のラインに入るWGだが、スライドが遅れる、相手ラテラルの上がりについていきすぎるなどの欠陥が垣間見られ、結果相手に自由なスペースを空けてしまっている。ヴィリェナ、エンバルバなどを放出してしまったことで純粋なサイドプレーヤーはルベン・サンチェスのみなのが現状であり、またタレント的にプアドとブライスワイトどちらかをベンチに置くのが勿体ないこともわからなくはないが、ここをどう考えるか。注目選手はマルティンブライスワイト

 先述の通り、サイドプレーヤーとしてチームの構造上、物足りないところがあるブライスワイトだが、攻撃面では結果を残しており、合流後2試合連発中。流石の決定力を見せている。実際バルサとは後味の悪い別れ方になってしまったが、メッシを失いメンフィスらが合流する前だった昨季序盤戦では、存在感を見せていたブライスワイト。またEUROでもデンマーク代表の一員としてインパクトを残しており、その実力は確かなもの。この試合でもゴールという結果に期待したいところだ。


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10、アトレティコ vs レアル・マドリー

 ホーム アトレティコの前節はホームにセルタを迎えての1戦。結果は4vs1と快勝。ミッドウィークのCL、あるいは今節のデルビを見据え、ターンオーバーを実施したシメオネ。その期待に応えるように、代わりに入った選手もそれぞれの長所を生かした良いプレーを見せた。特にコレアは今季の序列の低さによって溜まってた鬱憤を晴らすようなプレーでこの試合のベストプレーヤーにも選出された。この勝利を持ってよい形でデルビに迎えるのではと思ったのもつかの間、ミッドウィーク、敵地とはいえ格下であるレヴァークーゼンに0vs2で敗北。内容面でも芳しくないものがあり、一気に悪い雰囲気に落ち込んだところでこのデルビを迎えることとなった。連敗は許されないアトレティコ。この試合は決死の覚悟がチーム全員に求められる。

プレー面で懸念が残るのは、右サイド裏を突かれる展開が続いている部分。ラ・レアル戦、ポルト戦とWBを間につり出したところに左WGに加えもう一枚が入ることで、右CBを悩まし、結果その裏を取るという展開がアトレティコ攻略の1つとしてテンプレート化しつつある。マドリーの左サイドは言うまでもなくヴィニシウスであり、そこに絡むのはメンディ、アザールあるいはロドリゴとタレントぞろい。またヒメネスのコンディションもケガ明けということで未知数。大きな不安を抱えてデルビに臨むこととなる。この部分をシメオネがどのように考えるかは見どころ。昨季のメトロポリターノでのデルビはマドリーにとってほぼ消化試合のような形になっており、勝利したとはいえ悔しさの残る試合になった。その屈辱を晴らすためにもこの試合は勝利という最高の結果を求めたいところだ。注目選手はヤニック・カラスコ

 このベルギー代表WGはビジャレアル戦、ラ・レアル戦、ポルト戦と低調な出来が続き、中々存在感を示すことが出来なかった。しかし、前節のセルタ戦では左IHの位置にレマルが入ったことで、カラスコも躍動。上手くポジショニングを取りながら時にサポート役といて、時にチャンネルランでポケットを取りに行き、時に囮の動きでドリブル突破を助けてくれるレマルの存在は左サイドからの打開力を再び生み出した。この試合ではカラスコの対面は世界最高のラテラルといっても過言ではないカルバハルであり、いくらカラスコと言えど、アウトナンバーあるいは単純な1vs1でも抜ききることは難しい相手。ここにレマルになるかは分からないが左IHに入る選手がどのような絡み方をできるのかがカギとなってくる。しかし、ここでもう一つ疑問になるのは、カラスコの突破を起点にマドリーを押し込むことをシメオネが望むのか。今季PSMから作ってきたボール保持にこだわる形をシメオネが継続するか、それともいつものデルビのように消極的に後ろに重たい形になってしまうのか。試合へのシメオネのスタンスを判断するためにもカラスコと左IHの位置取りは注目だ。


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 ホーム マドリーの5節はベルナベウでのマジョルカ戦。マドリーとしてはかなり珍しいミッドウィーク開催となったこの試合は、その影響もあってか、マジョルカの541ブロックを崩せない展開に。ペナルティエリア付近に9人のフィールドプレーヤ―を置き、そしてその1人ずつにしっかりと役割が整理されているマジョルカ相手に、ベンゼマを欠いたマドリーは崩し切れず、ミドルシュートで攻撃を終える展開が続いた。その中、セットプレーからムリチに得点を奪われ、まさかの失点。しかし、ここからが流石のマドリー。まずは前半終了間際、マジョルカがボールキープで終わらせればよかったところを軽率なクロスを上げ、クルトワに獲られてしまったことで、マドリーのロングカウンターが発動。541を作り切れていないマジョルカ相手に得点を奪うと、その後は徐々にマジョルカの足が止まってきたところで3点を追加。終わってみれば4発快勝となった。またミッドウィークのライプツィヒ戦では多少のターンオーバーを使いながら2vs0で勝利。またもや前半は裏抜けから決定機を作られる展開が続いていたものの、相手の愛が止まったところを見逃さず、ラスト10分で2点を奪い、今節CLリーガ勢唯一の勝ち点3をあげた。このように、しっかりと勝負所を見極め、自分たちの時間で一気に試合を決めていまうマドリー。流石の一言であり、この強さは今季も健在。このデルビでも敵地で試合巧者ぶりを見せつけられるか。ベンゼマがいない中でのメトロポリターノ デルビ勝利は、大きい意味を持つだろう。注目はヴィニシウス・ジュニオール

 ベンゼマ不在の中、チームを引っ張るエース。ライプツィヒ戦で途切れてしまったものの、それまで4戦連続ゴールをあげており、好調を維持している。マークが厳しくなったこともあって、昨季までのように相手をぶち抜くというシーン自体は減っているかもしれないが、その分、ここぞという時の決定力はますます上昇傾向。マドリーのエースとしてその風格を漂わせている。先述の通り、アトレティコは右サイドのスピード勝負という点で後れを取るシーンが垣間見られており、ヴィニシウス対策という形で、布陣もしくは戦い方を微調整してくる可能性はあるが、それにしてもヴィニシウスが相手に大きな脅威を与えることは疑いようのない事実。実際18-19シーズンにもメトロポリターノの地で左からの仕掛けで、かなりのチャンスを作っていた。当時PKの判定で物議を醸したヒメネスとのマッチアップになることも予想され、ケガ明けの相手にどこまで打開できるか。注目だ。


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ラ・リーガ5節プレビュー

1、初めに

 皆さんこんにちは。よろしくお願いいたします。

 今週は例年に比べ早くヨーロッパカップ戦が始まったということもあり、選手にとってもサポーターにとっても多忙な日々が続いておりますね。無理なく楽しんでいきたいと思います。リーガ勢の奮闘を願いつつ、このブログではラ・リーガというリーグの魅力を少しでも伝えていければと思っております。よろしくお願いいたします。

2、ラ・リーガ第4節レビュー

 第4節はPartidazoが3つ。1つ目のマドリーvsベティスの3連勝同士の対戦はマドリーが2vs1で勝利。オープンな展開となったこの試合。マドリーは個での違いを見せつけ、見事その土俵で完全勝利。流石の王者として見事な試合で勝ち点3を獲得した。2つ目はアノエタでのラ・レアルvsアトレティコ。判定に疑問が残る後味の悪い試合となったものの、試合内容としては非常に強度の高い良いゲームに。それぞれがジョレンテ、アリチョーの所で質的優位を作り、チャンスを作る展開。そのポイントから両者が得点を奪い、1vs1と勝ち点1を分けあう結果となった。そして最後の1つがセビージャvsバルセロナ。この試合は不調セビージャが序盤こそ用意してきたプランでバルサを苦しめたものの、バルサは前線の質でカウンターから得点。その後は前傾姿勢となったセビージャに対し、バルサが得点を重ね0vs3で決着。バルサはマドリーに次ぐ2位まで順位を上げることになった。

今節のPick Up Playerに選出したいのはユヌス・ムサ。 

 今節、バレンシアはヘタフェと対戦。ソレールをデッドラインデーに失い、今季ガットゥーゾ就任以降作ってきた形が崩れてしまうのではないかという懸念があった中、その穴を完璧に埋めたのがムサ。4123のインテリオールのポジションが1人は降りてビルドアップに関わり、もう一人はトップ下的な位置取りで崩しのタクトを握るバレンシア。その中でムサは前節までは前者のタスクを担っていたが、ソレール退団後の今節は後者の役割に。ライン間で上手くボールを引き出す他、元々サイドプレーヤーである特徴を生かし、両ワイドに流れる動きを入れることでマーカーを揺さぶる場面も垣間見られ、そこから素晴らしいスルーパスで2アシストを記録。一昨季に快速WGとして名を広めたムサだが、徐々にポジションは中になり、今季はインテリオールとして圧倒的な存在感を魅せている。来季以降プレミア方面を中心とした引き抜きは怖いところだが、ソレールなき今、彼が中心となり名門復活を果たしてもらいたいところだ。

その他の結果、ベスト11(サブ組まで)は以下の通り。

3、ラ・リーガ第5節プレビュー

1、ジローナ vs バジャドリー

 ホーム ジローナの前節はマジョルカ相手に1-1のドロー。87分にイガンインのゴールを許す厳しい展開なりながらも、終了間際に得たPKをサム・サイスが沈め、何とか敵地でドローに持ち込んだ。この試合では当初4~5週間の離脱になると言われていたロドリゴリケルメがまさかの復帰。更に新加入のロメウに加え、アルナウやレイニエルなど今季初スタメン組を多くメンバーに取り込んだ新鮮なスタメンで臨むこととなった。前節までの2トップの形はストゥアニが良性不整脈により1ヶ月の離脱が決まったことで、継続できなくなり、形は541。ロロ、レイニエルを中心にゲームを組み立てようとしたが、ロロ以外のポイントが中々作れず、ヘタフェ戦やセルタ戦に比べるとボール保持において苦労。課題が残る1戦となった。ここまで1勝1分2敗と昇格組にしてはまずまずのスタートを切っているジローナ。ホームの地で昨季ともにセグンダを戦ったライバル相手に勝利を挙げることで良い軌道に乗っていきたい。注目はバレンティン・カステジャノス。

 今季鳴り物入りで同じシティグループのニューヨーク・シティから加入したアルゼンチン人ストライカーはここまで全4試合に出場を果たし1G。フィニッシュ面以外にも降りてきてのポストワークの形はジローナのボール保持に大きく貢献しており、既に欠かせない存在となっている。先述の通り、ストゥアニが離脱となる中、純粋なストライカータイプは彼1人。よりゴールにこだわり、ジローナを勝利に導ける存在になれるのか。この昇格組直接対決での活躍に注目したい。


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 一方 アウェイのバジャドリーは前節、ホームにアルメリアを迎えた一戦にアディショナルタイムのゴールで勝利。決勝点を沈めることになったのは途中出場という形で、負傷からの復帰を果たした昨季のチーム得点王 イスラエル代表のヴァイスマン。エースの存在感の大きさを示す一発が、苦しむチームに今季初の勝利へとつながった。とはいえ、内容が劇的に改善したかと言われるとそうではなく、サディクを失い再構成真っ只中の状態の悪いアルメリアにタレントの質で上回り勝利というような内容であった。この勝利に満足しているようでは間違いなく、上手く行かなくなる時が来ることが容易に予想出来、勝ち点をできるだけ拾いながらヴァイスマンを中心にどのようにチームを作っていくのか注目だ。この試合の注目選手はショー・ヴァイスマン

 先述の通り、復帰早々チームに勝利をもたらすゴールを決め、エースたる所以を見せつけたヴァイスマン。今年でバジャドリーでの3シーズン目となる彼は、前回プリメーラ在籍時にも加入1年目にして6G1Aと悪くない成績を残しており、昨季はセグンダの舞台で20Gとしっかりスペインで結果を残してきているスコアラーだ。彼の不在時に1トップに入っていたセルジ・グアルディオラが味方と絡みながらのポストワークに魅力を持つタイプの選手なのに対して、ヴァイスマンはより純粋な9番タイプ。アルメリア戦でもわずか5回のタッチで1点を奪っており、グアルディオラとのタイプの違いは歴然。このタイプの異なるストライカー2枚をどのように使い分けるか、あるいは併用するか。パチェタの判断に注目だ。


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2、ラージョ・バジェカーノ vs バレンシア

 ホーム ラージョの前節はオサスナ相手に1vs2で敗戦。前節同様、ケガ明けのイシ、また前節までゲームメイクを司っていたウナイ・ロペスの2人をベンチに置いたラージョは前半からパスミスが多く、中々自分たちのペースをつかめない時間が続いた。唯一アルバロ・ガルシアの左サイドでの打開は可能性を感じうるものにはなっていたが、ここも対面のナチョ・ビダルの奮闘で完全に攻略しきることはできず。セットプレーから1点を取ったものの、終了間際に失点を許し、前節に続いて連敗となった。今節迎える相手は昨季2試合共に引き分けに終わったバレンシア。現在ホーム バジェカスの地では11試合未勝利となっており、圧倒的強さを誇っていた要塞 バジェカスがあらゆるチームに完全に攻略されてしまっている。もう一度ホームでの強さを取り戻し、3連敗を阻止するため、何としても勝利が必要な1戦だ。注目はイシ・パラソン

 怪我の影響で2試合連続スタメンから外れたイシ。しかし、その不在がこのチームにおける彼の重要性を再認識させるものに成った。右側のライン間を狙い、ボールを引き出す彼の存在は両サイドからのサイドアタックを得意とするラージョにとって欠かせないもので、他に右サイドを務めることのできるサルビ・サンチェス、べべもイシとは大きくタイプが異なる。このラージョにおいて唯一無二の存在であり、トレホと並んで変えの利かないイシがどのようなパフォーマンスを見せるのか。注目だ。


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 一方、アウェイのバレンシアは前節ヘタフェ相手にメスタージャで5vs1の快勝。チームの大黒柱であったソレールがPSGへ移籍。また、期待のカバーニもまだコンディションが整っていないということでベンチスタートになる中、輝きを放ったのが先述の通り、ユヌス・ムサであった。彼を中心に今季PSMから作り上げてきた形を崩すことなく、実践した結果、メスタージャで最高の形での勝利を掴むことに繋がった。開幕から得点はPKによる1点のみと、最後の部分でかみ合わないことが多かったバレンシアだが、この試合では見事な崩しの形を見せており、この試合をきっかけに勢いに乗る可能性は十二分にある。更に今節からはガヤが復帰。ということで注目はホセ・ガヤ

 理不尽な出場停止処分により4試合の出遅れとなったガヤだったが、結果的には代わりに入ったヘスス・バスケス、ラト共に好パフォーマンスを見せており、チームの底上げという観点でポジティブな効果をもたらすことに。内外を使い分け、ポゼッションサッカーに外から貢献する形は、ガヤはラ・ロハでもやってきた形であり、このガットゥーゾサッカーにも問題なく入ることが出来るはず。復帰初戦から躍進中の後輩たちに格の違いを見せつけるようなパフォーマンスに期待したい。また、ソレールが退団した今、クラブ一筋のカピタンとしてガヤに求められる役割は昨季以上に大きくなる。苦しいここ数年をガットゥーゾとともに乗り越えるため、クラブのアイデンティティを示す象徴として、今季のガヤに懸かる期待は大きい。


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3、エスパニョール vs セビージャ

 ホーム エスパニョールは前節アトレティックにアウェイで勝利。非常に大きい今季初の勝ち点3をサン・マメスから持ち帰ることに成功した。終始アトレティックに追い込まれ、最終的に17本ものシュートを浴びせられる苦しい試合だったが、デットラインデーにバルサから加入して早速のスタメン出場となったブライスワイトのゴールで勝利を掴み取った。この勝利は非常に大きいがしかし、ただでさえ層が薄く、その上けが人も多かった状況に、この試合ではケイディ・バレとフェルナンド・カレロの2人が怪我で交代。負傷者リストに名を追加させることとなった。それに獲得オペレーションが少なかったことも加え、現在ベンチにトップチームの選手が半分以下という難しい限られた戦力の中でのやりくりがディエゴ・マルティネスには求められている。セビージャBの監督を務めたディエゴ・マルティネスにとっては古巣対決となるこの試合。彼のやりくりに注目だ。選手として注目はアルバロ・フェルナンデス

 スペインアンダー代表にも選ばれていたアルバロは一昨季ウエスカで良いパフォーマンスを見せながらもチームの降格に伴い移籍。プレミアのブレントフォードというチームでプレーした。しかしラ・ロハに選ばれるほどの実力を持ったダビド・ラヤの控えに留まり、出番はなかなか得られず。今夏にエスパニョールへと移籍をすることになった。このチームでもライバルとしてベンジャミン・ルコントという実績十分のGKがいるだけに高いレベルでの争いがなされるものと予想される。練習からのアピールでアルバロがスタメンのざを勝ち取り切れるのか。注目だ。


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 一方、アウェイのセビージャはバルセロナ相手にホームで3vs0で完敗。これで前節のアルメリア戦に続き連敗となり、開幕以来ここまで1分3敗未勝利と想像以上に深刻な状況に陥っている。とはいえ、バルサ戦の内容はここまでの中では一番良く、4♢2の形でトップが外切りでCBに圧をかけ、♢の頂点に入るイスコがブスケツを見る形でのプレスは特に序盤20分はかなり効いており、決定機も作った。しかし、ロングカウンターから先制を許すと、それ以降はDFラインの綻びが目立ち2失点。前回の記事でも言及したようにリーダー対応のDF不在により、スライドや絞りなどの部分が状況ごとに決めきれず、結果そのミスを突かれ失点という事案が増えている。この試合ではフェルナンドを後ろに下げることでそれを改善しようとしていたが、昨季もやっていたとはいえ本職MFの選手にDFラインの統率をしろよ言われても厳しい部分が大きかった。移籍期間も終わり、もう選手の追加はできない今、誰がどのような形でDFラインを構成し、まとめていくのか。早急に定める必要がある。ミッドウィークのシティ戦でも0vs4で完敗し、どん底にまで落ちた今のセビージャ。そんな中で迎えるこの試合。注目はあえてジュレン・ロペテギ監督をあげておく。

 この試合の結果次第では解任の2文字がはっきりと見えてくるであろうロペテギ。4年目を迎え、これまでの3シーズン全てで4位以内のCL出場条件確保と偉大な成績を残してきた偉大な指揮官も別れの時が近づいている。1シーズン目で見せたサイドチェンジを中心としたダイナミックなサイドアタックは今では影を潜め、中盤にテクニシャンを並べたポゼッションが今のチームのスタイルとなっているが、その形が上手く行っているわけではなく、修正する気配もない。バルサ戦ではチャレンジャーとして相手に合わせる形で一定の内容は見せたが、それでも完敗。シティ戦は成すすべなく敗戦。格下相手であるこの試合にどのような戦い方を選択するのかは注目だ。1つの判断ミスがセビージャ監督としての命取りになる。


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4、カディス vs バルセロナ

 ホーム カディスの前節はセルタ相手に3vs0で完敗。これで開幕4連敗となり更には開幕から未だに無得点と非常に苦しい状況にある。この試合のカディスは前節までとは打って変わって、451の布陣でスタート。サン=エメテリオを底に置き、その前にブランコとアラルコンを並べる形の中盤を逆三角形で構成することとなった。この3枚はこの試合で非常に良い役割を果たしており、セルビやオスカルを上手く自分の背中に隠しながら、アイドゥー、ヌニェスにプレス。その結果、セルタのボール保持を外循環に追い込むことが出来ており、前半は決定機らしい決定機をほぼ作らせなかった。後半も良い形で入ってはいたが、エスピノのミスにより失点して以降は前掛になったところを突かれ、更に2失点。終わってみれば3失点と非常に厳しい結果となった。状況を鑑みてもなんとか勝ち点が欲しい今節の相手はバルサ。力関係を考えると絶望的状況だが、実はカディスは3年前の昇格以来の4試合、バルサに負けたことが一度もないという非常に良いデータを持っている。この相性の良さを活かし、バルサを下すことが出来るか。ここで勝てれば状況は一気に変わる。注目はテオ・ボンゴンダ

 前節カディスデビューを果たしたこのコンゴ代表のウインガーは、昨季まで伊東純也の在籍していたヘンクで活躍。昨季は12Gをベルギーリーグで挙げている。更に14-15~16-17の間にはセルタの一員としてラ・リーガでも活躍。シストやアスパス、ジュゼッペ・ロッシやグイデッティなどの個性あふれる選手とともに、躍動しベリッソ監督指揮下でののELベスト4の一員となった。そして6年の時を経てLaLigaへと舞い戻っていた彼。当時の印象ではドリブルの突破力は目を見張るものがある一方で、フィニッシュの精度には多くの課題を残す典型的な若手ドリブラーといった印象だったが、今ではどうなっているだろうか。得点力不足に苦しむカディスを救うヒーローになれるか。期待したい。


