1、はじめに
皆さんこんにちは。よろしくお願いします。
ミッドウィークはいかがお過ごしでしたか? リーガ勢は明暗分かれる結果とはなりましたね。ただマイチームはそもそも欧州カップ戦が既にない状態だったので、あるだけでも羨ましいですが笑 そしてもう一つ嬉しいニュースとして、コパ・デル・レイ準決勝、決勝の配信がWOWOWさんで決定しました! 全世界注目のエル・クラシコ、そしてバスクのプライドをかけたオサスナvsアトレティック。いずれも必見です!
さて、では今節もいつも通り、22節のレビュー、23節のプレビューをやっていきます。目次から見たい試合だけでも見て行ってください!
2、ラ・リーガ22節レビュー
22節は3位ラ・レアルを除いた上位勢が順当に勝利を積み重ねる結果に。首位バルサはカディス相手に2vs0で勝利。それを追う2位マドリーは苦しみながらもオサスナにこれまた2vs0で勝利。3位ラ・レアルはセルタに試合終了間際の失点でドロー。4位アトレティコはアトレティックとの熱戦をグリーズマンのゴールで勝利。5位ベティスはバジャドリーを前半のリードを活かし勝ち切りました。
一方で残留争いの直接対決も目白押しだった22節。エルチェvsエスパニョールの逆天王山となっていた試合はエスパニョールが敵地で勝利。これでエルチェはかなり厳しい状況に追い込まれることとなりました。また、ヘタフェvsバレンシアの1戦は終盤にヘタフェがセットプレーから得点を奪い勝利。これでバレンシアは19位転落。降格が現実味を帯びてくることに。22節の結果、順位表は画像の通り。
今節のPick up Playerはセルヒオ・カナレス。
ベティスの10番はバジャドリー戦で素晴らしいパフォーマンスを見せ、チームの勝利に貢献。右サイドに入ったカナレスはいつも通り、ボールを引き出してビルドアップを助けつつ、前線での崩しにも貢献。特に先制点のシーンでは最強ホットラインともいえるカナレスーファンミが開通。得意のダイアゴナルランで抜け出したファンミにカナレスからノールックスルーパスが飛び、得点を挙げた。その後PKで1点を沈めると負傷の影響で45分で交代。23節の出場は難しいようだが、今後CL出場を争っていく上で、カナレスーフェキルーファンミの2列目は改めて大きな武器になっていくだろう。22節のベストイレブンは以下の通り。
3、ラ・リーガ23節プレビュー
1、エルチェ vs レアル・ベティス
ホーム エルチェの前節はエスパニョール相手に本拠地で敗戦。裏天王山となったこの試合、ホームということもあって残留のためには必ず勝ち点3が必要な1戦だったが、アディショナルタイムにゴールを許してしまった。これで残留圏内との差はまたもや開き、残留に向けかなり赤信号に近い黄信号が灯っている。なんとかして、この状況を変えたいところだが、内容的にはまずまずの試合ができていることも多く、だからこそ解決策が中々見つからない。苦しい状況ではあるが、ホームアドバンテージを活かし、何とかこの雰囲気を変える勝利が欲しいところだ。注目選手はルーカス・ボジェ。
エルチェのエースであり、ここまでの2シーズン連続で7得点を挙げてきたボジェ。屈強なフィジカルを活かしたボールキープとそこからの推進力、そしてゴール前での強さが特徴の選手だが、今季は未だわずか1Gに留まっており、武器としてあげた部分も、ボールキープ以外は影を潜めている。もちろんチームが上手く行っていないことも、その要因の大きな一つではあるが、如何せん彼個人に物足りなさがあるのも事実。この苦しい状況下でエースが復調を見せ、チームを勝利に導けるのか。期待したい。
一方、アウェイ ベティスの前節はバジャドリー相手にビジャマリンで2vs1での勝利。連敗の後の連勝となり、CL圏内の4位フィニッシュに向けて、順調に勝ち点を重ねている。とはいえ不安要素がないわけではなく、実際この試合でも特に後半は、ウィリアン・カルバーリョの所を取りどころとして狙われてのショートカウンターという形が多発。DFラインの耐久力に特別優れているわけではないことも相まって、危ない時間帯は長く続いた。そんな守備面での不安の反面、攻撃面ではポジティブ尽くし。黄金の2列目トリオでは各々が補完性高く立ち振る舞い、また出場停止のボルハ・イグレシアスに代わって9番の位置に入ったアジョセ・ペレスは、セカンドトップ的な彼のプレースタイルを上手く活かし、2列目とポジションを流動的にしながら、オン・ザ・ボール、オフ・ザ・ボール両面でチームを支えた。久しぶりの金曜開催となるこの試合、最下位 エルチェはしっかりと叩いておきたい中、注目はウィリアン・カルバーリョ。
先述の通り、前節のバジャドリー戦では明らかにプレッシングのねらい目とされており、そこでロストをしてしまい、ショートカウンターを喰らうシーンが多く見られた。本来の彼であれば、持ち前のフィジカルとスキルを活かした剥がしで、その状況を一変させるところだが、この試合ではコンディションの問題なのか、彼らしさは影をひそていた。今節のエルチェ戦は出場停止でギド・ロドリゲス、そしてカナレスが不在。カルバーリョに懸かる負担は大きくなる。その中で、このポルトガル人MFがどれだけ中盤を制圧することが出来るのか。注目していきたい。