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 一方、アウェイ バルセロナの前節はセビージャ相手に3vs0の快勝。序盤こそ、セビージャがバルサ用にシフトしてきたハイプレスの形に苦労させられたものの、ロングカウンターから得点を奪うと、その後もレヴァンドフスキ、デンべレ、ラフィーニャで構成する3トップの個の突破力と破壊力で前に出てくるセビージャの裏を突き、試合を優位に進めた。開幕戦よりチャビの采配に対する疑問の声は今もなお止むことがないが、アノエタのラ・レアル、ピスファンのセビージャという2つの難所を完勝して乗り越えていることは十分評価に値する。今節の相手はカディス。力関係的には問題になることすらない相手だが、先述の通り、過去の対戦成績ではバルサは一度もカディスに勝てていない。同じく相性の悪いラージョにカンプ・ノウで勝ち点2を取りこぼしただけに、このカディス戦を超えられるのかは見どころだ。注目はラフィーニャ

 今季リーズから加入したブラジル人アタッカー。加入前はその移籍金の高さから疑問視する声も多く上がっていたが、PSMから良くチームにフィットしており、右サイドからの個での剥がしという点でチームにとって大きな武器となっている。2節まではバルサの右ラテラルが定まっていなかったこともあって、連携という面では物足りなさを感じていたが、クンデがそのポジションに入るようになってからはそこも問題ではなくなり、より一層破壊力を増している。CLとの兼ね合いもあり、どこまでこの試合で時間が与えられるかはわからないが、カディスの引いたブロックを壊すには彼の突破力と左足の精度が必要だ。

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5、アトレティコ vs セルタ

 ホーム アトレティコの前節はアノエタの地でラ・レアルと1vs1のドロー。勝ち点1を持ち帰ることとなった。アノエタが非常に難所であることを考えれば、勝ち点1は悪い結果ではないという見方もできないことはないが、メトロポリターノでビジャレアルに敗れていた以上、必ず勝ちが欲しい試合だったことは間違いない。主審を務めたソト・グラードの采配に不可解な部分がかなりあったのは否定できない事実だが、それでもラ・レアル戦のアトレティコには課題が多く残った。また開幕4節にして欠場者が多発しており、サヴィッチ、レマル、クーニャが負傷離脱中。そこにラ・レアル戦ではオブラクも加わり、例年通り早速負傷者に苦しめさせられている。そんな苦しい台所事情とはいえ、これ以上の取りこぼしは何としても避けなければならないアトレティコポルト戦の劇的な勝利を追い風にメトロポリターノでのこの1戦は勝ち点3がマストだ。注目選手はレイニウド・マンダヴァ

 昨季冬にリールから加入したモザンビーク代表の彼は今季も圧巻のプレー内容を見せている。圧倒的な守備力で右からの攻撃をシャットアウト。単純な対面での対人守備だけでなく、シュートブロックや背走での対応もうまい彼は守備能力でいえば、間違いなく世界最高の左ラテラルだ。この試合では彼のマッチアップはセルビあるいはアスパス。特にアスパスをここで止めることが出来れば、セルタ攻略は一気に容易なものとなる。今節も彼のプレーには否応でも注目が集まることだろう。


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 一方のセルタは前節 カディス相手に3vs0で勝利。ビルドアップのフェーズにおいてライン間への楔をかなり警戒してきたカディスの451ブロックにかなり苦しめられ、CBの特にアイドゥーの位置でハメられることも多かったが、相手のミスをつきアスパスがゴラッソを沈めて以降は、カディスが出てくるようになった分、ライン間が空くようになり、オスカルの初ゴール、アスパスの1点目を超えるスーペルゴラッソで3点をGet。終わってみれば快勝という結果になった。この試合ではアスパスはもちろんオスカルの出来もかなり良く、コウデがSHに与えるライン間での引き出しというタスクと、彼の得意な降りてのゲームメイクやキック精度の高さを上手く融合させて、輝きを放った。ブライス、デニス(事実上)抜けることとなった中盤の新形態は良い形で試合の度に成長しており、穴は十分に埋まることだろう。そんな良い状況で迎えるアトレティコ戦。アトレティコは当該対決で直近7試合勝利がない相性の悪い相手。そんな強豪相手にどこまでやれるのかは今季のセルタを図る試金石になるだろう。注目はヨルゲン・ラーセン

 デッドラインデーに移籍が決まったこのノルウェー人ストライカーは昨季、フローニンゲン在籍時にエールディビジで12Gをあげており、22歳にしてそれなりの実績を持っている。ホーランを筆頭にノルウェーのストライカーがヨーロッパで注目を集めており、また9番候補だったパシエンシアがある程度の期間離脱をすることが決まってしまったため、唯一の純粋な9番として懸かる期待は大きくなる。実際、カディス戦でも後半開始から投入されると、基準点としてまたクロスのターゲットとして、193㎝の伸長を誇る彼は存在感を見せており、今後に期待が持てる好パフォーマンスであった。この試合アトレティコ相手に強烈なインパクトを残すことが出来れば、一気にスターダムに乗っていく可能性も否定できないだけに、注目は必須だ。


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6、レアル・マドリー vs マジョルカ

 ホーム マドリーの前節はベルナベウで行われたベティスとの3連勝対決に見事勝利。唯一の4連勝を果たした。リーガでは珍しいかなりオープンな展開となったこの試合。マドリーも必然的に、ファンミやカナレスなどを中心とする強力ベティス攻撃陣に数的不利な状況で対応せざるを得ない場面も目立っていたが、ミリトン、メンディといったアスリート能力に優れる守備者が完璧な対応。クルトワまでは行かせず、ベティスの足が止まりかけたタイミングでフェデ・バルベルデという究極のエンジンを搭載したスーパーカーを投入し、勝敗を決定づけた。拮抗しているように見せて、完全にゲームを掌握し、勝負所で決着をつける。これぞマドリーという試合展開での勝利はチームの良い流れをより一層加速させるだろう。またミッドウィークのセルティック戦では3vs0での完勝。前半の内容、またベンゼマミリトンが違和感を覚えるなど不安要素も多い結果となったが、、アザールインパクトを残したのは非常に大きい。ベンゼマの代役としての地位を今度こそ確立できるか。期待したい。そんな中迎えるこの試合、マジョルカの状態が良いとはいえ、余裕を持った勝利が求められる。注目選手はマルコ・アセンシオ

 今夏には退団の噂が現実味を持った形で伝えられたアセンシオだが、最終的には残留。しかし、開幕4戦で出番はセルタ戦のわずか8分とかなり厳しい状況に置かれている。マジョルカ戦でも出番がどれほど与えられるかは分からないが、ミッドウィークのCLを経てのターンオーバーが考える中、彼にも一定時間の出場機会は与えられるはずだ。ブロックを引いて来るであろうマジョルカ相手に彼のスペシャルな左足は大きな脅威であり、マジョルカ出身である本人の意気込みも高いはず。W杯に向けても、この状況を何とか打破しなければいけないアセンシオ。この試合でアピールすることが出来るのか。注目だ。


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 一方のマジョルカはホームでジローナ相手に1vs1のドロー。終盤に前回の注目選手に挙げたライージョがセットプレーから得点を奪ったものの、コぺテがPKを与えてしまいドロー決着。本拠地で悔しい勝ち点1となった。とはいえ、ここまで1勝2分1敗と悪くないスタートを切っているマジョルカ。この勢いをどこまで継続できるかが、今後残留という最大の目標に向けての注目ポイントとなる。思えば、昨季もシーズン序盤こそ良い形で入りながら、マドリー相手に1vs6で敗れ、一気に勢いを萎ませてしまった。今季はその前回とは違うところを見せられるのか注目だ。注目選手はイ・ガンイン

 今季のマジョルカにおいて攻撃の全タクトを振っていると言っても過言では無いのがこのイ・ガンインだ。532の2トップの一角として入るとムリチよりも少し降りた位置でボールを引き出し、馬力あるドリブルで前進。元々課題だった球離れもかなり改善されており、結果として4試合で1G2Aと圧巻のプレーを見せている。押し込まれることが常といっても過言では無いマジョルカにとってロングカウンターを完結させられるタイプのチャンスメーカーとしてイ・ガンインの存在は欠かすことが出来ない大きな武器。マドリー相手にも彼の打開力が通用するのか。普段以上に押し込まれるであろうこの試合。ここが一方的に殴られるか、相手に一杯食わせられるかを分ける。


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7、エルチェ vs アトレティック・クルブ

 ホーム エルチェはビジャレアル相手に0vs4で完敗。前節のラ・レアル戦同様、相手に合わせた形での守備布陣を組んできたエルチェ。特に左の大外を取ってくるペドラサに対しては前節まで左サイドに入っていたテテ・モレンテを当て、時には5バック気味になるような形で対応。ビジャレアルの特徴的な可変の形には良く対応していたものの、その可変の形をビジャレアル側が崩し、ポジションチェンジをやるようになると、ほころびが目立つように。結果的には4失点という結果になってしまった。開幕から1分3敗と厳しい流れが続いているエルチェ。もちろん相手がベティス、ラ・レアル、ビジャレアルと難しい相手ばかりであることは事実だが、流れを変えるためにもそろそろ勝利が欲しいところだ。注目選手はカルロス・クレルク

 デッドラインデーにモヒカが引き抜かれてしまったことでスタメンに昇格し、左ラテラルとしてその座がゆるぎないものとなったクレルク。とはいえ、彼のスタイルは前任者のモヒカとは大きく異なるものであり、巧みな技術を活かした彼の武器は爆発的な身体能力で左大外レーンを制圧していたモヒカと同じ使い方では当然活きてこない。このクレルクをチーム構造のなかにどのように取り込んでいくのか。ここが一つ早々に修正しなければいけない課題だ。また彼個人としてもニコ・ウィリアムスとのマッチアップとなる今節は負担が非常に大きくなる。ここの勝負でどこまで食らいつけるか。注目だ。


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 一方のアトレティックもまた前節は0vs1の敗戦という悔しい結果に。本拠地サン・マメスにエスパニョールを迎えた1戦。圧倒的に相手を押し込み、何度もチャンスを作ったものの決めきれず、その間に一瞬のスキを突かれて失点するというアドゥリス以来ずっと継続している得点力不足が露骨に結果に影響してしまうこととなった。快勝を果たしたカディス戦の後だっただけにこの敗北は痛く、もう一度流れを作り上げる作業に戻されることとなってしまった。ある程度個の能力に依存する部分の大きい決定力という能力は、アトレティックのアイデンティティとしてバスク純血主義がある以上、簡単に解決するわけはなく、バルベルデとしてもどのように手を加えるべきなのかは特に頭を悩ます部分。当面はイニャキを筆頭にグルセタ、ビジャリブレなどの決定力向上を祈る以外に対策がないようにも思える。今節の注目はオイハン・サンセ

 昨季は442の2トップの一角として入り、ゴールに近い位置で相手の脅威となっていたサンセ。結果として6G4Aとスコアリングポイント10を果たした。しかし、マルセリーノからバルベルデへ監督が代わり、フォーメーションも4123に変更されて以来、彼の役割は激変。より低い位置でボールを引き出しつつ、サイドの崩しに合わせ、所謂チャンネルランと言われる動きを入れることが多く見られた。試合を重ねるうちにこの役割に彼も順応し始め、チームとしても上手く行っている部分はある一方、やはりサンセをゴール洗離れた位置に置くことが勿体なく思えるのもまた事実。前節を経てバルベルデがどのような采配を見せてくれるのか。注目だ。


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8、ヘタフェ vs レアル・ソシエダ

 ホーム ヘタフェは前節メスタージャに乗り込んだものの、バレンシアに1vs5で完敗。スコアレスに抑えたビジャレアル戦に続き442で挑んだヘタフェだったが、バレンシアのサイドチェンジに苦しめられ、スライドの間を狙われることで失点。それにミスが重なることで15分で早くも試合を決められてしまうこととなった。ここまで難敵との対戦が続いていることもあって、1分3敗、失点数は11で20チームワーストと苦しい状況が続いているヘタフェ。もちろんルイス・ミジャ、アルデレーテなどチームの核になってもらいたい新戦力が負傷により合流が遅れている側面は否定しきれない部分だが、それにしても今夏の積極補強の割には寂しい結果が続いている。更にこの試合ではDFリーダーのジェネが負傷。程度がどこまでのものかはわからないが悪い流れが続いているのは間違いない。何とかこの流れを食い止めたいところだが、今節の相手もまた強敵ラ・レアル。難しい試合になることは間違いない。注目はポルト

 今夏ラ・レアルから移籍してきたポルトゥにとって古巣対決となるこの1戦。ここまで上手く行っていないヘタフェの中で彼も苦労しており、中々決定機に絡むことはできていない。442に変更して以来、左SHとして起用されているポルトゥ。右SHのアレニャが積極的に中に入って絡もうとする一方で、ポルトゥは左の大外に張り、そこからランニングで背後を狙うタスクを与えられている。前節442の形で大量失点し、後半からは532の形に代わっていたこともあって、ヘタフェが442の形を維持してくるのか532に戻すのかは分からないところだが、ポルトゥの走力は間違いなくどこかでキーとなってくるはず。古巣相手に恩返し弾となる一発に期待したい。


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 一方のラ・レアルは前節、本拠地アノエタでアトレティコ相手に1vs1のドロー。双方にチャンスがあったため、ともに勝ちたかったと思っているかもしれないが、アトレティコ相手に勝ち点1をしっかりと拾えたのは大きい。バルセロナアトレティコという難敵との連戦となったアノエタの地だが、1分1敗ということでまずまずの結果というところだろうか。この試合では2トップの一角に入ったアリチョーが相手RCBのヒメネスの裏を取る形がチームとした確立されており、そこから狙い通りの形で得点まで繋げた。4♢2の完成度は日に日に高まってはいるものの、その前提となっているのが、インテリオールに入っているブライスとメリーノのハードワーク。ここに入っている2人の仕事量は信じられないほど多く、結果として60~70分過ぎに足が止まってくることでチームとして後ろ重心になってしまうのが恒例となっている。しかし、代役となれる存在は現実的にはおらず、ここをどう考えるかはイマノルの腕の見せ所。過密日程が始まってくる中で注目していきたい。この試合の注目選手はやはりウマル・サディク

 デッドラインデーに加入したナイジェリア代表の彼はラ・レアル初出場を果たすと、直後からそのポテンシャルの高さを惜しみなく披露。それまでセルロートを完封していたレイニウドをそのパワーと高さで攻略。アリチョーのクロスに合わせて早速初ゴールを沈めた。アフリカ系の選手らしく、速くて強くてデカいを体現したような彼は今後も多くのチームに大きな脅威を与えることになるはず。ユナイテッド戦では中々インパクトを残すことはできなかったが、ブロックを作ってくるであろうヘタフェ相手には彼の高さ、速さは大きく武器になる。出し手は大勢いるだけに、得点王さえ夢ではない。


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9、ベティス vs ビジャレアル

 ホーム ベティスの前節は3連勝対決となったマドリーとの1戦。結果は1vs2での惜敗となった。ウィリアン・カルバーリョが間に合わず、フェキルも前半早々に負傷で交代することとなったベティス。高い位置で時間を作れる2人のキーマンを失くしたベティスに残された手はオープンな展開でのカウンター合戦のみだった。先制を許しながらも、カナレスのゴールで追いつき、その後も果敢にゴールを狙ったベティスだったが、ミリトンの壁を越えられず。また、フェキルに代わったルイス・エンリケがブレーキとなり、追加点を奪えずにいると足が止まり始めた。後半60分過ぎから登場したフェデ・バルベルデの馬力についていくだけの体力は残っておらず。追加点を奪われ勝負ありとなった。とはいえ、主力を3枚欠いた中でマドリー相手にここまでやれたのは誇っていいところ。今節この流れを勝利でしっかり断つことが重要だ。しかし、ミッドウィークのELにてファンミが負傷。どうやらある程度の期間かかりそうであり、この部分をどう考えるかはペジェグリーニの手腕が試されるところ。フェキル、ファンミというチームの最重要人物と言っても過言ではない2人を欠く中でどのような戦いぶりを見せられるか。今節の相手はビジャレアル。このタイミングで昨季ダブルを許した強敵と当たってしまうのは厳しいところだが、悪い流れに持っていかないためにも前節以上に重要な試合だ。注目はルイス・フェリペ

 ラツィオから今夏加入した彼はサスペンションで欠場したペッセラに代わって初めてのスタメン出場を果たすと、見事なパフォーマンスを披露。オープンな展開の中で仕掛けるヴィニシウスやベンゼマといったタレントたちに良く食らいつき思うような仕事をさせず、流石セリエAでも有数のDFとして評価されていただけのパフォーマンスを見せた。ビルドアップにおいても、冷静にしっかりと裁いており、平均レベルの貢献がしっかりと出来ることは見せた。ペッセラも開幕から好調を維持していただけに、どちらがスタメンとなるかは分からないが、バルトラの穴は完全に埋まったと言えるだろう。


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 一方 アウェイのビジャレアルはエルチェ相手に4発快勝。しっかりとボールを握りながら、いつも通りのポジショナルプレーにポジションチェンジを加えることで相手を揺さぶり、得点を奪うなど貫禄すら感じさせる見事な出来であった。後半にはミッドウィークを含めた今後の日程に向け、ジェラールやピノ、ロチェルソを温存する余裕を見せ、交代後も止むことのない攻撃力でエルチェを圧倒しきった90分となった。第3節において隠したヘタフェ相手に崩し切れず、スコアレスドローという昨季からの悪癖を再び見せる展開となってしまっていただけに、この試合でしっかりと大量得点で勝利できたのは大きく、今節のベティス戦に向け、良い形で臨むことが出来るだろう。昨季強さを誇ったベティスを圧倒してダブルを達成したビジャレアル。相性の良さを今季も見せることが出来るか。注目はキコ・フェメニア

 ヘタフェ戦で負傷したフォイスに代わって出場したキコは、この試合ではフォイスの普段行っている3バック化しての供給に加え、彼とは異なり純正ラテラルらしいオーバーラップからアシストを記録するなど、良いパフォーマンスを見せた。とはいえ、相手が比較的余裕をもって戦える相手であったこともあって、ベティスの強力攻撃陣相手にどこまでできるのかは未知数。昨季までプレミアの舞台で経験してきたであろうことを活かした守備に期待だ。


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10、アルメリア vs オサスナ

 ホーム オサスナは前節、敵地で同じ自動昇格組のバジャドリー相手に敗戦。サディクを失い、またこれまでの試合と比べてよりボールが持てるようになったことで、中々得意とするロングカウンターの形が作れず。今季ではこの試合で初めて導入することになった4213の形も特に、守備面において課題を多く残す格好となった。もちろんデッドラインデーにサディクを失った以上、仕方ないということもできるが、サディクの退団は元々叫ばれていたことであり、失って初めて違う形を準備したと言ったことはないはず。一刻も早くルビの下で、新たな元エースにこだわらない形を作る必要がある。今節の相手であるオサスナは昨季コパ・デルレイにおいてPK戦にて敗退に追い込んだという良いイメージが残っているチーム。新チーム体制として初勝利が欲しいところだ。注目選手はアドリアン・エンバルバ

 ラソに代わり今夏エスパニョールから移籍した彼はチームの10番をつけ、さっそく登場。かつてはラージョのカンテラーノとして象徴的存在だったエンバルバ。その後移籍したエスパニョールではセグンダでこそ大暴れをしたものの、プリメーラでは全く、その打開力、チャンスメイク力が通用せず、消化不良での退団となってしまった。そしてラソとのトレードでアルメリアに入団。サディクを失ったチームにおいてタイプ的に彼の代わりになることは現実的ではないが、よりチャンス数を増やすという観点で彼に期待する役割は多い。


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 アウェイ オサスナは前節、エル・サダールでラージョに2vs1での勝利。先制点をあげながら直接FKで追いつかれる苦しい展開の中、終了間際に決勝点を上げ勝利。前節の敗戦を引き摺らないという観点においても非常に大きな勝ち点3となった。この試合はこれまでの3戦と比較しても中々ボール保持の面で苦労し、上手くいったとは言えない内容だったが、この状況でも勝ち切れるのはチームとして状態が良い証拠。今後、少なくとも10月のマドリー戦までこの勢いが簡単に止まることはないだろう。そんな中迎える今節の相手はアルメリア。アウェイとはいえ昇格組相手ということもあり勝ち点3奪取を目指したいところだ。注目選手はアブデ

 バルセロナからローンという形で加入した活きの良いエストレーモはラージョ戦でも80分から投入されると最大の武器であるドリブル突破からポケットを制し、決勝点をアシスト。早速その存在感をエル・サダールのサポーターにアピールすることに成功した。現在のオサスナにおいてアブデのようにゴリゴリに仕掛けて相手を切り裂くことのできるタイプの選手はおらず、スタメン起用はもちろん、スーパーサブとしての起用でも間違いなくゲームの流れを持ってくることが出来るだろう。来季以降、豊富すぎるエストレーモを抱えるバルサでの生存競争に生き残るためにも、結果を含めて最高のパフォーマンスを見せたいところだ。


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ラ・リーガ4節プレビュー

1、初めに

 こんにちは。よろしくお願いいたします。前回の記事の方にTwitterから反応いただき、誠にありがたい限りです。当方学生のため、現在夏休みということで毎節更新で来ていますが、学校が始まるとそうもいかなくなります。ご承知の上で緩~く見ていただければ幸いです。今週は日本時間金曜朝がデッドラインデーということで、できる限り最終決定の情報にアップデートしたうえで語っていく所存ですが、どうしても執筆時間の関係で一つ昔の情報をベースに語ってしまっている部分もあると思います。ご承知の上でよろしくお願いいたします。

 

2、ラ・リーガ第3節レビュー

 第3節最大の注目試合は連勝同士の対戦となったベニート・ビジャマリンでのベティスvsオサスナの1戦。これまで好調を維持した形に変化を加え、ベティスのストロングであるアレックス・モレノにルベン・ペーニャをぶつけたオサスナ。スタメンで変化を付けたアラサテ率いるオサスナが序盤は守備から自分のペースをつかんだ。しかし、一瞬生まれた隙をボルハ・イグレシアスの超絶ゴラッソで突いたベティスが先制点を挙げると、それ以降はベティスがゲームを支配。途中ペッセラの退場というアクシデントもあったが、危なげなくゲームのクローズにも成功した。その他、3強はマドリーが難所RCDEスタジアムでエスパニョール相手に辛勝。バルサバジャドリーに勝利し、今季カンプ・ノウ公式戦初勝利。アトレティコはメスタージャでバレンシアに辛勝と3つともしっかりと勝ち点3。セビージャは昇格組アルメリアにまさかの敗戦、ラ・レアルはくるしみながらもエルチェに勝利。ビジャレアルはヘタフェ相手に勝ち切れずスコアレスドローとなりました。その中で今節のPick up Playerはウィリアン・カルバーリョ

 現在のベティスにおける最重要人物といっても過言では無いカルバーリョオサスナオサスナの532ブロックに苦しめられ、中々ライン間に位置するフェキルやロドリなどに当てられない展開が続いていた中で流れを変えたのはカルバーリョであった。彼は得意のフィジカルを活かした推進力のある前身でオサスナのブロックに切れ目をいれ、そこから的確な縦パスでチャンスメイク。ゲームを一気に我が物とする好プレーを見せた。このカルバーリョの動きによってオサスナはミドルゾーンでの制限が効かなくなってしまい、結果ベティスは相手ゴールに近い位置でのボール保持ができるようになったのだ。このように流石の存在感を見せたカルバーリョ。2026年までの契約延長も発表された彼が今季、ギドとともにどのようなパフォーマンスで中盤を制圧するのか。必見だ。

 結果に限らず、競った好ゲームが多かった第3節。他の試合結果と、現時点での順位は下記の降り。また、その更に下に個人的選出ベスト11を置いておきます。

3、ラ・リーガ第4節プレビュー

1、セルタvsカディス

 ホーム セルタの第2節はジローナに1vs0で勝利。敵地に乗り込んでの1戦。互いにボール保持を前提とする両チームの対戦となったこの試合。セルタはポゼッション率では下回っていたものの、最後の崩しのフェーズでの完成度。そしてエースの決定力の違いを見せつけ、見事勝利。これでアスパスは開幕から3試合連続得点と、序盤で遅れた昨季とは異なり、初っ端から素晴らしいパフォーマンスを見せている。また、前回注目に挙げたパシエンシア不在時間帯の戦い方という面に関しては、この試合でコウデはパシエンシアをベンチにおいて代わりにカルラス・ぺレスを2トップの一角として起用。パシエンシアとは異なり、サイドに流れてボールを晒しながらキープし前進していく彼のスタイルはアスパスをよりゴールに近い位置でプレーさせることにも繋がり、一定の好パフォーマンスを見せていた。おそらく相手に引き込まれることが予想されるこの試合。ベンチワークを含めたキャラクターの違いでこじ開けたいところだ。注目は、オスカル・ロドリゲス

 今季セビージャからローンという形で加入した彼は開幕節トップ下の位置で先発。しかし、極めて特殊な役割を負っていたデニス・スアレスの代役としては苦労している姿が散見された。しかし、その後タピアをピボーテに入れ、ベルトランがトップ下、オスカルが左になって以降、中盤は機能し始め、開幕節後半からは継続して、この形が使われている。その中でオスカルも左側ライン間を狙いながら、状況によって降りて引き出し、ゲームを作るという彼が最も得意とする役割の中で存在感を発揮するようになってきた。チームに馴染め始めただけにここで欲しいのは結果。彼の代名詞でもあるFKという飛び道具も合わせ、チームを勝たせるプレーに期待したい。


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 一方、アウェイ カディスはアトレティック相手に0vs4で完敗。最終的に気持ちが切れて追加されてしまった分があるとはいえ、ここまで唯一の0ptとかなり出遅れてしまっているのも事実。アルカラスやソブリーノ等キーマンがいなかったことは事実だが、その言い訳をもってしてもこれ以上の連敗は許されない。まず、最大の問題点となっているのが満足にボールを握ることが出来ない事。昨季のセルヒオ・ゴンザレス監督就任以降のカディスはブロックからのカウンターにこだわらず、ボールを握ることも重要視していたが、ここまでの3戦では完全にボールを握られてしまい、奪っても蹴るだけで終わってしまうことが非常に多かった。この試合の相手であるセルタもまたボール保持に長けたチームであり、ここまでの試合と同じようにプレーすれば、またもや一方的な展開になるだろう。そんな中注目はアレックス・フェルナンデス

 昨季の良かったカディスにおいて中心であり欠かせない存在だったのがルベン・アルカラスとアレックス・フェルナンデスの2人。この2人が共存することはほぼなかったが、この2人のどちらかが、ビルドアップを担う全権大使として自由に動きボールを引き出すことでカディスのボール保持にとって大きな役割を果たしていた。その2人が今季頭から出遅れるという不幸がカディス未勝利の大きな原因の1つ。それだけに前節後半からの途中出場で復帰を果たしたアレックス・フェルナンデスに懸かる期待は大きい。セルタの充実した中盤相手にどこまでボールを握り自分たちの時間を作ることが出来るのか。4連敗は許されない。


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2、マジョルカvsジローナ

 ホーム マジョルカの前節はラージョに2vs0で勝利。昨季特に前半戦では圧倒的強さを誇っていた本拠地バジェカスでのラージョに結果、内容ともに完勝ともいえる形での勝ち点3を奪い取ることに成功した。今季は久保らの退団、また守備的な戦術を採用するアギーレへの不信感から不安の声が開幕から叫ばれたマジョルカだったが、ここまで1勝1分1敗。そしてその1敗もベティス相手にかなり奮闘しての惜敗と、下馬評を覆し十分に戦えるところを示している。その要因となっているのが整理されている守備。昨季のアギーレ体制では、ギリギリでの着任ということもあってとりあえずブロックを引いて耐えるという程度であった5バックの運用方法がオフシーズンを経てかなり理論化されるようになっており、結果としてサイド攻撃にストロングを持つベティス、ラージョの攻撃をある程度防げているのだ。特に右サイドのグルニエ、マフェオ、ヴァリエントの三角形でのマーカーの受け渡し、また1人が出た際に他のプレーヤーがカバーするタイミングと位置などは見ごたえがあるもので、簡単に攻略することはできないだろう。この試合での注目はライージョ

 先述した右サイドでの三角形守備。これは左のコぺテ、ジャウメ・コスタ、ダニ。ロドリゲスでも行われているのだが、その両サイドの三角形を中央で指揮しつつ、タイミングの良いカバーリングで支えているのが、ライージョだ。クロス対応も的確で3バックの真ん中に求められるタスクをそろえているライージョの存在はこの形での532に欠かせないもの。ケガで出遅れた昨季とは異なり、開幕から主力としてライージョが奮闘している以上、簡単には壊れないであろうマジョルカ守備陣。カステジャノスとストゥアニという強烈な2トップを抱えるジローナの攻撃をしっかりシャットアウトできるのか、注目だ。


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 一方、前節セルタにホームで敗れたジローナ。前々節の勝利という良い記憶と流れを継続させたいところだったが、セルタ相手に惜敗という形での敗北となった。ポゼッション率では上回りながらも中々決定的なシーンが作れなかった今節。この原因の大部分を占めるのがロドリゴ・リメルメ不在問題だ。前々節に肩を痛めた彼はこの試合に欠場。チャンスメイクの大部分を担っていた彼の不在はジローナの攻撃を単純化させてしまい、結果としてヤン・コウト、ミゲル・グティエレスという両翼による厳しい形での崩しの形が中心となってしまっていた。この部分をどのように考えるべきなのか、今節の相手であるマジョルカにはボールを握る展開が続くことが容易に予想でき、無理やりこじ開けられるヤンヘル・エレーラも欠場が濃厚な今節、その中でどれだけ、相手に脅威を与えるのか他の選手たちの奮起にも期待したいところだ。注目はサム・サイス。

昨季、現ビジャレアルのアレックス・バエナとともにジローナの攻撃を支えた彼だが、今季は今のところスタメン出場はなし。毎試合60分前後からの起用にとどまっている。昨季から年齢のこともあってか、90分での起用が中々見られなくなったサイス。それでも彼のキック精度とドリブルを活かしたチャンスメイクはロロを各チームにとっては不可欠なもの。レイニエルやウレニャ、テラッツといった若い人材を支えるためにもベテラン サイスの活躍に期待したい。


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3、レアル・マドリー vs ベティス

 今節3試合連続で続く3強チームvs2番手グループの大一番。その口火を切るのが、唯一の3連勝同士、レアルの名を持つ2チーム同士の対戦だ。ホーム マドリーの前節はエスパニョール相手に3vs1で勝利。昨季不覚を取ったRCDEスタジアムでの試合はこの日も厳しい展開が続き、ヴィニシウスのゴールで先制しながらも、ホセルのゴールで同点。その後、マドリーはボールを保持し勝ち越しを狙いに行くもエスパニョールはよく耐え、またセットプレーやカウンターからチャンスを作るなど気の抜けない展開が続く。同点決着かと思われた88分。この重い雰囲気を一気に開放したのは絶対的エース、カリム・ベンゼマロドリゴの見事なクロスに対し、見事な動き出しでDFを振り切り合わせ、エスパニョールを一気に絶望へ追い込んだ。内容を見ると課題が残るのも事実だが、この理不尽気味な力もまた、マドリーの持つ最大の強さであり、今季もそのフィロソフィーは多数見ることになりそうだ。ミッドウィークにCL開幕節 セルティック戦を迎えるマドリー。この試合をどのように考え、どのような布陣で、戦い方で来るのか。注目したい、選手として注目はダニ・カルバハル

 今節はベンチスタートとなり、85分からの限られた時間での出場となったカルバハル。近年の怪我がちも加味してか、昨季終盤から継続してターンオーバーを入れながら非常に慎重かつ大切に使われている印象が強い彼だが、その分出場した時のパフォーマンスレベルは非常に高いものがある。先述の通り、セルティック戦も控えているだけに、どちらを優先させるのかは微妙なところだが、やはりファンミとアレックス・モレノという非常に強烈なベティス 左サイドを抑えるためにはカルバハルの力が必要になるだろう。前に入るフェデとカルバハルの右サイドにどのようなタスクを負わせるのか。高い位置に出てくるアレックス・モレノまでフェデを下げて対応させるのか。それとも、4と5のブロックラインは保ったままにするのか。CLでのvs強豪のシミュレーションという観点で見ても、今のベティスは相手として全く不足はない。


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 一方のベティスオサスナとの3連勝対決に勝利。マドリー同様 4連勝のまま、この大一番 ベルナベウに乗り込むこととなった。エース ボルハ・イグレシアスは3試合連続ゴールで既に4得点と好調ぶりを見せており、オサスナ戦で見せたシュートも見事なもの。今季のサーラ賞候補筆頭の1人として、この試合でミリトン、アラバら強力守備陣相手にどこまでできるのかは1つ試金石となる。この壁を超えることが出来れば、ファンミと合わせ、滑り込みでのラ・ロハ召集というところが見えてくる可能性も。また、オサスナ戦では後半頭からカナレスが復帰。フェキルに次ぐもう一つライン間で起点となれる選手の復帰は崩しのフェーズにおいて多くのものをもたらしてくれるはずだ。この試合の注目選手はアイトール・ルイバル

 昨季ローンでプレーしていたベジェリンに代わり右ラテラルの1番手として出場しているルイバル。開幕戦では見事なドリブル突破によってジョンを退場に追い込む活躍を見せた彼だが、それ以降の2節ではやはりベジェリンほどの破壊力は見せられず、左に攻撃が寄っている原因となってもしまっている。とはいえ、これまでの2節の前にいたのはロドリ。カナレスが本格復帰するであろうこの試合、彼とカナレスの右サイドからも左と同じくらい相手にとっての脅威を生むことができるのか。そして、何より重要なvsヴィニシウスとの対人において、他選手の力を借りながらでもどこまで抑えきることが出来るか、彼を信じた首脳陣の期待に応えるパフォーマンスを見たいところだ。


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4、レアル・ソシエダ vs アトレティコ

 マドリー×ベティスに続き、またもや3強vs2番手グループの対決となる大一番。2勝1敗同士の対決。ホーム ラ・レアルの前節はエルチェ相手に1vs0で勝利。イサク退団後初めてとなったこの試合。イマノルは代わりにアリチョーを用い、彼を左のFW、久保を右のFWに回した。サイドに流れる傾向の強い両FWはそこからのチャンスメイクで良いシーンを作ったものの、一方でその結果中に誰もいないという構造になっていたことが多かったのも確か。イサク自身も純粋なストライカータイプではなかったが、やはり中央で基準点となれる選手がほしいと感じる試合であった。また60分以降のトーンダウンも開幕から続けての課題。ハイインテンシティによる即時奪回を前提としている今季のラ・レアルだが、60分過ぎから選手たちの足が止まり、思うような形での回収ができず自陣深くまで運ばれるシーンが目立つ。この点をどのように考えるのか。あえて撤退し、ロングカウンターを行うのか。それとも初めから即時奪回のインテンシティを落とし、90分持つようにするのか。考えどころだ。今節の注目はイサクの代役としてライプツィヒからローンで加入したストライカ―  アレクサンダー・セルロート

 このノルウェー代表FWは昨季もローンという形でラ・レアルでプレー。結果こそ4Gと物足りないものに終わったものの、多くのタスクをCFにも求めるラ・レアルの中でスコア以外の部分では良い貢献を見せていた。デッドラインデーにはサディクの補強も決まり、彼と2人でイサクの穴を務めることになると思われる今、より結果が求められるのは確かだが、最低限の働きは保障できるGood Playerだ。今節の相手であるアトレティコとの相性もよくアトレティコを敗退に追い込んだコパ・デル・レイもゴールを記録。加入後初試合となるこの1戦から活躍を期待したい。


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 一方 アウェイのアトレティコの前節はメスタージャでバレンシア相手に1vs0で辛勝。前節の退場により出場停止となったモリーナの代役としてジョレンテをWBの位置に置いたアトレティコ。その他にもレマルに代わってコンドグビア、ジョレンテの位置にデポールを入れ、2枚交代という形で試合に臨んだ。ただ、この形が上手く行っていたとは言いずらく、特に中央でどっしりと構えるコンドグビアがピボーテに入ったことで、これまで上手く行っていたヴィツェルの1列上がる役割や、ピボーテが降りてきてボールを引き出す場面が見られず、結果ビルドアップで停滞している場面が多く見られた。また、大外のレーンはWB1人に任せる現在の布陣的に、大外に張ってっからかとインで仕掛けていくバレンシアの両WG相手にWBがついていったことで大外のレーンががら空きになると言ったシーンも散見。課題の残る試合になった。しかし、そんな状況でも運にも味方されたとはいえ、勝ち点3を敵地で取りきれたことは大きい。この試合も鬼門 アノエタということもあって、苦しい展開になることは容易に予測できるが、そこを何とか乗り越え、是が非でも勝ち点3を掴み取りたいところだ。注目はアントワーヌ・グリーズマン

 昨季からローンという形でアトレティコでプレーしているグリーズマン。未だにバルサへの移籍の経緯などからファンからの風当たりも強い彼だが、ここまで素晴らしいプレーでチームを助けている。3421へと細やかなモデルチェンジをした今季のアトレティコ。その右シャドーという彼が最も得意としているであろう位置に入り、そこから積極果敢なプレーで結果を残しえいるのだ。バルサとの買取オプション的な問題で、30分以上の出場を今のところセーブされている状況だが、彼の現在のプレーぶりはスタメンから90分間使いたくなるレベルの高さであり、早くこの問題の決着をつけたいところ。今節の相手は古巣 ラ・レアル。得意とするアノエタの舞台で復活を印象付けるプレーを見せられるのか。注目したい。


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5、セビージャ vs バルセロナ

 先述の大一番3連戦。最後を飾るのがサンチェス・ピスファンでのセビージャvsバルセロナの対戦。しかし、ホーム セビージャは前節 昇格組のアルメリアのまさかの敗戦。これでオサスナバジャドリーアルメリアと昇格組2チームを含んだ比較的楽なスケジュールだったはずの開幕3戦を未勝利で終えるという想定以上に苦しいシーズンを迎えている。更にピッチ外でも悪くない判断とは言え、オカンポスアヤックス移籍。また早くもロペテギに代わる監督人事の話も上がり始めており、チームは極めて苦しい立ち位置にある。この試合の結果如何ではロペテギの解任が現実味を帯びてくるこの1戦。何とか本拠地で維持を見せたいところだ。注目選手はフェルナンド

 クンデ、ジエゴ・カルロスの退団に伴う守備の崩壊。これは開幕前から予定されていたことだが、その中でも何より大きいのが指揮官タイプのCB退団。ニアンズ、レキクの2人は能力的には前任者2人ほどではないにしても、格下相手であれば十分通用するCBだが、どちらもパートナーCBの様子を見ながら行くところと行かないところを使い分けるといったことが出来る選手ではなく、結果行かなくていいところで前に当たりに行ってしまい、裏を取られると言ったシーンが目立ってしまっている。またチーム構造的にロペテギはポゼッションを志向しており、高いラインを取るためその傾向は顕著。今節でも同じことをしていれば、タレント豊富なバルサ攻撃陣の前に玉砕することになる。この現状を変えられる可能性があるのは唯一フェルナンドのみ。彼がピボーテの位置からCBを上手く使い、全体のバランスを保たせることが出来るのか。かなり無理難題に近いが、それほどまでに今のセビージャはチームとして歪な状況だ。

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 バルサの前節はバジャドリー相手に4vs0で快勝。これで開幕から無敗をキープしてサンチェス・ピスファンに乗り込むこととなった。巷で囁かれているようにチャビがタレントの能力に頼っている部分が大きいことは間違いないが、そのタレントがしっかりとその実力を発揮し、相手を凌駕している時点ではそのことは問題にはならない。前節もバジャドリーの出来が良くなかったとはいえ、ラフィーニャ、デンべレの両翼は相変わらずの打開力を見せ、その中継点となるペドリは1人でサイドへの展開から、飛び出してのフィニッシュまで攻撃の全部分をカバー。課題とされた両ラテラルも右は初出場となったクンデが彼本人の能力面としてはやはりCB起用時と比べると無難な出来にとどまっていたが、及第点のパフォーマンスを見せ、左も2試合連続出場となったバルデが躍動。フォイスやマルコス・アロンソらの獲得の噂を立ち消えにさせた。それだけのタレントが揃っている中でバルサの注目はジュール・クンデ

 公式戦初出場からわずか2試合目で古巣との再会を果たすことになるクンデ。先述の通り初出場となったバジャドリー戦では右ラテラルの位置で先発。途中でCBに変更し、早くも2ポジションを任されていた。右ラテラルでのパフォーマンスは及第点の出来。彼はあくまでCBの選手であり、CBとして使ってこそ移籍金の価値がある選手だというのが、個人的な印象なのだが、現状チャビの右ラテラルに求めるタスクを一番上手く務められるのがクンデであるということもわからないことはない。そう思わせるようなパフォーマンスであった。一方CBとしての時間は流石の一言。守備対応、ビルドアップは元より既にラインコントロールまで務めており、バルサCB陣の中でもトップと言えるだろうクそのオリティの高さを十分に見せつけた。とはいえCBは現状エリック・ガルシアの調子が良く、アラウホ、クリステンセンがいるのも事実。その一方で、右ラテラルのセルジ・ロベルトは信頼を得切れてない。デッドラインデーに獲ったベジェリンがどこまでやれるのかにもよるが、当面クンデのポジションは右ラテラルになりそうな予感。CBとしてなら世界トップの選手になれると考えている私からすると残念な限りだが、チーム事情を考えればそれがベターな選択であることも確かだろう。まずはこの試合、セビージャ相手にチャビがどのような布陣をチョイスしてくるのか。注目したい。


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6、オサスナ vs ラージョ

 ホーム オサスナは連勝で迎えた前節のベティス戦。1vs0で惜敗。ルベン・ペーニャをアレックス・モレノにつける442と532の変則のような形でスタートしたオサスナは序盤から532で高すぎず、低すぎもしない絶妙な位置を保ったブロックでベティスを牽制。結果として強烈な攻撃陣を持つベティス相手に危険なシーンを作らせなかった。更にはカウンターからチャンスを迎えモイ・ゴメスが決定機を迎えるなど、互角以上の戦いを繰り広げるも、その決定機の直後、ルベン・ペーニャがGKまで深追いしたことで空いたアレックス・モレノが前進。そこからボルハ・イグレシアスの理不尽ゴールを許し、惜しくも敗北となった。とはいえ、内容自体は悲観するものではなく、しっかりと気持ちを切り替えて、この試合で勝ち点3を取ることが何よりの回復薬となる。ベティスと同じく左サイドの攻撃が強烈なラージョ相手にベティス戦に引き続き、ルベン・ペーニャを相手ラテラルにつける可変を継続するのかは1つ注目ポイント。注目選手はジョン・モンカジョラ

 オサスナ、ラージョ共にサイド攻撃を魅力とするチーム。その中でライン間を取るのが上手いオロスやモイ、トレホやイシといった選手たちが中継役となるという点で大枠では似たところの多いチーム同士ということが言えるように思える。その中でキーとなるのが、供給側の仕事。その点では今年のモンカは昨季までのBox to Boxの役割ではなくCBの間に降りてロングボールを使いながらゲームを組み立てるプレーメーカーとての役割を担っており、オサスナのゲームメイクの中心となっている。特にサイドに振るボールは質も高く、幅を担保するうえでモンカの展開力は欠かせない。同じく、ラージョのサイド供給を支えるウナイ・ロペスとどちらが主導権を握れるのか。注目したい。


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 一方でアウェイのラージョは前節 バジェカスの地でマジョルカに2vs0で敗戦。昨季、強さを誇った要塞バジェカスでの今季開幕戦となったこの試合。ラージョはマジョルカの532でセットされた守備を崩すことが出来ず、カウンターからの2失点でまさかの敗戦となった。開幕節 カンプ・ノウで引き分け、2節ではエスパニョール相手に16分で10人になる難しい展開ながら勝利する、とここまで良い形でシーズンに入れていただけに、この敗北はその流れに少なくない影響を与えることになるだろう。仕切り直しのためにも良い試合にしたい今節の相手はオサスナ。昨季はダブルを喰らった相性の悪い相手だ。昨季からよりパワーアップしているオサスナをエル・サダールの地で倒すのは簡単なミッションではない。勝利のための1つの条件となるなるのはイシのポジションをどうするか。前節は怪我で欠場した彼の代わりにサルビ・サンチェスが入ったが、トレホへの負担が過度になりすぎてしまい、結果外循環になるという悪循環が起きていた。ここをどのようにするかは非常に大切になるだろう。注目選手はイバン・バリウ

 ビジャレアルへの移籍も噂された彼だが、結局は残留。今季もラージョ不動の右ラテラルとしてプレーすることとなる。先述した通り、イシの出場が不安視されている中で、ラージョの強みでもある右サイドからの攻めをどのように成立されるのか。バリウに対する期待は大きくなる。いつも通り、ハーフスペースは誰かに任せ、自身は大外のレーンを担当するのか、はたまた大外のレーンをWGに任せ、自身は中でゲームを作るのか。器用な彼だからこそできるパターンは多い。ここをどのように考え、その中でどのようなプレーを見せるのか。自身の現役時代と同じ右ラテラルを務める彼にイラオラがどのような役割を与えるのかにも注目しながら見て行きたい。


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7、アトレティック・クルブ vs エスパニョール

 ホーム アトレティックの前節は4-0でカディスに勝利。これで開幕から2勝1分の無敗スタートとバルベルデ新体制は良い滑り出しを見せている。開幕節で懸念視された得点力不足もここにきて4得点を挙げたことでケチャップの蓋が空くきっかけにはなったはず。あとはこの良い流れをこの試合でも継続できるかが、今後を占う上で重要となる。エスパニョールとは2018年以来負けがない比較的相性の良い相手。ここから続く9月のエスパニョール、アルメリア、ラージョ、エルチェという昨季ボトムハーフのチームとの闘いをいい形で乗り切って、セビージャ、アトレティコバルサビジャレアルとの対戦が待つ10月を迎えたいところだ。注目選手はゴルカ・グルセタ

 25歳188㎝というプロフィールを持つストライカーである彼は、ここ2年間はローン生活。サバデル、アモレビエタと渡り歩き、昨季セグンダの舞台で13Gを決めたことが評価され、得点力不足に悩むアトレティックのトップチームに帯同することに。開幕節から途中出場である程度の時間が与えられるなど、その期待値の高さは読み取れた。そして、3節のカディス戦。彼は36分間の出場で2Gを記録。特に2点目の味方を囮にしながら腰をひねって流し込んだシュートは今までのアトレティックでなかなか見られなかった類のゴールであり、今後も得点源として期待できると思わせるレベルのパフォーマンスを見せた。前節のこれが偶然ではない事を証明するためにも、この試合もまた彼のゴールでチームを勝利に導きたい。


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 一方 エスパニョールは前節マドリー相手に惜敗。6割以上のポゼッション率を許し、特に前半の中盤あたりは左下に降りていくクロースからの縦に着けるパスに対応しきれずに苦戦。しかし、なんとか耐えているとマドリーの勢いが止まり始め、その時間帯はホセルの高さを活かした前進からチャンスを作った。しかし、マドリーの交代、特にカマヴィンガの投入が再度リズムを変えることに。それでも何とか得点だけは許さずに来たが、88分ベンゼマのゴールを許し万事休す。アディショナルタイムにはミスから失点を許し、ルコントが退場するおまけ付きでの敗北となった。これで3戦未勝利とバルベルデアトレティックとは真逆の結果になっているディエゴ・マルティネスのエスパニョール。サン・マメスと厳しい地であるが、何とか今節こそ初勝利が欲しいところだ。注目選手はエドゥ・エスポジト

 現状、エスパニョールの課題となっているのがビルドアップの部分。セルジ・ゴメス、カブレラのコンビは足元に不安を持っており、この部分をどのように考えるのかが1つ勝負のポイントとなる。あえてアトレティックにボールを持たせてしまって、カウンターを狙うのか。はたまた、自分たちからボールを握り堅いアトレティック守備陣を揺さぶるのか。後者を選択した場合、非常に重要となるのがエスポジトの存在だ。プレッシングに強みを持つアトレティック。この事から間違いなくエスパニョール最大のキーマン ダルデルは厳しいマークにあうことが予想される。しかし、今季のエスパニョールにはもう一つポイントがあるのは間違いない。それがエスポジトだ。彼が中心となり、どれだけプアドやホセルといった質の高いスコアラーにボールを預けることが出来るのか。注目したい。


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8、ビジャレアル vs エルチェ

 ホーム ビジャレアルの前節はヘタフェ相手にスコアレスドロー。ヘタフェの442で構成されたブロックを崩し切れず、試合終了間際にはPKがVARの進言により取り消しになるなどの不幸もあり、勝ち点1に留まる結果となってしまった。前節アトレティコに勝利し、開幕戦と合わせ一気に波に乗るかと考えられていたタイミングであっただけに、ここでもしっかりと勝ち切りたいところだったが、格下相手に取りこぼしが多いという昨季の悪い傾向をそのまま受け継ぐ形となってしまった。もう一度仕切り直しのためにも勝利が絶対条件のこの試合。相手はここまで未勝利と苦しむエルチェ。昨季も敵地での対戦ではあったが不覚を取っているだけに油断は禁物。点差をつけた余裕を持っての勝利が欲しいところだ。注目選手はジェレミ・ピノ

 今夏にはアーセナルを中心に移籍報道も出たピノであったが、ビジャレアル側は絶対防衛体制。19歳のヤングスターは今季もビジャレアルでプレーすることとなった。昨季は6G4Aと悪くない結果残した彼だが、今季期待したいのは更にその結果を上回る数字。現在の絶対的エース ジェラール・モレノに代わり、自身がスコアでチームを引っ張っていくような存在になってほしい今季。ここまで1G1Aと悪くない滑り出しを見せているだけに、この好調さを維持できるか、どこかでさらなる爆発、覚醒を見せてくれるのか。W杯逆転出場のためにもピノのさらなる成長に期待したい。


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 一方でアウェイ エルチェの前節はラ・レアル相手に1vs0での敗戦。リロラがメリーノ、グンバウにブライス、マスカレルがシルバと中盤3枚にマンマーク気味でつき、ラ・レアルのボール支配を封じようとしたが、肝心のスビメンディは2トップが後ろにおいて隠しながら消すといったマークの形ではなく配置で消すようなプラン。しかし、スビメンディはその状況状況に合わせ、立ち位置を変え、ボールを引き出すことが出来る選手あったため、結果として彼をフリーにすることになりそこから失点。更にそれを前半終了まで修正することが出来ないと、課題を多く残す結果になった。後半こそラ・レアルの足が止まったことで攻勢を仕掛けられたが、頭からの戦い方、そしてクーリングブレイクでの修正に失敗しているようでは今日の相手であるビジャレアル相手にも同様厳しいのは間違いない。ここをどうフランシスコが捉え、どのような戦い方で試合に入ってくるのか。モヒカを失った今、チーム構成から再考をせざるを得ない状況だ。注目選手はジェラール・グンバウ

 前節の失点シーンでは一瞬ボールウォッチャーになっていた瞬間を狙われることで失点につながってしまったグンバウ。この試合ではおそらく彼の裏のスペースをジェラール・モレノが狙いに来るシーンが多くなると思われ、難しいタスクを負うことが予想される。その中で前節のミスをどれだけ取り返す活躍ができるのか。ボール保持時の左降りからの対角へのロングフィードというグンバウ特有の武器とともに、注目したい。


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9、バレンシア vs ヘタフェ

 ホーム バレンシアの前節はアトレティコ相手に0vs1で敗戦。終始ゲームを支配し、VARで取消になったものの、ムサのスーペルゴラッソが炸裂するなどアトレティコ相手に優勢にゲームを進めた。しかしながら前節同様相手の堅い守備陣を崩し切ることが出来ず、それどころか決定機は殆ど作れないまま、逆にほぼほぼボールを握られていないアトレティコに少ないチャンスで複数の決定機を作られるなど、最後の部分で攻守両面に課題が残った。しかしこの課題もカバーニが加入したことで改善するか!と思われた刹那ソレールがまさかのPSG移籍。このチームにおいてファイナルサードの崩しの中心となっていた彼の退団は非常に痛手であり、またカンテラーノとしてカピタンまで勤めた最高の選手が退団したことで良い雰囲気に戻っていたメスタージャがどのような雰囲気になってしまうのかという点で不安要素も大きい。そんな中迎えるホームでもこの試合、どのような結果で終えられるのか。この結果が今後にもたらす結果は極めて大きいだろう。注目選手はエディンソン・カバーニ

 言わずと知れたウルグアイのレジェンドが35歳にして初のリーガ挑戦。ナポリ、パリ、ユナイテッドと渡り歩いた世界最高峰の9番がメスタージャの地に降り立つことになる。ラ・レアル、ビジャレアルなどの噂もあった彼だったが、チームとしては一番フィットするチームに行ったのではというのが個人的な印象だ。先述の通りファイナルサードの部分で課題を抱えるバレンシア。特にクロスからの攻撃が多い、今のバレンシアにとって点で合わせることのできるカバーニの存在はバレンシアのレベルを1段上に上げてくれるはずだ。ソレール退団の影響はそう簡単に埋められるものではないが、そこが未知数の今、どうなっていくのかは全く分からないが、カバーニの得点がどこまで伸びるのかがチームの結果に大きくつながることは間違いない。


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 一方でヘタフェの前節はビジャレアル相手にスコアレスドロー。今季初の勝ち点を獲得した。相手に65%のポゼッションを握られる苦しい展開になりながらも、今季初の起用となった442の形でプレッシングにより前進を許さない戦い方がうまくハマり、決定機もある程度の数に抑えた。ハイプレスというよりかはハーフェーラインを過ぎた辺りからに442の3ラインをコンパクトにセットする事でライン間を塞ぎ、相手を外循環に追い込んだ。アンヒレリが帰ってくるだけに5バックに戻す可能性も十分考えられるが、このいい流れを継続するためには、442の継続が濃厚か。今季のバレンシアビジャレアル同様 ボール保持にこだわりを持つチームなだけに、上手くビジャレアル戦の要領でシャットアウトし、ウナル、マジョラル、ポルトゥらがカウンターから得点を取ることが出来れば、勝利も十分見えてくる。注目選手はハイメ・セオアネ。

 マドリーの育成機関 ラ・ファブリカ出身の彼は、昨季までウエスカでプレー。2シーズン前にはプリメーラの舞台でも良い働きを見せ、セグンダでの昨季は14Gと得点能力を開花させた。今夏、オサスナ、セルタなどとの競合に勝利し引き抜いたヘタフェ。開幕2節は途中出場になったが、442に変更した前節はスタメンでの出場。相手に主導権を握られる展開であっただけに、中々2列目からの飛び出しでゴールを狙うシーンは見られなかったが、その一歩ボール保持のフェーズでは左サイドから降りてきて、ビルドアップに参加。ルイス・ミジャ不在によって、アランバリに次ぐポイントをどこに置くかが争点となっている今のヘタフェ。そんな中でこのセオアネの使い方は、彼の良さを最大限引き出せるものではないが、チームの現状と照らし合わせたときに最適な起用法であるということはできるかもしれない。バレンシア相手にセオアネがどのようなタスクを負い、その中でどのようなパフォーマンスを見せるのか。注目したい。


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10、バジャドリー vs アルメリア

 前節カンプ・ノウで大敗を喫する結果となったバジャドリービジャレアル、セビージャ、バルセロナと難敵との3連戦であったことは確かだが、それを考慮しても内容的に圧倒されすぎている側面は否定できない。昨季、セグンダの舞台において最終節で首位の座を明け渡すこととなった因縁の相手ともいえるアルメリア相手にどれだけの内容、そしてもちろん結果を残すことが出来るのかで、今季のバジャドリーの立ち位置が明確に見えることだろう。ケネディ、フェダルなどのリーガでの経験も豊富なベテラン陣を補強し、またヴァイスマンの復帰も濃厚になってきている。そんな好条件の中で迎えるこの試合を悪い内容で落とすようなことがあれば、一気に悪い流れにハマってしまうことも考えられる。その一方ここを取り、豊富なタレントの良さを最大限生かす形さえ作れれば、この後の相手はジローナ、カディス、ヘタフェと与しやすい相手が続く。前半戦をどのような形で過ごすことになるのかを占う試合というには、少し早すぎるかもしれないが、それくらい重要な1戦だ。注目選手はキケ・ペレス

 昨季ローンという形でエルチェに出ていた彼だが、開幕節のビジャレアル戦に途中出場し、流れを一気に自分たちのものに一時期持っていくほどの活躍を見せたことで、2節からはスタメン固定。ボール保持で明確な規律が定められていない、厳しい状態のバジャドリーにおいて強豪相手でもボールの収めどころとして、機能し続けた。今節のアルメリア戦はここまでの3試合と比べれば、圧倒的にボールを保持することも出来るはずで、彼の良さが活きる展開にしたいところ。ヴァイスマン、セルジ・グアルディオラを筆頭にタレントは揃っているだけに、そこの良さをキケ・ペレスが引き出せるのかが勝負の分かれ目だ。


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 一方、アルメリアの前節はセビージャ相手に2vs1での勝利。強豪相手に勝利を挙げる快挙を遂げ、昇格後の開幕3連戦を1勝1分1敗と悪くない形で終えた。しかし、デッドラインデーに絶対的エース サディクがレアル・ソシエダに移籍。今夏ずっと言われ続けていただけに、折込済みではあるだろうが、それにしてもプリメーラの舞台でも猛威を振るっていたこのストライカーの穴は言うまでもなく大きい。この2節でも出場していたディエゴ・ソウザ、リーガ経験豊富なレオ・バチストン、そしてある程度の額をはたいた若手陣のラザロ、ミロバノビッチ、トゥーレ といった選手たちがどこまでサディクが担っていた分の役割を担保するのか。得点だけでなく、ビルドアップの基準点や馬力を活かしたロングカウンターなどアルメリアの攻撃パターンにおいて絶対的中心となっていただけに再構築は避けられないだろう。そんな中、注目したいのはルーカス・ロベルトーネ

 今季のチームにおいて532の一角を務めているこのアルゼンチン人MFは昨季、セグンダの舞台で4G4Aを達成。物足りない数字であることは確かだが、負傷により離脱していた期間があったことを考慮すれば悪くない数字ではあるか。この3節の彼はインテリオールの位置から飛び出し、所謂チャンネルというスポットを取りに行く動きを披露。そこからのチャンスメイク、もしくはシュートを見せている。ここまで1Aこそ達成しているものの、この動き、そしてそれに合わせる周りの使い方もしっかりと作られているために、ゴールにより繋がるようになってくる可能性も大きい。サディクのいなくなった今、よりチーム全体での得点が求められる。その中でこのロベルトーネのランニングは1つの武器になるはずだ。


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ラ・リーガ第3節プレビュー

1、初めに

 みなさん。こんにちは。よろしくお願いいたします。

 今回の記事ではラ・リーガ第3節のプレビューについて書いていきたいと思います。いつもの通り、目次から目的の試合だけでも楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

2、ラ・リーガ第2節振り返り

 まずは、2節の簡単な振り返りから。今節の注目試合2つ、欧州カップ戦出場チーム同士のレアル・ソシエダvsバルセロナアトレティコvsビジャレアルの2試合。結果は前者はバルサが1vs4で勝利、一方後者はビジャレアルが2vs0で勝利ということになりました。どちらも白熱したレベルの高い試合となった当該2試合。ラ・レアルvsバルサは早々にそれぞれレヴァンドフスキとイサクのストライカーが得点を挙げると、それ以降は拮抗した流れが続いていたものの、その雰囲気を変えてしまったのがアンス・ファティ

今週のPick up Playerとしても選出したい彼は、フェランに代わって投入されると、いつもとは少々異なるシャドーの位置でプレー。ライン間と裏を使い分ける的確なポジショニングと、それについて来る個のレベルの高さで一気に流れを引き寄せ1G2A。その実力の高さを見せつけた。ここ数年怪我で苦しみ、PSMでもなかなかトップフォームとは言えないパフォーマンスだった彼だが、この試合では圧巻の出来。この調子がキープできれば、W杯メンバーへ滑り込むことも十分可能。彼の有無はラ・ロハの理不尽力を大きく左右するものであり、今後の活躍に期待が集まる。

 一方、アトレティコvsビジャレアルの1戦はビジャレアルに軍配。試合開始直後から最高の開幕節から持ってきた調子の良さを見せ、CLノックアウトレベルの非常に質の高い攻防を繰り広げた両チーム。両監督とも修正を加えながら、それを消し合う様は見ている者を魅了するものであり、LaLigaの魅力が詰まった試合となった。だが、そんな試合が動いたのは奇しくもミス。新加入モリーナのクリアミスをピノが拾いゴール。更に試合終盤には前掛になったアトレティコの裏をジェラールがたつき追加点。見事ビジャレアルが敵地で勝利し連勝スタートに。その他、マドリーはカゼミロ放出の影響を感じさせない出来でセルタに勝利。セビージャはバジャドリーにドローと不安の残る2戦未勝利。ベティスマジョルカ相手に苦しみながらも辛勝。昇格組のアルメリアはエルチェにドロー。ジローナはヘタフェに勝ち、昇格後初勝利となった。それ以外の試合は下記の通り。その下に恒例のベスト11+その控えを置いておきます。

3、ラ・リーガ第3節プレビュー

1、ジローナ vs セルタ

ホーム ジローナの2節はヘタフェ相手に3vs1で快勝。昇格組3チームで最も早い勝ち点3Getとなった。ヘタフェがまだ作り途中ということで問題を多数抱えていたのも事実だが、ジローナ的にも自分たちのやりたい形をしっかり体現できた試合だということが出来るだろう。開幕節とは異なり、ストゥアニとカステジャノスの2枚を並べ、ロロとヤンヘル・エレーラのインテリオールの形としたルビ。ヤン・コウト、ミゲル・グティエレスという内外を取ることのできる技術レベルの高いWBがインテリオールと上手くタイミングによってポジションを入れ替えながら、侵入していく様は見事なものであり、他チームからの才能豊かな若手を保持しているジローナだからこそ出来た戦い方と言えるだろう。同様に個の技術をしっかり持った魅力的なスカッドを抱えるセルタ相手に、この形がどこまで通用するのか。注目したい。注目選手はアレイクス・ガルシア

 ヘタフェ戦ではピボーテの位置に入り、そこからゲームを作った彼。特徴として非常に高いキック精度を誇っており、特にサイドチェンジなどのロングパスは精度、速さ共に素晴らしいものがある。できる限りボールを握りたいジローナにとって、同じ思想を持つセルタ相手にポゼッションを取るためにはアレイクス・ガルシアの中盤の底での存在感が不可欠。ベルトランやオスカル・ロドリゲスなどの素晴らしい技術をもった選手を抱えるセルタMF陣相手にアレイクス・ガルシアやヤンヘル・エレーラ、ロロ、テラッツ、サム・サイスといったメンツがどこまでできるのか。注目だ。


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 一方、アウェイ セルタの前節はマドリーにホームで1-4の敗戦。前半からボールの主導権を握り、中盤のベルトラン、タピアなどからの展開でチャンスを作ったものの、マドリーのタレント力に基づいたある意味理不尽とも言えるゴールの前に屈す結果となった。とはいえ、内容的には3点差がつくほどの完敗ではなく、十分な手ごたえを得ることが出来た試合ということもできるのではないだろうか。前回の記事にて注目選手に挙げたパシエンシアはゴール以外の貢献が開幕節に比べて著しく向上しており、脅威な存在としてあり続けた。また開幕節の後半から使用しているタピア底、ベルトラントップ下、右にセルビ、左のオスカルという形も良いコンビネーションで試合の支配に貢献している。とはいえ、ここまで開幕から得た勝ち点は1のみと未だ勝利がないことも事実。戦い方への確固たる自信を持つためにも、昇格組であるジローナをしっかりと下し、結果を得たいところ。注目選手はカルラス・ペレス

 今夏ローマから加入したラ・マシア出身の彼は、ここまでの2試合、後半途中からパシエンシアに代わる形で出場。2トップの一角というよりかは、彼の得意な右サイドからの仕掛けを活かす形で起用してもらっている。フィジカル勝負も多く90分は中々持たないであろうパシエンシア。マドリー戦ではそんな彼がいなくなると、チームは基準点を失い崩しのフェーズで中々勝負の一本が出せないことが目立っていた。パシエンシア交代後の時間をどのように使うのか。カルラス・ペレスがそのキーマンになるだろう。


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2、ベティス vs オサスナ

 ホーム ベティスの2節はマジョルカ相手に2vs1で辛勝。相変わらずサラリーキャップの問題によって6人しかベンチに置くことが出来ていない現状のベティス。この試合では開幕節のエルチェ戦とは異なり厳しい展開に。ハードワークを前提として53ブロックでバスを敷きながら、スライドによる受け渡しを徹底していたマジョルカディフェンス陣を崩すことが中々できず、武器であるファンミのダイアゴナルランでの裏への抜け出しはほぼ見られなかった。しかし、そのような中でもPKという形とは言え、追い付かれた後にしっかりと得点を奪い、勝ち切れたことは大きく、結果開幕から連勝を続ける4チームの一角となることが出来ている。ピッチ外での問題解決までタイムリミットが迫っている中、迎える連勝チーム同士の1戦。ベニート・ビジャマリンでしっかりと勝ち点3を積みあげたうえで、今後のマドリー、ビジャレアルとの連戦につなげていきたいところだ。注目は、ギド・ロドリゲス

 今季からバルトラの5番を受け継ぎ中盤に君臨する彼は、ここ2戦でも流石の好パフォーマンスを披露している。アルゼンチン代表のスタメンとしてW杯を冬に迎えるだけあってか、気合を感じるプレーも多く、昨季からパートナーを組むウィリアン・カルバーリョとのドブレピボーテは圧巻の出来。今節の相手であるオサスナはモイ・ゴメスの補強や、アイマール・オロスの台頭により、ライン間を活かしたポゼッションを志向するサッカーへ変化を遂げているだけに、ギドがどれだけそこでの仕事を食い止められるかは直接的に結果に影響してくるだろう。3連勝のため、彼の活躍が欠かせない。


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 一方、アウェイ オサスナの第2節はカディス相手に2vs0で勝利。自分たちの時間にしっかりと先取点を奪い、相手の時間帯ではしっかりと耐え、その上で相手に退場者が出た直後にとどめの1発を沈めるという試合巧者ぶりで開幕連勝を果たした。モイ・ゴメス加入により、ボールをしっかりと保持できるようになったチームはモンカジョラなどの左右に揺さぶる長いボールを使いながらゲームを支配。昨季まで受動的であったファイター色の強いチームは見事なポゼッションを魅せるチームへと変貌を遂げた。そんなオサスナが今季迎えるのがベティス。開幕節のセビージャ、2節のカディスに続き、アンダルシアのクラブ3連戦となる。ここまでの2戦に比べて明らかに完成度の高い、強敵であり自分たちの時間を簡単に作ることは難しい。また。今季初のアウェイ戦ということで、エル・サダール以外の地でどこまで勇敢に戦えるかが試される。注目はルベン・ペーニャ

前回、注目選手に挙げたモイ・ゴメス同様、ビジャレアルでエメリの構想外となったこのラテラルはオサスナにて躍動。これまでスタメンをつとめていたナチョ・ビダルから早速ポジションを奪うと、攻撃時は献身的なアップダウンと精度の高いクロス、守備ではスピードを生かした対人守備と、カバーリングで既にチームにとってなくてはならない存在になっている。そんなペーニャが今回対峙することになるのが、リーガ1といっても良いほどの破壊力を誇るファンミとアレックス・モレノの左サイド。ダイアゴナルに裏を取りに行くファンミに対し、その動きで空いたスペースを活かし、大外のレーンを攻略するアレックス・モレノ。この左サイドをどれだけ抑えることが出来るかで、この試合の形勢は大きく変わってくるだろう。右CBのウナイ・ガルシアや右SHに入る選手と上手く関係を築きながら、ここをどのようにシャットアウトし、またカウンターにてアレックス・モレノの空けたポジションを突くのか。注目したい。


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3、エルチェ vs レアル・ソシエダ

 ホーム エルチェの2節はアルメリア相手に1vs1のドロー。開幕節、10人になったとはいえベティスに完敗したエルチェは大きくフォーメーション、人選を変更してスタート。5バックであったDFラインも4バックになり、2トップにもペレ・ミジャではなくポンセが起用された。その中で素晴らしいインパクトを残したのがアレックス・コジャド

 この試合の注目選手にも挙げたい彼は右サイドに入ると、そこから中に入っていきチャンスメイクを行うという彼の最も得意なタスクを当たられ、輝きを見せた。またいつもは右はSHに縦突破型の選手を置き、ラテラルに守備的な選手を置くことで、大外のレーンはタレントの突破力に任せるという形だったが、この試合では右ラテラルにマルセイユから加入したポル・リロラが起用され、中に入っていくコジャドと良い関係性を築いた。コジャドの加入により、これまでもかなり個性的だったエルチェの攻撃陣は更に色合いを加えることに。個人的にはエルチェの誇る最高のチャンスメイカフィデルとコジャドの競演を早く見れるよう願いたい。この試合の相手はラ・レアル。難敵との対決になるが、ホームである以上、今季初となる勝ち点3を狙っていきたいところ。その中で、ラ・マシア出身の左利きチャンスメイカーという共通項を持つ久保建英vsコジャドの対決も楽しみにしたい。


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 一方でアウェイ ラ・レアルの前節はアノエタの地でバルサ相手に1vs4で敗北。特にチーム作りの面ではスコアほどの差があるようには感じなかったものの、やはり最後は個の部分での差で突き放されることとなった。とはいえ4♢2の形は、試合を重ねるたびに良くなってきており、この試合では相手が3バックでセットしてきたこともあって、2トップ左に入る久保が中央あるいは右へ、比較的自由に動くところに相手DFがつられ、その空いたスペースに左のインテリオールからメリーノが飛び出してくると言った場面が多く見られた。得点にこそつながらなかったものの、この形で数回決定機を作っており、この試合でもそこからの崩しは1つ注目したいポイントだ。現在4連勝中とエルチェとは相性の良いラ・レアル、そしてイマノル・アルグアシル監督。この試合では複数店による快勝を期待したいところだ。注目はアイエン・ムニョス

 開幕節 ディエゴ・リコが負傷を負ったことで現在唯一の本職左ラテラルとなっているアイエン。バルサ戦ではデンべレの状態がそこまでよくなかったのもあり、これまで得意とは言えなかった対人守備の部分で一定の成果は出した。バルサ戦に比べてボールを持つことが出来ると思われるこの試合では、攻撃面におけるアイエンの良さが目立つ試合になることが想定できる。昨季前半良いプレーを見せながらも、自身の負傷離脱、そしてその間のフォーメーション変更により序列を落とすことになってしまったアイエン。リコが怪我を負っている今のうちに、再度序列をひっくり返すことが出来るのか。彼の奮起に期待したい。


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4、ラージョ・バジェカーノ vs マジョルカ

 ホーム ラージョの第2節は敵地にてエスパニョール相手に2-0で勝利。vsカタルーニャ アウェイ2連戦を1勝1分けという満足の結果で終えた。この試合ではわずか16分で右CBのルジューヌが2枚のイエローをもらい退場。30分に相手のセルジ・ゴメスが退場になり10人vs10人という非常に珍しい展開に。しかし、その中でもラージョはいつも通りトレホとイシの2人が上手く侵入するライン間を起点に、エスパニョールDFを苦しませ、最終的にはセットプレーからのイシのスーペルゴラッソ、アルバロ・ガルシアの流石の突破からのシスのゴールで2点を取り、しっかり勝利で飾った。イラオラ監督でプリメーラ2シーズン目となるこのシーズン。チームの完成度は昨季のそれを遥かに凌駕しており、選手層の不足からくる消耗だけは気がかりなところだが、十分トップハーフ、ヨーロッパ圏内をも狙っていけるクラブと言って差し支えないだろう。その目標のためにはホーム 初戦となるこの試合、勝利で飾りたいところだ。注目選手はアレハンドロ・カテナ

 ルジューヌが2節の退場の影響で欠場となるこの試合、CBは昨季物足りなさが露呈したマリオ・スアレスあるいは怪我さえ治ればサベリジッチが務めると考えられる。空中戦の覇者 ムリチが相手となるこの試合、前節もホセル相手にルジューヌの退場以降、空中戦で敗れ起点を作られるシーンが目立った。この試合ではムリチを相手にどのように対応するのか。ディフェンスリーダーとしてカテナに注目したい。


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 一方のアウェイ マジョルカの2節はベティス相手に1vs2で惜敗。新スタジアムでの初試合となったこの試合、マジョルカの戦い方は前節同様しっかりとブロックを深い位置に敷いて耐えてからのカウンターという形。しかし、前節の相違点としてアトレティック戦では中盤3枚の右に降りて、541の形を作っていたイガンインが今日は明確にムリチと同じラインに入り、532という形を作っていた点。その上で、イガンインはピボーテを監視するとともに、カウンター時の起点としてボールを収め、決定的な演出を行うタスクを担った。この戦い方はベティス相手を苦しませ、特にイガンインは持ち前のキープ力とキック精度でベティスの脅威となり続けた。アトレティック、ベティスと強敵との難船が続き迎える3節の相手は敵地 バジェカスでのラージョ。これもまた、非常に難しい相手であることは事実だが、そろそろ勝ち点3という結果が欲しいところだ。注目はクレマン・グルニエ

 昨季、無所属であったところから加入するも全く出場機会が与えられなかった彼だが、夏のPSMで信頼を掴み獲り開幕から先発起用。この試合ではラテラルの攻撃参加が武器のベティス相手にあえて532を起用するというインテリオールにとっては非常に負担の大きい形が採用されるものの、グルニエはタイミング、コースの良い効果的なプレッシングでベティス最大の武器といっても過言では無いアレックス・モレノを最小限の活躍にとどめることに成功した。この試合の相手であるラージョもまた、フラン・アルバロの両ガルシアコンビによる強烈な左サイドを持っており、グルニエの負担が増えることは明確。元フランス代表として引き続き活躍に注目したい。


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5、アルメリア vs セビージャ

 ホーム アルメリアの前節はエルチェ相手に敵地で1vs1のドロー。昇格後初の勝ち点1奪取となった。マドリー戦に続き、この試合でもセグンダで使ってきた4213の形ではなく、532の形を起用しているルビ。この采配が今のところ効を奏しており、5枚を前提とする堅い守備と、CB3枚がみなしっかりと縦パスを差しこむことが出来る選手であることから、ロベルトーネやラマザニといったライン間をついていく、キーマンたちに良い形での供給ができている。勝ち点としては未だ1とまだ苦しんでいる状況ではあるが、チームとして確立されたこの形は十分プリメーラの舞台で通用しており、今後この形を維持することが出来れば、十分残留という目標を達成できるだろう。注目選手はラージー・ラマザニ

 ユナイテッドの下部組織出身である彼は昨季 セグンダで8G3Aを記録しており、初のプリメーラでの挑戦となっている今季も既に一定のインパクトを残している。その一番の魅力であるドリブル力はもちろんだが、それ以外にもライン間に侵入するタイミング、フィニッシュの正確性など、頭脳、技術共に十分なポテンシャルを秘めているプレーヤーだ。サディクの去就がかなり怪しくなっている今、彼がいなくなった後のアルメリア攻撃陣を中心として救うことが出来るのはラマザニを置いて他にはいない。そんな彼が、セビージャ相手にどこまでできるのか。注目したい。


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 一方のセビ―ジャは前節バジャドリー相手に1vs1のドロー。80分過ぎに相手にゴールを許しながらも、相手GKのミスにも救われ何とか勝ち点1を獲得することが出来た。開幕節に比べれば良いシーンもいくつか見られ、とりわけ中盤中央で相手の攻撃をつぶしていたフェルナンドの出来は賞賛に値する。とはいえ昨季4位のCL出場チームが開幕2試合連続で競合とはいないチーム相手にポイントを落としているのも事実であり、攻守ともに大きな問題が残っているのも間違いない。このままずるずる行くようなことがあるとロペテギの去就問題が再度沸き起こるきっかけになる可能性もあり、一刻も早い立て直しが要求される。そんなチームの注目選手はCBのタンギー・ニアンズ

 PSGのアカデミー出身で、その後バイエルンに移籍し、今夏セビージャに買戻しOP月のローンという形で加入した彼は、合流1週間もたたない状態ながらバジャドリーにも出場。失点シーンでは相手につられて失点に関わってしまうなど、若さゆえの課題も多く出たが、その一方でクンデほどではないとはいえ、ポテンシャルの高さを感じさせるプレーも多く、今後に期待を抱かせるデビュー戦となった。この試合ではアルメリアの注目選手に挙げたラマザニとマッチアップする可能性が高く、ニアンズにとっては非常に強い敵とのいきなりの1戦となる。このラマザニに対してニアンズがどこまでできるのか。この試合の行く末、そして今季のセビージャの明暗を予期させることになるだろう。


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6、ヘタフェ vs ビジャレアル

 ホーム ヘタフェの2節は昇格組のジローナ相手に3vs1で完敗。相手のミスにより1点を返すことはできたものの、アトレティコ戦以上に運び出しの部分で苦労する部分が多く見られた。クエンカの退団、ルイス・ミジャの負傷によってビルドアップの起点となれる選手がアランバリのみとなってしまっており、ここが消されてしまうと中々全身に苦しむというのが現象として顕著になってしまっている。更に前節終了間際にアンヒレリが退場したことで、この試合では彼が出場停止となる。オリベラ、ヤンクトの放出で層が薄くなっている左WB。また右もダミアン・スアレスが怪我しており、イグレシアスのみとなっていることから、誰がこのポジションで起用されるのか、フォーメーション自体の変更があるのかにも注目が集まる。3連敗は許されないヘタフェ。今節の相手は現在首位のビジャレアルと非常に厳しい試合となることが予想されるが、逆に相手に持たれることを前提としたうえで戦えるため、ある意味では割り切った戦い方ができるのも事実。何としてでも勝ち点をもぎ取りたいところだ。注目はドミンゴス・ドゥアルテ

 今夏、昨季降格したグラナダから移籍してきたポルトガル代表CBである彼。2シーズン前まではオトラ・リーガと呼ばれる3強を除いた17チームの中ではトップレベルといって良いパフォーマンスを見せていた彼だが、負傷又チームの不調に伴い昨季はパフォーマンスが低下。今季は復活を期してのシーズンとなっている。しかし、左CBとして使われるこの2試合ではその期待に沿うようなプレーはできておらず、ジローナ戦では失点に直接かかわるようなプレーもあった。左CBのポジションには昨季バレンシアで活躍したアルデレーテの獲得が発表され、今後は3の中央としてミトロビッチと争いながらとなるであろうドゥアルテ。このポジションで復活を印象付ける活躍を見せられるか。当選落上のW杯メンバー入りのためにも猶予は多くない。


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 一方、アウェイのビジャレアルは2節アトレティコ相手に敵地で非常に大きい勝利。緊張感のあるレベルの高い試合ながら多くの時間を支配し、相手のミスを突いてゴールを沈め確実に2連勝を果たした。リーガ2連勝、ECLでもしっかりと勝利を挙げているなど良い雰囲気を維持しているビジャレアル。戦力的にも4位以内はノルマ、3強食いが目標となる今シーズン。まずは良いスタートを切ったと言える。3、4試合後のベティス、セビージャと、直接のライバルであるアンダルシア勢との対決に向け、連勝を維持していきたいところだ。今日の相手は昨季クエンカが1年間お世話になったヘタフェ。クオリティや戦い方自体は異なるものの352から3421への可変を用いるヘタフェの戦い方はアトレティコに通ずる部分があり、また充実している新補強選手が離脱中もしくはフィット最中の今、当たれるのは大きい。しっかりと勝ち点3を奪いたいところだ。注目選手はアルフォンソ・ペドラサ

 今夏、昨季の左ラテラルを務めていたエストゥピニャンがブライトンに移籍し、代役の補強は叫ばれているものの、現状本職の左ラテラルはペドラサのみであり、彼には大きな期待が寄せられることになる。一昨季はエストゥピニャンを上回り、スタメンを勝ち取っていたように実力は確かなものがあり、堅実さ、サッカーIQの高さはエストゥピニャン以上。その一方でやはり馬力的には物足りないところがあり、アトレティコ戦でも彼の所で追いつかれてしまい、最後まで行ききれないシーンが目立っていた。とはいえ、その馬力はペドラサにはつけられないものであり、彼には別の良さがあるのは間違いない。チームとしてこの部分をどのように作っていくのか。シーズン通して楽しみにしたい。


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7、バルセロナ vs バジャドリー

 ホーム バルサの第2節はラ・レアル相手に4-1で勝利。予想外の3バックスタートでスタートしたバルサ。早々に得点が動く大味のスタートとなったこの試合。しかし、その3が機能していたかと言われると、中々そうは言い難く、特に右サイドは停滞を起こすことが多く見られた。アンスのスーペルな活躍で点差的には余裕を持って勝利したものの、開幕節のラージョ戦同様、内容面では課題が残ったと言える。前節、出場停止となったブスケツが戻ってくるこの試合、再び3バックで臨むのか、はたまた4バックに戻すのか、4の場合右ラテラルを誰にするのか。また前節コンディション不良でベンチスタートとなったアルバはスタメン復帰するのか。などリーガ20チーム全チームを見てもトップクラスに今季の全体像がまた見えてきていないバルサ。力関係的にバジャドリーは様々なことを試しながら勝利を狙える相手であり、この試合でできる限り最適解に近いものを見つけたいところだ。注目選手はエリック・ガルシア

 今季、クンデ、クリステンセンの加入によりPSM以前は序列低下が叫ばれ、アラウホ、ピケも含めた4人に次ぐ5番手なのではないかとまで言われたエリック。しかし、PSMが始まるとチャビからはかなり信頼を得ていることが見受けられる使い方をされており、リーグ開始後もクンデの登録が未だなっていないとはいえ、2試合連続スタメンで起用されている。そして、その期待に応えるようにエリックのパフォーマンスレベルも高く、持ち前の持ち運びからの縦への楔と読みの良さで、チームを後ろから支えている。今季途中にはW杯もあり、信頼を寄せてくれているルイス・エンリケのため、そしてバルサが頂へ辿り着くためにも覚醒のシーズンとしたい今季。次世代のカピタンとして圧倒的な存在感を期待したい。


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 一方、アウェイのバジャドリーは前節サンチェス・ピスファンでセビージャ相手に1vs1のドロー。アヌアルが先制点をあげながらも、終了間際のアセンホのミスで勝ち点2を落とすという辛い結果にはなったものの、内容面ではセビージャにかなり押されていたこと、アウェイでの強敵相手であったことから満足のいく結果といっても良いだろう。ビジャレアル、セビージャと来て今節迎えるのはバルセロナといきなり強敵との連戦が続いているバジャドリー。ただ、この試合を終えるとアルメリア、ジローナ、カディスと残留争いのライバルになりそうなクラブとの対戦が続くようになる。この直接対決3連戦を前に、強豪相手3連戦をどのように乗り切り、チームとして何を得るのかが重要になってくる。カンプ・ノウでのバルサ戦。間違いなく苦しい展開になることが予想されるが、なんとかポジティブな点を残したいところだ。注目選手はロケ・メサ

 押し込まれる展開が容易に予想される今節。そんな中でハードワーカーとしてロケ・メサの役割は重要になってくる。セビージャ戦では底の位置に入ると豊富な運動量であらゆる位置に顔を出し、1vs1の形をできる限り作られないような立ち位置を確保。セビージャのサイドを起点とした攻撃に押し込まれる中で容易な中への侵入を許さなかった。今節の相手バルセロナもまたサイドでのエストレーモの突破力が武器のチーム。デンべレやラフィーニャ相手にできる限り1vs1の形を作らせず、数的優位な形で常に対応していくためにも、ロケ・メサの運動量に期待したい。


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8、エスパニョール vs レアル・マドリー

 ホーム エスパニョールの前節はラージョ相手にホームで0vs2で敗戦。16分に相手DFルジューヌが退場し、数的優位になりながらも、その時間を活かせず30分に判定自体は怪しかったとはいえ、セルジ・ゴメスの軽率な対応で10vs10に。それ以降はラージョに押し込まれる展開が続き、敗戦となった。特に課題が残ったのはCBの運び出しの部分。セルジ・ゴメス、カブレラの両者ともビルドアップにおいて効果的なプレーが出来ず、フリーな状態でボールを持っても、ロングボールを蹴るか、隣のラテラルにパスするかのほぼ2択しかない状態になっている。その結果、相手のプレッシングに対して数的優位な形を作れているのにも関わらず、中々中にボールが入らない展開が続き、ダルデルやエスポジト、ソウザといった中盤のプレーヤーが、1列降りることで起点となるという展開が続いていた。ダルデルら中盤の魅力あるタレントを崩しのフェーズで最大限生かすためには、Cbのビルドアップ面改善は不可欠であり、ここをディエゴ・マルティネスがどのように考えるかは注目。選手としての注目はハビ・プアド

 怪我で開幕戦に出遅れ、第2節でも途中からの出場となったプアド。しかし、その短い時間でもよい形を作っており、クロスボールをホセルの奥で受け2回ポストに当てるシーンが見られた。なんでも器用にこなすRDTの影響でタスク量が制限されていた昨季に比べ、今季のプアドは空中戦やボールキープに特化したホセルのパートナーとして、幅広いタスクが与えられることになりそうで、彼にとってやりやすい環境になるはず。スペインの次代を狙うスコアラーへの成長が期待される彼。まずはマドリー相手に一撃を喰らわしたいところだ。


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 一方、アウェイのマドリーは第2節 セルタ相手に敵地で4発快勝。全体的にセルタにボールを支配される展開となりながらも流石のカウンターとタレントによる理不尽力で、最終的には4発を叩き込む結果となった。そして退団となったカゼミロの代役として入ったチュアメニ。彼もまた、物足りなさが目立ったアルメリア戦とは異なり、この試合では中盤の狩り役としてカゼミロとは異なる自身の長所を生かしたプレーで、危険なシーンを未然に防いでいた。カゼミロが得意とした流れたCBの穴を埋めるクロス対応では、まだ未熟さが残る点も見られたが、そこは時間をかけ成熟させていけばよい物。とりあえず、カゼミロの後継として、外からの補強よりもチュアメニにしっかりと出場時間を与えてあげるべきという意見を主流派にする程度の活躍は十分できたといって良いだろう。RCDEスタジアムでのこのカードは昨季 マドリーが落とした試合でもあり、そのリベンジのためにも気持ちの良い勝利が欲しいところ。注目選手はダニ・セバージョス

 今夏、彼の愛するベティスへの復帰が現実味を持って叫ばれていたセバージョスだが、ここにきてとりあえずは残留が濃厚となっている。幸か不幸かカゼミロの退団によって中盤の頭数自体は減っており、プレータイムも多少なりとも伸びることが予想される。実際、アンチェロッティ監督も彼には期待と信頼を寄せているようで、この2試合とも途中からという形ではあるが、しっかりと出場機会を与えている。この試合でもスタメン起用というのは考えにくい部分ではあるが、必ず途中から出場機会は与えられるはず。短い時間でインパクトを残すプレーを期待したい。


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9、カディス vs アトレティック・クルブ

 ホーム カディスの第2節はオサスナ相手に0vs2の敗戦。ルベン・アルカラス、アレックス・フェルナンデスという2人のキーマンを欠くカディスは開幕節同様、ボールの前進に苦労。序盤からロングボールに頼る展開となっており、オサスナにゲームを支配されることとなった。しかし、ハーフタイムで修正を行い、アラルコンが2CBの間に降りて、そこからボールを散らすという形を整えてあげると、展開は一変。ルイス・エルナンデスやチュストからもライン間に位置したルーカス・ペレスへの良いパスが入るようになり、攻勢に転じた。ただ、その展開も長くは続かず、中々得点を決めきれないでいた76分。キーマン アラルコンがこの日2枚目のイエローを喰らい、退場。その直後に追加点を許し、万事休す。連敗スタートとなった。そして迎える第3節の相手はアトレティック。バスク地方3連戦となる。この試合ではアルカラスはまだ間に合わず、アラルコンもサスペンションで欠場。厳しい状況が続く中、期待したいのはアントニオ・ブランコ

 カスティージャからローンで獲得した彼は、オサスナ戦ではベンチ入りこそ果たすものの、出番はなし。おそらくこの試合がカディスデビュー戦となる。先述の通り、ゲームメーカーを欠く今のカディスにとって求められている人材はビルドアップの中心として、ゲームを作りつつ、しっかりとディフェンス面でもブロックの一員としてサボらず、ハードワークのできる選手。これがブランコに期待される役割だ。カゼミロの後継候補として2シーズン前は比較的プレー機会を与えられていた彼だが、昨季はカマヴィンガの加入などもあり出場機会を殆ど得られず。その間に伝説の3人に次ぐ、人材としてバルベルデ、カマヴィンガ、セバージョス、そして今夏獲得のチュアメニが並ぶようになり、ブランコの居場所は更に苦しい立場となった。それでもカゼミロを放出した今、マドリーがピボーテを求めているのは事実。チュアメニ、カマヴィンガが当面の代役にはなるだろうが、ブランコもまたカディスで圧巻のパフォーマンスを見せることが出来ればチャンスを得られる可能性は十分ある。マドリーでの生き残り、そしてカディスプリメーラ生き残りへの中心として、ブランコに期待したい。


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 一方、アウェイのアトレティックは前節バレンシア相手に1vs0で勝利。開幕節とは異なり、相手にポゼッションを握られる展開になりながらも、イニャキ、ニコなどのタレントを活かしたカウンターで得点を奪うことに成功した。マルセリーノ時代のプレッシング面での良さを継承しつつ、バルベルデ流のポゼッション&カウンターメソッドを上手くチームに落とし込んでおり、今後に期待が持てる内容はこの2試合で見せているといって良いだろう。とはいえ、まだ課題があるのも事実。前回記事でもふれたが、特に中盤3枚をどうするのかは再考が求められるところ。この試合ではスタートはベスガ、ムニアイン、サンセと2人の攻撃的MFを用いた逆三角形、途中からはベスガ、ベンセドール、サラガの所謂ピボーテタイプを用いた逆三角形を使っていた。PSGからアンデル・エレーラの獲得も囁かれており、この3枚をどのように構成してくるのかが注目だ。注目選手はオイハン・サンセ

 昨季ブレイクを果たしたといって良いサンセ。マルセリーノ442の下では2トップの一角として起用されるとライン間で上手くボールを引き出し、そこから直接得点に結びつく働きを行い7G4Aを達成した。しかし、今季のサンセはフォーメーション変更とともに4123のインテリオールの一角で起用されているものの、中々インパクトを残せていないのが現状。CFでの起用も今のところもなく、このフォーメーションの下で生き残っていくにはインテリオールへの適用が早々に求められる。開幕節のマジョルカ戦同様、ボールを握る場面が多くなると想定されるカディス戦。ムニアインの負担を軽減するためにもサンセの活躍に期待したい。


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10、バレンシア vs アトレティコ・マドリー

 ホーム バレンシアの第2節はアトレティックに敗北。サン・マメスでの1戦はビルドアプのミスを突かれた失点で決着という悔しい展開になった。しかし、チームとしてのファイナルサードまで持ち出す形はしっかりと確立されており、あとは最後の崩しの部分さえ改善できれば十分、レベルアップが期待できるポジティブな内容を見せていたのも事実。ガットゥーゾの下、良く作られたチームは今後にもリーガ内でも魅力的なチームとして一定の地位を築くことになるのではという期待感を感じるゲームとなった。今節メスタージャに迎える相手はアトレティコ。まずポイントとなるのが、ボールをどちらが握って試合を行うのかという点だ。今季のバレンシアの特性上、バレンシアは間違いなくボールを握りたいという観点で試合を始めるとは思われるが、形成途中のポゼッションがどこまでアトレティコ相手に通じるのか。それ次第ではある程度割り切ってブロックを敷き、カウンターという形に切り替える必要はあるかもしれない。注目選手はヘスス・バスケス

 ガヤがリーガの理不尽な裁定に遭い4試合の出場停止中となっている中、代役として出場しているバスケス。昨季プリメーラデビューを果たしたカンテラーノの彼は、デビューシーズンから15試合に出場(7試合スタメン)。一定のインパクトを残していた。そして、今季は開幕から継続して起用されているが、ポゼッションスタイルへと変動を迎えたチーム、そして自身の前に入っているサムエル・リノとの関係性によって躍動。タイミングによって内外を使い分けるランニングにより、左サイドを活性化させている。この試合でも、その攻撃面での活躍に期待したいところだが、今日のマッチアップ相手はおそらくマルコス・ジョレンテ。リーガトップクラスのアスリート能力を誇る彼に攻守両面でどのような活躍ができるのか。注目だ。


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 一方、アトレティコは前節ビジャレアルにホームで敗戦。拮抗した試合を見せながらも、モリーナのミスにより先制されると、取り返すために前掛になっていた後半アディショナルタイムに追加点を奪われ、万事休す。悔しい結果となった。とはいえ、長いシーズン こういったことがあるのは仕方がないことであり、ここからどう立て直しを図れるのかが重要になってくる。前節に続きバレンシア州のクラブとの対戦となるこの試合、快勝で悪い流れを断ち切りたいところだ。この試合では右WBのモリーナが出場停止。代役にはおそらくインテリオールのジョレンテがずれて入ることになるだろう。前節では右のモリーナ、左のカラスコが両者ともにサイドでの勝負を制すことが出来ず、結果として崩しの糸口が中々見つからず、苦労することになった。この試合ではその部分をどう修正してくるのか。人選の変更だけではなく、チームとしての狙いに注目だ。注目選手はコケ

 今シーズンのコケは2シーズンぶりに中盤の底の一角としてプレーしている。しかし、与えられている役割としては優勝した20-21シーズンとは異なるものであり、特にビルドアップ面ではピボーテ化する3バックのセンターヴィツェルに合わせてインテリオール的な立ち位置を取り、ヴィツェル、レマルと共にビルドアップの一環としてボールを引き出し、シャドーorWBとの間をつなぐリンクマン的なタスクを負っているのだ。そのため中々目立つというシーンは少ないが、このタスクをコケの良さを生かすものであり、この2節でも地味ながら良い働きを見せていた。W杯に向け、ガビ、ペドリのバルサ勢。同僚のジョレンテバレンシアソレール、ラ・レアルのメリーノ、リヴァプールのチアゴなこの4年間ラ・ロハの中心としてチームを支えてきたコケもその地位は安泰ではない。自身の価値を証明するにも、彼の働きでチームを勝利に導きたい。


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ラ・リーガ第2節プレビュー

1、初めに。

 皆さんこんにちは。よろしくお願いいたします。

 今季も時間のある時に、ラ・リーガ全10節のプレビューを書いていきたいと思います。先週は忙しく、開幕節のプレビューを出すことが出来ず申し訳ありませんでした。その分と言ったらなんですが、開幕節は全10試合をすべて見てきたため、内容はある程度良いものが書けるかなと思っております。程よい程度に期待してみてください笑

 

2、ラ・リーガ開幕節レビュー

 まずは昨季同様、前節の簡単なレビューから。注目の3強はマドリー、アトレティコがそれぞれ敵地でアルメリア、ヘタフェに競り勝った一方、大型補強で注目されたバルサカンプ・ノウでドローに終わった。昨季王者マドリーはスーパーカップから中3日といった中でターンオーバーを実施。昇格組ながら果敢に戦ったアルメリアに先生を許すなど前半は厳しい展開が続いたものの、後半見事逆転に成功。アトレティコは今季積極補強で注目のヘタフェに快勝。モラタの2得点、フェリックス3アシスト、グリーズマンにも得点が来るなど取るべき人が結果を残す理想的な形でシーズンをスタートさせた。一方のバルサはラージョの守備を崩し切れずスコアレス。昨季ダブルを喰らうなど苦手としている難敵との対戦なだけにそこまで悲観的になることはないが、右ラテラルの問題を筆頭に課題は残る1戦に。

 その他、昨季6位のラ・レアルは久保の移籍後初ゴールでカディスに勝利。昨季から続く課題が垣間見られる部分はあったものの、久保、シルバ、ブライス、メリーノらの近い位置での連携はロマン。昨季5位のベティス、7位のビジャレアルはそれぞれエルチェ、バジャドリーに快勝。一方で昨季4位 セビージャは開幕試合となったアウェイでのオサスナ戦に1-2で敗北。クンデ、ジエゴ・カルロス不在の大きさを痛感させることになったが、攻撃面ではロペテギ政権初期のようなサイドを広く使うプレーも多く見られ、マイナス面だけではない内容に。

 その他、セルタvsエスパニョールは終了間際のPKでエスパニョールが追いつき2-2。ガットゥーゾ新体制のバレンシアvs昇格組ジローナの対戦は1-0でバレンシア勝利。バルベルデが就任したアトレティックはマジョルカ相手に押し込みながらも最後まで得点が奪えずスコアレスドローとなった。

 今節のPick up Player はオサスナからアイマール・オロス

オサスナの下部組織 タホナル出身のの彼はこの試合が19-20のマジョルカ戦で10分間出場して以来のプリメーラでの出場となった。選手たちに高い強度を求め、カンテラーノの起用にも比較的慎重と言えるアラサテの下で彼が開幕スタメンを勝ち取るのは、予想だにしていなかったことだったが、その期待に見事応える活躍を披露。1列目の位置から降りてきてボールを引き出し、細かいスペースからのチャンスメイク。そして、74分には決勝点となったPKをゴールど真ん中に蹴りこむ度胸も見せ、見事MOMに輝いた。

順位表、1節全結果は画像の通り。また個人的今節ベスト11(控え組含)も画像参照。俺はこいつも良かったと思うよ!っていうのがあったらコメントで教えてください!今節は活躍したGKが多く選出に苦労しました笑

 

3、ラ・リーガ2節プレビュー

1、エスパニョール vs ラージョ・バジェカーノ

 ホーム エスパニョールの前節はセルタ相手に2vs2のドロー。前半こそ新加入のホセルをターゲットとしたうえでダルデルが中盤を制圧しセルタを押し込んでいたものの、決定的なチャンスを作れず。徐々にペースをつかんでいったセルタがアスパスの理不尽ゴール、パシエンシアの空中戦で2点先行を許す展開に。しかし、セルタのミスもあり、新戦力エスポジトのミドルと終了間際のホセルのPKで追いつき、勝ち点1を敵地で持ち帰る開幕となった。今季から就任したディエゴ・マルティネスのやりたいサッカーが時折垣間見える部分もあったものの、特にサイドにおいてプレーヤーの質という面で物足りないところがあり、中々決定機まで作ることが出来なかった。

 今季初のホームゲームとなるこの試合。新体制初勝利をペリコの前で挙げたいところだが、ラージョはここ4試合連続敗戦中と近年、非常に苦手としている相手。ビセンテモレノ時代に屈したこの4連敗をディエゴ・マルティネスは乗り切り初勝利を挙げることが出来るのか注目が集まる。注目選手はフェルナンド・カレロ

 来月に27歳を迎える彼は昨季まではCBとしてプレー。昨季はシーズン途中、失点がかさむようになった時期にセルジ・ゴメスに代わってスタメンの座を勝ち取り、良いパフォーマンスでチームに貢献した。そんな彼が開幕節、ディエゴ・マルティネス監督の下で与えられたポジションはピボーテの位置。驚きと不安を抱えながらのスタメン起用となったものの、攻撃時にはライン間を取った味方に鋭い楔のパスを差し、守備ではサイドにカバーのため流れたCBの空けたスペースを埋めるマドリーのカゼミロのような役割を見事果たしていた。今節、彼が直接マッチアップすることになるであろう選手はラージョのキーマン オスカル・トレホ。彼に対してカレロがどこまでできるのか。この試合を左右するポイントになるだろう。


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 一方、ラージョの前節はカンプ・ノウに乗り込んでのバルサとの1戦。新戦力のFWカメジョ、CBルジューヌを早速起用したイラオラのチームはハイプレスとブロックを上手く使い分け、バルサ相手に早速勝ち点1を拾うことに成功した。3シーズン目を迎えるイラオラの下、確固たる戦い方を装備したラージョは今季も十分余裕をもって残留を達成できるだけのクオリティを持っており、イシ、トレホ、アルバロといった攻撃面でのキーマンたちの調子もしっかりと仕上げてきている。唯一、懸念があるとすれば層の薄さといったところだろうか。昨季に比べればサルビ・サンチェスの補強もあって多少充実はしたものの、未だにトレホ、アルバロの代わりは他の選手には中々務まらない。彼らがどこまで健康体でシーズンを戦い抜けるのかが重要になってくるだろう。2戦連続アウェイに乗り込んでの1戦となるvsエスパニョール。注目は新加入のストライカー。セルヒオ・カメジョ

 今夏 アトレティコからローンで貸し出されラージョに来たカメジョはミランデス所属時の昨季、セグンダの舞台で15Gを記録。21歳の若さながら、確かな実績を持って実質的には初となるプリメーラの舞台に乗り込むこととなった。早速スタメン起用となったバルサ戦ではプレッシングとカウンター時の起点になるプレーでチームに貢献。決定機を決めきれなかったシーンこそあったもののプリメーラの舞台でも十分に戦えることを示した。2戦目となる今節ストライカーである以上、求められるのはもちろん結果。彼のゴールでチームに初勝利をもたらすことが出来るのか。貪欲なプレーに期待したい。


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2、セビージャ vs バジャドリー

 ホーム セビージャの開幕節は敵地エル・サダールでオサスナに敗戦。決勝点に繋がったPKこそ疑わしい判定であったが、開始直後から果敢にゴールに向かってきたオサスナの勢いに終始押される展開になったのは事実。クンデ、ジエゴ・カルロスの2人を放出したことによる課題は守備面以上にビルドアップの面で散見された。既にガラタサライから獲得したマルコンに加え、バイエルンからニアンズという若手CBの獲得が決定。この試合では両者とも出場することはないだろうが、レキク、グデリの2人では如何せん厳しいため、CBのクオリティに合わせた形でのチーム作りは必須だろう。早く悪い流れを断ち切り、新体制としてのセビージャを印象付けるためにもピスファンの地で気持ちの良い勝利を果たしたいところだ。注目選手はイスコ

 今夏マドリーから移籍してきた彼だが、開幕節は合流から日が浅かったこともあり、出場機会はなく、この試合がセビージャのプレーヤーとしての初試合になることが予想される。11年ぶりにホームチームとしてアンダルシアに帰還することになるイスコ。マドリーでは近年徐々に出番を減らしており、フェデ、カマヴィンガ、セバージョスらの台頭に押し出されチームを去ることになったが、未だ30歳。老け込むのにはまだ早く20-21のアタランタ戦で見せたようにその実力も健在。もう一花咲かせ、滑り込みでW杯メンバーにということも不可能ではない。苦しいチームを勝利に導き、新生セビージャの旗頭となることが出来るか。注目したい。


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 一方でアウェイの地に乗り込む 昇格組 バジャドリーは前節ビジャレアルに0-3で敗北。ホーム ホセ・ソリージャの地でプリメーラの厳しさを改めて突き付けられることとなった。ビジャレアル戦も一方的に攻められた完敗というよりかは、特に後半 キケ・ペレスとイバン・サンチェスの2人を投入してからビジャレアルに2点目が入るまでの時間は流れを手にしており、2人のチャンスメイカーを起点にビジャレアルゴールに迫るプレーを何度も見せた。しかし、ルジの好守にはばまれるなど、その時間帯に決めきれないことで2、3点目を取られることとなった。これは前回プリメーラ時から続く、バジャドリーの欠点であり、豊富なタレントを生かし、自分たちの時間帯に確実にゲームを持ってくる。そのようなプレーが求められる。ビジャレアル、セビージャ、バルセロナと強豪との対戦が相次ぐこの開幕3連戦。3連敗を避けるためにも敵地とはいえ何とか勝ち点を拾いたいところだ。注目選手はイバン・サンチェス

 前節、ゴンサロ・プラタに代わり60分過ぎから投入された彼は右の大外に張ってアイソレーション気味な形を作ってもらいながら、カットインからの精度の高い左足でチャンスメイク。同じ時間に投入されたキケ・ペレスとともに左右両方からゲームを組み立て、試合の流れを変えた。セビージャ戦でもスターターかは微妙なところだが、重要な局面で必ず出番は来るはず。そのタイミングでリーグ屈指のラテラルであるアクーニャ相手にどのようなプレーができるのか。不安を抱えるセビージャのディフェンス陣をサイドから崩すことが出来れば、十分勝機は見えてくる。


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3、オサスナ vs カディス

 ホーム オサスナの第1節はリーガ全体の開幕試合。ホーム エル・サダールでのセビージャ戦。ホームの最高の雰囲気による後押しをバックに序盤からテンション高くハイプレスを実行。難敵セビージャを下すことに成功した。カンテラーノのアイマール・オロス、ビジャレアルから獲得した新戦力 モイ・ゴメス、ルベン・ペーニャの2人が活躍を見せるなど、しっかりと昨季からの積み上げを感じさせる開幕節とすることができ、ポジティブな雰囲気でこの2戦目に臨むこととなる。メンバーも前節、負傷交代したウナイ・ガルシアはじめ、開幕戦を欠場したルベン・ガルシア、アリダネなども復帰しており、アラサテ監督的には非常に豊富なスカッドから選択することが可能な状態。更に、開幕節に続きホームで迎える第2節の相手は直近8試合無敗(7勝1分)と相性が極めて良いカディス。ここはしっかりと勝ち点3を確保し、昨季同様良いスタートを切りたいところだ。注目選手はモイ・ゴメス。

 先述のように、今夏ビジャレアルから加入となった彼は公式戦でのオサスナデビューとなったセビージャ戦でも圧巻のプレーを披露。左SHに入るとライン間でボールを引き出しチャンスメイクする場面、左側に降りて行ってそこから鋭い縦の楔を打ち込む場面などオサスナの攻撃を既に中心としてつかさどっていた。ビジャレアルの2列目の選手層が凄まじかっただけで、元々 モイは3強を除いたリーガでは有数の選手であり、オサスナのレベルをもう1段挙げる貢献ができる選手。この試合で彼がどのようなプレーを見せるのか、注目したい。


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 一方、アウェイ カディスの開幕節はラ・レアルに久保のゴールもあり、0-1の敗戦。特に前半は完全にボールを握られる苦しい展開が続き、守備でも脆さが垣間見られる展開だったが、60分過ぎごろからこぼれ球を繰り返し拾うことでペースが生まれるように。ただ決定機は殆ど作れず、試合終盤にはアリチョーに2度決定機を許すなど、いつも通りではあるがレデスマがいなければ更に失点を重ねていてもおかしくない試合となってしまった。特に昨季終盤カディスが良かった時期と比べて、物足りないのは中盤での支配力。それにはやはりアルカラスの離脱が極めて大きく響いていると言えるだろう。同様にボールを散らすことのできるアレックス・フェルナンデスも離脱中であり、ボールを持てるタイプの中盤がいない現状だ。アントニオ・ブランコをマドリーからローンで借りるという話が確定的になっているのも、この状況が影響しているのは間違いない。とはいえ、アルカラス、アレックス、ブランコみなこの試合に出られるない以上、セルベラ時代のように退いてからのカウンターというのが狙いとなる。そこで注目したいのがアウェア・メイビル

/今夏に加入したオーストラリア代表の彼は2トップに加え、左右のSHでもプレーすることが出来、ラ・レアル戦でもそのスピードを活かし、一定のインパクトを残していた。イドリシのローンが終わり、サルビ・サンチェスが退団したことで現状非常に薄くなっている2列目アタッカー。そこでメイビルがどこまで攻撃の切れアズをもたらすことが出来るのか。注目したい。


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4、マジョルカ vs ベティス

 ホーム マジョルカの前節はアトレティック・クルブ相手にスコアレスドロー。敵地サン・マメスで難敵相手に見事勝ち点1を奪うことに成功した。シュート23本を浴びる苦しい展開ながらも新GK ライコビッチの活躍もあって、なんとか完封。布陣としては昨季同様5バックの前にブロックを置く形で、サイドからの打開を警戒したのかこの試合では541を選択。イ・ガンインは守備時には右サイドをケアしつつ、攻撃時には中央に入ってセカンドトップ的な役割を担った。アトレティックのユーリ同様、攻撃面で違いを作ることのできる左ラテラル アレックス・モレノを抱えるベティス相手にもこの541の形は継続するものと考えられる。今節の対戦相手であるベティスにはここ6戦で4勝2分と未勝利であり、最後の勝利は2012年と10年以上にさかのぼる。実力差、完成度、相性共に厳しい戦いになることは容易に想定がつくところだが、何とか無失点に抑え、スキを突くことで今季初勝利をホームで挙げたいところだ。注目選手はマルティンヴァリエント

 マジョルカ 3シーズン目となるこのスロバキア代表は前節ムニアイン、ユーリ、ベレンゲルがコンビネーションを使いながら侵入してくるマジョルカの右サイドをマフェオらとともに何とか死守。体を張った守備でチームの無失点に貢献した。そして今節の相手であるベティスもまた左サイドの得点を武器としているチーム。特にダイアゴナルランで裏を取り得点を量産するファンミは開幕節でも2点を決めている間違いなく危険な選手。そんなファンミ相手にヴァリエントがどのような対応を見せ、ファンミの裏抜けを防ぐのか。注目したい。


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 一方のアウェイ ベティスは前節 ベニート・ビジャマリンでエルチェに3vs0で快勝。相手の前半での退場や失点に直結するイージーミスなどラッキーな部分があったことは否めないが、それでも昨季から安定したペジェグリーニ体制の下での完成度の高さを見せつけた。スコアラーである🐼ことボルハ・イグレシアス、昨季のチームトップスコアラー ファンミと獲るべき人がしっかりと得点を決めているのも好印象。またベジェリンの買取が厳しそうな右ラテラル、サラリーキャップの問題で放出せざるを得なかったバルトラに代わったルイバル、ペッセラはコンディションの良さを感じる好プレーを連発。昨季から続くギドとカルバーリョのドブレピボーテは圧倒的な支配力を見せるなど、非常に良い状態でシーズンに入っている。あとは新加入のルイス・フェリペ、ルイス・エンリケの2人をどのようにチームに溶け込ませていくのかというところがキーポイントになる。格下マジョルカとの対戦となる今節、早い時間でゲームを決め、彼ら両ルイスに余裕を持ってデビューさせられる体制を作りたい。注目選手はロドリ

 昨季序盤多くの出場機会を得て、好パフォーマンスを見せていた彼だったが、ファンミの台頭、またカナレスを1列前に置く形の定着。そしてそれと重なって起きた負傷離脱により、シーズン終盤は出場機会を失うこととなった。復権と更なる進化を目指す今シーズン。ルイス・エンリケという新戦力の獲得やホアキンの一転しての引退宣言など、ロドリにとっては厳しい状況は拍車を増している。そんな中で生き残っていくためにはカナレスが負傷離脱中の今がチャンス。ここで結果を残し、自身の存在をアピールしたいところだ。


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5、セルタ vs レアル・マドリー

*追加) クロースのインフルエンザによる欠場が決定。カゼミロ、ロドリゴの2人も遠征メンバーに加わらないとのこと。中盤はチュアメニ、モドリッチ、カマヴィンガ、右のエストレーモにはフェデが濃厚。

 

 ホーム セルタの前節はエスパニョール相手にバライードスの地で2-2のドロー。アスパスのスーペルゴラッソに加え、新戦力パシエンシアの打点の高いヘディングで2点を先行しながらも、終盤ディフェンス陣のミスを突かれ、勝ち点2を失う結果となった。ブライス・メンデスの放出、デニス・スアレス、サンティ・ミナのピッチ外でのトラブルによる戦力外化などによって大きく人員を入れ替えることとなった今夏のセルタ。開幕節でもオスカル・ロドリゲス、ゴンサロ・パシエンシア、ウナイ・ヌニェスという3人の新戦力がスタメンとして公式戦デビューすることとなったが、まだフィットには時間がかかりそうな雰囲気。特にヌニェスは1失点目に繋がる無理なパスを付けてしまうなど、不安定な部分が垣間見られ、途中出場ながらPKを献上してしまったミンゲサと合わせ、不安が残るところ。今節の対戦相手は王者 レアル・マドリー。一瞬の予断も許さない中で、彼らがどのような守備を見せるのかにも注目したい。注目選手はゴンサロ・パシエンシア

 今夏 フランクフルトから加入したポルトガル人ストライカーは開幕戦からスタメン出場。しかし、中々苦しい状態が続いており、ロストも多く競り負けるシーンも頻繁にみられるなど不安残るプレーぶりであった。そんな状況で迎えた、63分 ハビ・ガランのあげたふんわりとしたクロスに打点の高いヘディングで合わせ、DFのカブレラを上回ってゴール。結果という最高の結果で自身の価値を証明することとなった。このゴールにより、彼への評価は一気に高まることとなったが、それ以外のプレーぶりに難があったのは事実。このままではゴールを決め続けない限り、批判にさらされることになるのは確実だろう。ミリトン、クルトワをはじめとした欧州最強DF陣を相手にする今節、パシエンシアのプレーぶりに注目したい。


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 一方、2戦連続のアウェイに乗り込む1戦となるマドリーの開幕節はアルメリア相手に2-1で勝利。スーパーカップ疲労からターンオーバーを採用した影響もあって序盤はアルメリアに圧倒される展開に。特にナチョと新戦力のリュディガーのコンビは不安定さを露呈し、ラマザニ、サディクというアルメリアの抱える強烈2トップにかなり楠島させられていた。更にカマヴィンガ、チュアメニという中盤若手衆の2人にも課題が残る結果に。それぞれモドリッチ、カゼミロに代わってスタメンに入った彼らだが、偉大なる先輩にしてライバルである彼らのようなパフォーマンスは見せられず、カマヴィンガは右インテリオールへの不慣れさ、チュアメニはマドリーという特殊すぎるチームのやり方に対する不慣れさが見て取れた。カゼミロの退団報道が現実味を帯びているだけに、のちのピボーテ候補2人がどのようなプレーを見せるのかにも注目だ。注目選手はロドリゴ

 前節負傷によって開幕に出遅れた彼だが、既に練習には復帰しており万全に近い状態でセルタ戦に臨むことが出来そう。昨季CLで同様の形を行って優勝までたどり着いたこともあってか、今季はPSMからフェデ・バルベルデを右エストレーモとして起用する形がより多くなっている。そんな中で交代の1番手カードとされているのがロドリゴの現状の立場だろう。この立場から更にのし上がり絶対的なスタメンを勝ち取るためには昨季以上の結果が求められる。昨季覚醒知って一気に絶対的な主力の1人にまで成長した同僚ヴィニシウスの後を追うことが出来るのか。結果的に獲得を逃すことになったムバッペの分の活躍がロドリゴにできるのか。勝負のシーズンとなる。


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6、アトレティック・クルブ vs バレンシア

 この夏に新監督を招聘したチーム同士の対戦となるこの試合。ホーム アトレティックの開幕節はサン・マメスの地でマジョルカ相手にスコアレスドローバルベルデ新監督はマルセリーノ体制の442ではなく、ムニアインとサンセをインテリオールとして並べ、イニャキを外に持っていきビジャリブレを9番として起用した4123の形を採用。相手がマジョルカであったということも影響はしているが、昨季までの強度の高いハイプレスを主軸とした戦い方というよりはボール保持を前提とし、サイドで3、4人が関わり合いながらポケットと呼ばれるペナルティエリアの角を取りに来るようなスタイルに見えた。しかし、現段階ではまだ課題も多く、特にムニアインとサンセのインテリオールはそれぞれの特性が最大限出ているとはいえず、また守備面での強度不足も気にかかる。マジョルカ戦で顕著となった得点力不足も合わせて、バルベルデがどのように修正をしてくるのか、気になるところだ。注目選手はアシエル・ビジャリブレ

 バスク出身 アドゥリスに続く期待のデランテーロはバルベルデ監督からの期待も厚いようで開幕スタメンを勝ち取った。顔に似合わず器用な選手である彼は、降りてきて基準点となるとともに、豊富なフィニッシュのパターンを見せ、サイドからのクロスに合わせることでマジョルカゴールを脅かす場面が垣間見られた。しかし、結果は個人としても、チームとしてもノーゴール。悔しさの残る試合になったと言えるだろう。このバレンシア戦 開幕からのホーム2連戦で勝利なしとなるとバルベルデ政権の前途は若干厳しいものに成りかねない。期待を寄せてくれる新指揮官のためにも彼のゴールでチームを勝利に導く姿に期待したい。


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 一方 アウェイのバレンシアは開幕節のジローナ戦、途中でチュメルトが退場する厳しい展開ながらもなんとか乗り切りガットゥーゾ監督の初戦を勝利で飾ることに成功した。オフシーズン、もはや毎年恒例となっているフロントのゴタゴタにより、昨季を指揮したボルダラス監督が退任。代わりに招聘されたんがラ・リーガでの経験がなかったガットゥーゾ監督であったこともあり、不安の声が叫ばれたが、それを払拭する完成度の高さ、そしてメスタージャの観衆も含めたチーム全体の雰囲気の良さを開幕戦では見て取れた。昇格組のジローナを乗り越え、強敵との初勝負となるこのアトレティック戦。ガヤが引き続きリーガの謎判定により4試合出場停止中の最中であり、前節一発退場のチュメルトも出場停止。ガブリエウも怪我の影響で出場は不透明と特にバックラインに不安を抱える中でサン・マメスでどこまでやれるかというのは、今後ヨーロッパ圏内を本気で狙えるチームなのかを占う意味でも重要な1戦となる。注目選手はサムエル・リノ

 今季、ブラジルからアトレティコへと移籍してきた彼は現在、単年ローンという形でバレンシアでプレーしている。左WGを主戦場とする彼はジローナ戦でも左からの積極的な仕掛けでゴールに迫るプレーを多く見せていた。その期待感は今夏にウルブスに去ったエース ゴンサロ・ゲデスの穴を埋めてくれるのではないかというくらいのもので、今季リノがどこまで結果を出せるかでバレンシアの成績も大きく変わってくるはずだ。移籍期間終了前までにもう一枚アタッカーを追加すると言われているだけにリノとしてもここでアピールをしておきたいはず。彼のプレーにはバレンシアニスタのみならずコルチョネロスの皆さんも注目してほしい。


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7、アトレティコ・マドリー vs ビジャレアル

 今節1番のビッグマッチといっても過言では無いであろう、最高の開幕節でスタートを切ったチーム同士の対戦。

 ホーム アトレティコの開幕節はマドリードダービーとなったヘタフェとの1戦。敵地アルフォンソ・ペレスに乗り込んだロヒブランコはモラタの2Gに加えグリーズマンにもゴールが生まれる理想的な形で勝利。今季の絶対的エース ジョアン・フェリックスは3アシストと全てのゴールを演出しており、チェルシーのローンから帰還したサウールは左WBのポジションで1点目に絡むなど好パフォーマンス。新戦力もモリーナは課題が残る1戦となったが、ヴィツェルに関してはPSMからの安定したパフォーマンスを続けており3センターの中央としてビルドアップのキーマンとなっている。そんな中、今季初本拠地メトロポリターノでの迎える1戦。スポンサー元が代わったことでワンダ・メトロポリターノからシビタス・メトロポリターノに改称しての初試合 勝利で飾りたいところだ。気になるのはこの試合の引き分け率の高さ。昨季もどちらの試合も2vs2となったこの試合は毎シーズンほぼ確実に2試合のうちのどちらかはドロー決着となっている。このデータを破り、ホームで強さを見せられるのか。注目選手はジョアン・フェリックス

 今季で4シーズン目を迎えるポルトガル人は開幕節から3アシストとチームの勝利に結果で繋がるプレーを披露。完全覚醒のシーズンの滑り出しとしては理想的な開幕節を迎えることとなった。思えば獲得初年度となった19-20での開幕戦もヘタフェとの対戦であり、圧巻のドリブル突破でPKを奪取したのを記憶している。7G4Aと昨季の結果も怪我があったことを考慮すれば十分の出来ということもできるが、今季のジョアンに期待されるのは更に上。リーガMVPに輝くレベルの活躍である。そのためにも昨季ベンゼマが挙げたゴール+アシスト計37。これに匹敵するくらいの活躍15G15Aを目指してほしいところだ。昨季CLベスト4に輝いた文句なしの強豪 ビジャレアル。この相手にどこまでジョアンが彼の才能を持ってゲームを支配できるか。覚醒を印象付ける圧巻のプレーに期待したい。


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 一方でアウェイ ビジャレアルの開幕節は敵地 ホセ・ソリージャで3vs0の快勝。カンテラーノのジャクソンが1G、バエナが2G、ピノもアシストを記録とビジャレアルらしい理想的なスコアリングで勝利した。しかし、実際の内容面では3点差という程、圧倒出来ていたわけではなく、バジャドリーの決定力がもう少しあるorルジの何本かの決定機阻止がなければ、勝敗もどうなっていたかは分からない試合であった。CLもELもない今季こそはヨーロッパカップ戦を言い訳として、リーグを落とすわけにはいかない。今週にはエストゥピニャン、パコ・アルカセルの放出が決まり、8/31までに更なる補強が実施されることは確実。戦力的にも4位以内はノルマであり、アトレティコを喰う可能性も十分にあると言える。今季ビジャレアルがどこまでやれるのか。それを図る上でもこの敵地に乗り込んでの1戦は試金石となるだろう。注目選手はニコラス・ジャクソン

 昨季、ビジャレアルBで圧倒的なプレーを披露し、チームのセグンダ昇格に大きく貢献したジャクソン。開幕節ではモラーレスらを押しのけて開幕スタメンの座を勝ち取っており、エメリが懸ける期待の大きさがわかる。しかし、開幕節では得点こそ挙げたものの、まだ周辺との連携などで物足りない点が目立ち、特に絶対的エース ジェラール・モレノとの関係性には課題を残した。ディア、パコの放出次第、カバーニなのか、サディクなのかストライカーの獲得が濃厚視されており、今のうちにその期待に応えるだけの活躍を見せたいジャクソン。アトレティコレベルの相手に現時点でどこまでできるのか。自身の才能を証明する1戦にしたいところだ。


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8、レアル・ソシエダ vs バルセロナ

 アトレティコ×ビジャレアルに匹敵する注目カードがアノエタで行われるラ・レアルvsバルセロナの一戦。ホーム ラ・レアルの開幕節は我らが久保建英のゴールでカディスに勝利。後半こそ危ない形を多く作られていたものの、4度ほどの決定機を相手守護神レデスマに抑えられていたことを加味すれば快勝といっても差支えはないだろう。昨季後半戦に続き、4♢2を選択したイマノル監督。しかし、その運用方法は昨季のそれとは大きく異なっていたように思える。昨季の4♢2に関しては、下記記事で私見を述べていますので是非ご覧ください。

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その違いは2トップの人選にも表れており、セルロートというフィジカルの強いストライカータイプを置いていた昨季と異なり、開幕スタメンに2トップとして起用されたのは久保であった。そして2トップの一角に入った久保は即時奪回で押し込むチームの中でシルバ、メリーノ、ブライスらと上手く関わりながら、彼らの空けたライン間のポジションでボールを受け、そこからチャンスメイクを行っていた。もちろん相手が格下で退いてくる傾向の強いカディスであったこともこれには影響していることは間違いないが、昨季の2トップの身体能力を活かした4♢2よりかは、より保持と足元での崩しに重点を置いた4♢2に切り替わっているとみることはできる。とはいえバルサ相手にはある程度ボールを握られることが予想される。そんな中でどのような策をイマノルが授けるのかは注目ポイント。開幕節では昨季から続く課題である、ラテラルが持った際のプレッシングの形の不明確さが整理されておらず、ブライス、メリーノの頑張り次第となっていたので、ここをどのように修正してくるのか。4123を起用してくる可能性もあるかもしれない。注目選手は久保建英にするほかないだろう笑

 先述の通り、前節2トップで出場した久保はライン間でボールを受け手のチャンスメイクでチームの崩しの中心として振舞うと、何より大きい値千金の先制点にして決勝点をGet。あのトランジションからのオフ・ザ・ボールはこれまでの久保には見られなかった形であり、イマノルの指導の下、彼自身も積極的にラレアルでの役割を果たすためにバリエーションをより広げていることが読み取れる。実際、私は久保を贔屓目なしで見ているつもりだが、カディス戦での久保はシルバやブライス以上に崩しのフェーズでの貢献度は高く、カディスにとって最も脅威な選手になっていたように見えた。そして迎える古巣バルセロナとの1戦。マジョルカほどではないとはいえある程度押し込まれることが想定される試合の中で久保がどのようなプレーを見せてくれるのか注目したい。また久保、そして久保ファンの方々にも満員になると聞いているレアレ・アリーナ(旧アノエタ)の雰囲気の良さもぜひ味わってほしい。


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 一方、アウェイ バルセロナの初戦はカンプ・ノウでのvsラージョ。レヴァンドフスキラフィーニャ、クリステンセンという3人の新戦力を起用したバルサだったが、序盤から昨季同様ラージョのハイプレスに苦しむ展開に。2枚で2CBを監視し、ブスケツにはピボーテが出てくる、そしてライン間を取ろうとしたインテリオールにはCBがプッシュアップして潰すといった形のラージョの形はバルサにとって非常に厄介な戦い方であった。しかし、それに対して頂点のレヴァンドフスキが上手く逃げ道を作りに降りてきて、左右のエストレーモに仕掛けさせる形ができるようになってからは、チャンスを作れるように。ディミトリエフスキの好守にはばまれたものの、十分得点のチャンスはあったと言えるだろう。今節の相手であるラ・レアルは即時奪回をメソッドとして持っているものの、組織的なハイプレスを仕掛けてくるチームではないためラージョに比べれば与しやすい相手であることは間違いない。2010年代初期の鬼門アノエタも過去の話となっており、ホームアウェイ合わせて直近15試合で13勝2分と相性の良さを示している。間違いなく勝ち点3を持ち帰らなければならない1戦だ。注目選手はロナルド・アラウホ

 前節右ラテラルに置かれたアラウホ。個人的にはチャビがラージョの左WG アルバロ・ガルシアを警戒したが故の配置だとは思ったが、実際問題、特にビルドアップで彼の所で機能不全を起こすことが多かったのは事実。とはいえセルジ・ロベルトはあくまで出し手ではなく受け手の選手であり、デストは身体能力を活かしたアップダウンを武器にする選手と、チャビの求めるラテラル像に合っていないのもまたその通りであり、アスピリクエタを獲得できなかったことが響いている。この試合ではコンディション不良によりアルバが欠場し、左のラテラルにはバルデが使われることが濃厚視されている。ら・れがもし4♢2で来るのであれば、比較的プレッシングの弱いラテラルのポジションから如何にゲームが作れるのかは重要な部分。チャビがアラウホをどこで使う事を選択するのか、そしてラテラルに誰を配置し、どのようなタスクを与えるのか。1つの勝負の分かれ目となるだろう。


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9、エルチェ vs アルメリア

 ホーム エルチェの開幕節は敵地 ベニート・ビジャマリンに乗り込むものの、ベティス相手に3-0で完敗。16分の時点でジョンがDOGSOにより退場。10人になると、エンソ・ロコのミスをフェキルに突かれ、失点。その後も勢いを増すベティスの攻撃を10人で抑えることはできず、一方的な展開で敗戦となった。大きく出鼻をくじかれる形となったエルチェだが、その後の一週間も積極的に補強を行っており、アレックス・コジャドとドミンゴス・キナの2人を獲得。いずれもグラナダでのローン期間で素晴らしいパフォーマンスを見せた攻撃的MFである彼らの獲得はフィデルに任せきりであった、チャンスメイクを補完してくれる存在であり、活躍が期待される。その一方で、前節も顕著となったCBの質不足という点には未だテコ入れができていない。ベルドゥ、ビガスが加齢により衰え始め、ロコは前節のようにポカが多い。ジョンはまだ若く、ある程度、信頼できるCBはディエゴ・ゴンザレスのみと、ここは今季のエルチェにとってアキレス健となるだろう。ということで注目はディエゴ・ゴンザレス

 今季のエルチェ守備陣において核となることが期待されるディエゴ・ゴンザレス。アンダルシア出身であり、カディスグラナダ、マラガ、セビージャとアンダルシアのクラブの下部組織を渡り歩いた彼にとって同州のクラブであるアルメリアとの対戦には思うところがあることが予想される。そのアルメリアは前節マドリーとの対戦で見せたように強烈なアタッカー陣を抱えており、放出濃厚のサディクがこの試合に出場するかは不透明だが、それでもラマザニを中心とした攻撃には苦しまされることが容易に想像できる。その中でディエゴ・ゴンザレスがどこまでエルチェのバックラインを統率し、アルメリア攻撃陣をシャットアウトできるか。昇格組にホームで土を付けられ、連敗スタートだけは避けたいところだ。


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 一方のアウェイ アルメリアの開幕節は王者マドリーをホームに迎えての1戦。相手がターンオーバーを行ってきたこともあってアルメリアは健闘。サディク、ラマザニの強烈2トップをエグアラスやロベルトーネといった中盤の選手たちが上手く活かし、守備でも5バックによりそのまま5レーンを埋めた戦い方によってヴィニシウスやベンゼマといった役者に仕事をさせなかった。最終的には逆転を許してしまったものの、プリメーラでも十分戦えることを証明した1戦となった。それだけに今節のエルチェ戦では勝ち点、できれば勝利という結果が欲しいところ。残留争いのライバルとなる可能性も高いエルチェ相手に敵地で勝ち点を取ることが出来れば、それはプリメーラを生き抜くうえでの大きな自信に繋がる。マドリー戦での奮闘を無駄にしないためにも、結果を残したい。注目はサム・コスタ

 ブラガからちょうど2年前にアルメリアに加わったポルトガルピボーテは21歳でのプリメーラデビューシーズンとなる。昨年セグンダで大きなインパクトを残した彼は2019年U19欧州選手権で決勝でスペインと戦ったポルトガル代表のメンバーでもある。このメンバーにはスペインからはエリック・ガルシア、ギジャモン、フェラン、ブライアン・ヒルなどの層々たる顔ぶれが選出されていた。そんな彼がプリメーラの舞台に挑戦する今季、大きな期待が寄せられている。開幕節のマドリー戦ではコンビを組んだエラグアスが見事な働きを見せる一方で、そこまでのインパクトを残すことはできず。それでもサム・コスタはこのチームの中心であり、彼がプリメーラの舞台でどれだけやれるかがアルメリアの成績にも大きく関わってくるだろう。まずはエルチェ戦。曲者ぞろいのエルチェ中盤陣相手にどのようなプレーを見せるか。注目だ。


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10、ジローナ vs ヘタフェ

 昇格組ジローナのホーム開幕試合となる今節。カタルーニャvsマドリードの構造になるこの試合はある意味裏の裏のクラシコなんて言い方もできるだろうか。ジローナの開幕節はバレンシア相手に0-1で敗戦。相手が後半途中から10人になったにもかかわらず、試合を通じて5本のシュート(内 枠内はわずか1)とプリメーラの厳しさを味わうことになってしまった。とはいえシティグループの恩恵も含めて新たに獲得したカステジャノス、ヤン・コウト、ヤンヘル・エレーラやロドリゴリケルメ、ミゲル・グティエレスといった選手たちもそれぞれの良さを少しづつではあるが出しており、希望が見えないといった類の試合ではなかったこともまた事実。その希望を1つの形とするためにもホームで迎えるこの1戦。勝利で飾りたいところだ。注目はアルナウ・マルティネス

 前節はヤン・コウトが出場した右WBのポジション。このポジションで昨季圧倒的なパフォーマンスを見せたのがアルナウ・マルティネスだ。ラ・マシア出身の彼は未だ19歳とまだまだ若手の立場ながら、昨季のセグンダの話題を席巻。16歳ごろからトップチームでの出場機会を得ており、かなり注目されていた存在であったため、ブレイクという言葉は適切ではないかもしれないが、人材難に苦しんでいるアスピ、カルバハル後のラ・ロハの右ラテラル候補として大きな期待が今季 寄せられている。ポジションを争うヤン・コウトも素晴らしい選手であり、特に攻撃面においてはヤン・コウトのダニ・アウヴェスを彷彿とさせるようなブラジル人らしい、柔軟性をもったプレーは魅力的だが、バレンシア戦でも露呈していたように対人の守備対応には難があり、その点に関してはCBもできるアルナウの方が何枚も上手と言える。昇格組であるジローナにとってこの2人を同ポジションに抱えておくのはあまりにも勿体なくアルナウはCBとして使われる可能性も考えられるが、そこはミチェルがどのように考えるか。アルナウ・マルティネスのポジションも含め注目したい。


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 一方のアウェイ ヘタフェは積極補強を行って臨む今シーズン。しかし、開幕戦となったアトレティコ戦では同州のライバルでもあるアトレティコに3点を奪われての完敗と幸先の悪いスタートに終わってしまった。しかし、ヘタフェとしてもビルドアップの中心人物として見込んでいたルイス・ミジャの出遅れ、左CBの確保に時間がかかっているなどの誤算が相次いだ結果でもあり、この夏の成果を判断するにはまだ早い。実際左CBに関してはアルデレーテになるのかクエンカになるのかは未だ不透明ながらどちらかの補強はほぼほぼ確定と言える状態になっており、完全帯電スタートは左CBの確保後と言えるだろう。とはいえ、開幕節の大敗でダメージがないわけではなく、開幕からの連敗様々な意味で雰囲気が悪くなってしまうのは必定。相手が昇格組ということもあり、確実に勝ち点確保、そしてできる限り勝利を狙っていきたい試合となる。注目は右WBに入るであろうファ・イグレシアス

 ダミアン・スアレスが出遅れる中、開幕節に先発したのはイグレシアス。20-21シーズンより怪我やサスペンションによる欠場の多いダミアン・スアレスに代わる人材として起用され、毎年10試合前後の出場機会を得ている。そんな彼は開幕節アトレティコ相手に奮闘。右の大外からマッチアップのサウールを外し、精度の高いクロスを中に合わせチャンスを演出していた。ウナル、マジョラルともに2本ずつイグレシアスからの絶好のボールが入っており、1本でも決めていれば3-0と言う一方的なスコアにはならなかったと言える。この試合でも彼のクロスはヘタフェにとって大きな武器になるはず。開幕節で守備対応になんの見えたジローナの左サイドを彼が攻略することが出来れば、ヘタフェの勝利は一気に近づくだろう。


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【久保建英加入】他サポから見たレアル・ソシエダ④ ~チームメイト紹介~ 背番号21~25+カンテラーノ

1、初めに

 皆さんこんにちは。

 ラ・レアル紹介記事の第4回目にして最終回となる今回の記事では前回、前々回に引き続きラ・レアルの選手たちを紹介していきたいと思います。今日は背番号21~25までのトップチーム登録の選手全員と下部組織所属の選手からトップチームの試合にも関わってきそうな選手を数名紹介したいと思います。1~20番の選手たち、またラ・レアルというチーム、昨季の状況については下記記事を参照ください。

 

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2、選手紹介

#21 ダビド・シルバ(OH)

170㎝ 36歳(1986/1/8)スペイン カナリア諸島出身

 皆さんご存じダビド・シルバのつける背番号は彼にとってはお馴染みの21番。彼がこの番号を背負い続ける理由はカナリア諸島のチーム ラス・パルマスのアイドル ファン・カルロス・バレロンへの憧れからだと過去に語っている。そんなシルバは36歳となった今でも、そのポジショニングの良さとそこからの才能あふれるチャンスメイクを武器にウーデゴールが去った後のラ・レアルの右IHで確固たる地位を築いた。もちろん年齢からシーズンをフルで戦い抜くことは厳しく、負傷による離脱は年々増加しているが、それでもピッチに立った時の存在感は圧倒的。代表やリーグでは数々のトロフィーを獲得した彼が唯一持っていないヨーロッパカップ戦でのタイトル。今季はそれを目指しての1シーズンとなる。久保、ブライスという頼れる自身の後継者にしてスペアになることのできる存在が現れた今季。十分な休養を取ったシルバがもう一度世界を驚かせる輝きを見せるかもしれない。

#22 現状空番号
#23 ブライス・メンデス(OH、RW)

184㎝ 25歳(1997/1/7) スペイン ガリシア州出身

今夏新加入のブライスはセルタ時代から継続して23番を着用。オプションである出来高次第ではイジャラを超えてラ・レアル史上最高額での加入となるブライス。下部組織から6年に渡りセルタに貢献してきた彼は、リーガでの実績は申し分なく、スペイン代表へ選出経験もある十分に計算が利く選手。人を問わずプレーを合わせ、引き出すことのできるプレーヤーであり、単独で何かをすると言うよりは連携の中で活きる選手。おまけにセルタを率いるコウデ監督の下で守備も散々に叩きこまれており、シルバ、久保との3人の中では現状、守備面で最も計算が経つ選手と言えるだろう。プレーシーズンマッチでも加入後4戦目となるボーンマス戦では4♢2のトップ下のポジションに入ると持ち前の左足からのチャンスメイクで大きなインパクトを残した。久保にとってはビジャレアル時代のジェラール・モレノほどとは言わないものの大きな壁となるレベルの選手である。現状、リーガ内のプレーだけ見ると、誤解を恐れずに言えば、完全上位互換といっても過言では無いブライス。その中で久保が彼と比較して持っているポイントと言えば、馬力を活かしたドリブルでの推進力であろうか。これまで幸か不幸か自力である程度の距離を運ぶことを要求されるチームにいた久保はこの点においてはリーガ内でも屈指の能力を持っている。この点を活かしながらのアピールが当面は現実的なところだろう。とはいえ、競争相手としてそしてお手本としてブライスは最高の選手。彼の良いところを吸収し、シルバ退団or引退後、ブライスと久保がこのチームの2大チャンスメイカーとして君臨しているのも見たいものだ。

#24 ロビン・ル ノルマン(CB)

187㎝ 25歳(1996/11/11) フランス

 24番は昨季のチームMVPといっても過言では無いほどの活躍を見せたCBのル ノルマン。フランスのブレストというチームから19歳でラ・レアルの下部組織に加入した彼は、前任者であったイニゴ・マルティネスがライバルのビルバオに引き抜かれて以降、台頭してきた。武器はラ・レアルにとっては珍しい守備対応の部分。これまで紹介してきたエルストンド、スベルディアパチェコといったCB陣がビルドアップでの貢献度を一番の魅力としていたのに対して、ル ノルマンはCB本来の仕事である相手をストップすることに長けたCBである。スピード対応、空中戦の強さ、対人守備どれをとってもラ・レアルの中では随一であり、ある意味ではリーガらしくないCBということもできる。更にその鉄人ぶりも賞賛に値するところで、昨季は出場停止となった1試合を除いてすべての試合にフル出場を果たした。その一方、課題はビルドアップ面であり、右利きながら左CBを本職としている彼だが、ロングフィードが蹴れるわけでもなく、左足が右と遜色なく使えるわけでもないため、どうしてもビルドアップにおいて停滞の要因となっているシーンが散見される。またなぜかカードをそこまでもらわないのだが、手癖が少々悪く、相手を掴んでしまうシーンが散見される。とはいえ、最強CBを揃えるフランスにおいても代表招集が噂されるほどのプレイヤーであり、イマノル監督からの信頼は絶対的。今季も昨季に劣らないパフォーマンスレベルを期待したいところだ。

#25 アンドニ・スビアウレ (GK)

189cm 25歳(1996/12/4) スペイン バスク州出身

 25番までがトップチーム登録の選手となるリーガの規定により、最後のトップチーム選手となるのが、第3GKのスビアウレ。この選手に関しては私も勉強不足なものでそこまで知らないのだが、これまた下部組織出身のGKである。とはいえ、年齢は既に25歳と決して若くはなく、今夏も出場機会を求めての退団が噂されたが、契約延長発表により、残留が決定。13番のライアンの去就次第ではレミーロに次ぐ第2GKになることも。昨季2部の舞台を戦ったBチーム(通称:サンセ)において正GKを務めた彼。元々サンセにはアジェサというスペイン年代別代表に選ばれるほどの実力者がおり、彼が正守護神を務めていたのだが、彼が怪我している間に安定したパフォーマンスを見せスタメンの座を勝ち取った。満を辞してのプリメーラで1シーズンを送ることになる今季。どれほどの出番が彼に与えられるかは微妙なところだが、どこかの舞台で活躍を見たいところだ。

 

以上がトップチームの選手たちになります。ラ・リーガ独自の規定としてトップチーム所属の選手には25番以上の番号を与えてはいけないという決まりがあるため、この選手はトップチーム登録なのか、それ以外のBチームなどの登録なのかが一目で分かるようになっています。

 ここからはトップチーム登録ではないもののプレーシーズンマッチにも出場しており、久保とも既に共演している選手の中から数名の選手を紹介したいと思います。ラ・レアルの下部組織はリーガの中でも指折りの優秀さを誇っており、今後トップの試合に出てくることもあるかと思いますので、ぜひ覚えていただいて、出てきたときにおっ○○じゃん!となっていただけたら幸いです。

#27 ベニャト・トゥリエンテス(DM、CM)

179㎝ 20歳 (2002/1/31) スペイン バスク州出身

 カンテラーノ(下部組織選手)1人目はベニャト・トゥリエンテス。スペインの年代別代表にも選出されている彼は、イジャラ、スベルディアゲバラ、スビメンディというラ・レアルお得意ピボーテ育成の最新版。先述の通り、このポジションはラ・レアル一番の激戦区であることから、一列前のインサイドハーフの位置でプレーすることもある選手だがピボーテの方が良さがより引き立つように思える。彼もまた、サッカーIQの高さに基づく、判断の良い安定した供給が持ち味の選手。そして、スビメンディ、ゲバラとの棲み分けという点においてはトゥリエンテスの持ち味と言えるのはターンを活かしたドリブルでの外しであろうか。プレッシャーに向かってきた相手をその勢いを逆に利用してターンで外し、前進するといったプレーを頻繁に行う印象がある。Bチーム登録ながらトップチームへの帯同が基本となるであろう、今シーズン。限られた出番の中でプリメーラの強度になれ、出番を得ることが出来るのか。注目したい。

#29 ロベルト・ナバーロ(LW、OH)

178㎝ 20歳(2002/4/12) スペイン カタルーニャ州出身

 29番をつけるナバーロはラ・レアルのカンテラーノとしては非常に異例なバルサの下部組織 ラ・マシア出身の選手だ。久保ともラ・マシア時代に共に戦った身であり、久しぶりの再会となっている。ラ・マシアとスビエタ(ラ・レアルの下部組織の通称)というスペイン国内でも最高峰の育成機関のハイブリットである彼は、幼いころから将来を嘱望された逸材。ペドリや直前で離脱することになったもののビジャレアルピノが選出されていた2019年のU17W杯の代表メンバーであり、モナコ在籍時にはクラブ史上最年少での16歳でトップチームデビューを飾るなど数々の実績を残してきた。昨季前半にはトップチームに帯同し、離脱しがちなシルバの代役として一定の評価。冬に現PSGのラフィーニャを獲得したことで、サンセに出戻りとなったものの、イマノル監督からも高い評価を得ていることがわかる。しかし、今季久保、ブライスを獲得したことにより、ポジション争いはさらに激化。今年で20歳の大台に乗ったナバーロとしても勝負の1シーズンとなる。武器である積極性を活かし、自らの位置を確立したいところだ。

#33 ジョン・カリカブル

183cm 19歳 (2002/9/19) スペイン ナバーラ州

弱冠19歳にして将来を嘱望されるストライカーがこのカリカブルだ。スペインの年代別代表にも選ばれている彼は、昨季2部の舞台で2桁ゴールを達成。今夏のプレーシーズンマッチでもボルシアMG戦でのオーバーヘッドをはじめとして、インパクトあるプレーを見せている。彼はイサクやカルロス・フェルナンデスとは異なり、所謂純粋な9番タイプのプレーヤー。両足をうまく使いこなす彼はストライカーらしいクロスへの飛び込みやエリア内での強引なこじ開けはもちろんのとことエリア外からも質の高いシュートを打つことができ、非常にシュートバリエーションの多いストライカーということが出来るだろう。今季はトップチームとサンセの舞台を行き来しながらシーズンを戦っていくことになるであろうカリカブル。カルロス・フェルナンデスの怪我からの復帰、アリチョーの獲得などアタッカーの枚数は増えたものの、昨季23番を背負っていたセルロートがライプツィヒにレンタルバックしたことで、純粋な9番は彼1人といっても過言では無い。間違いなくトップチームでの出場機会も増えるであろう今シーズン。カリカブルがもう一段ステージを上がることに期待したい。