2、エスパニョール vs マジョルカ
ホーム エスパニョールの前節は敵地にてエルチェに勝利。CBを3枚欠く、苦しい状況の中であったが、後半アディショナルタイムにダルデルが値千金の決勝点を挙げ、残留争いの直接ライバルを下した。3試合ぶりの勝利によってチームは降格圏との差を広げることに成功。絶対的エースのホセルを負傷で欠いている中でもブライスワイト、プアドの両アタッカーを中心にポジティブな戦いが出来ており、選手層の厚さが良い方向に転じ始めた。この試合では負傷離脱中のホセル、そしてモンテスの2人が復帰する可能性もあり、ここでマジョルカを叩き、残留の目標を更に近いものにしたいところだ。注目選手はフェルナンド・パチェコ。
今夏、アトレティコからルコント、ブレントフォードからアルバロと2人の実力者を獲得し、安泰と思われたエスパニョールのGK陣。しかしいざ蓋を開けてみると、2人ともに単純且つ重大なミスが多く、不安の残るセクションに。そして行われた冬のテコ入れ。ルコントを母国フランスに帰し、代わりにアルメリアで2ndGKの座に甘んじていたパチェコを獲得。前節エルチェ戦にてデビューを果たすと、すぐさま好セーブを連発。アラベスで長らく活躍した流石の安定感でチームのウノゼロでの勝利に貢献した。引き続き、大事な1戦となる今節。パチェコの好セーブに期待だ。
一方のアウェイ マジョルカの前節はビジャレアル相手に4vs2で勝利。この試合、これまでやってきた541の形から、5311の形に微修正してきたアギーレ。その狙いは、ビジャレアルの3バック化する端のCB、パウ、フォイスの2人からの供給をインテリオールに睨ませることで無効化することだった。その上で5バックで5レーンに広がって攻める攻撃陣をマンマーク気味に捕らえ、パレホはカデワレが監視。このような構造を作ったことによって、ビジャレアルは供給に苦しむようになり、無理をさせることでミスを引き起こし、得点を奪うことに成功した。まさにアギーレの作戦勝ちともいえるこの試合。ホームでの強さも含め、今季のマジョルカを象徴するような一戦だったのではないだろうか。これでホームでは5連勝中。絶対的な強さを誇っている。しかし、その一方で敵地では現在4連敗中。ソン・モッシュでの強さは何のその、下位相手の取りこぼしも非常に多い。何とかこの試合、この流れを切り、トップハーフフィニッシュという目標へ、さらに勢いを加速させたい。注目選手はダニ・ロドリゲス。
前節、ビジャレアル相手にヘディングからドブレーテを記録し、チームの勝利に貢献したダニ。今季序盤はアントニオ・サンチェスにポジションを譲ることも多かったものの、再びスタメンの座を取り戻し、マジョルカの絶対的中心として君臨している。34歳と年齢を考えても、キャリアの終盤にあることは間違いなく、クラブ規模を考えても、今季が最も上を目指せるシーズンになるかもしれない。夢のヨーロッパカップ戦圏内も今や、現実的に狙える位置におり、もう一段階チームとしてギアを入れたいところ。その先頭にダニ・ロドリゲスというクラックの活躍があれば、これ以上綺麗な形はないだろう。
3、カディス vs ラージョ・バジェカーノ
ホーム カディスの前節はバルセロナ相手に敵地で2vs0の敗戦。451の布陣で低重心を保ち、無失点に耐えつつのカウンターという狙いで挑んだ一戦だったが、前半終了間際の立て続けの2失点で万事休すことに。前節の勝利によって残留圏内へ順位を上げていたものの、ヘタフェの勝利もあって、再び降格圏へ転落。例年通り、苦しい残留争いを戦っている。今節の相手はラージョ、次節はラ・レアルと厳しい相手との連戦が続き、ここで残留圏内から差を付けられないように粘り強く戦いたいところ。ただ、現在カディスはホームで8戦無敗と本拠地での強さを見せており、ラージョ相手とはいえど、勝ち点奪取の可能性は十分。結果を出したいところだ。注目選手はイサ・カルセレン。
ラージョの言わずと知れた武器である左サイド。ここと今節マッチアップすることになるのが恐らくカルセレンだ。今夏、退団したアカポの代わりとして加入したサルドゥアが負傷による長期離脱を強いられていることでフル稼働しているこの右ラテラルは、そんな中でも今季安定したパフォーマンスを披露。目立つタイプのプレーヤーではないが、攻守両面での貢献度が高く、昨季中盤の位置も経験したことで、サポートに入ったときの質も上がっている。相手のペースに付き合わず、落ち着いた展開にしたいこの試合。サイドでどれだけ粘れるかが勝利のカギとなるだろう。
一方のアウェイ ラージョの前節はセビージャ相手にバジェカスで1vs1のドロー。3バックでスタートしたセビージャに対して、中々プレッシングの形がハマり切らず、ペースがつかめない展開に。その影響もあってか、最大の武器であるアルバロ、フランのサイド攻撃も精度を大きく欠く場面が多く、ホームながら苦しまされた。しかし、何とかセットプレーによるイシ⇒ルジューヌという今季の1つ形となっているパターンで同点。上手く行かない中でも勝ち点を拾う最低限の目標は果たした。そもそも、現在の順位がクラブ本来の目標から比較すると、あまりにも良い位置にいるだけにどこをターゲットに後半戦を戦っていくのかは悩みどころ。欧州カップ戦圏内を狙うのであれば、もう一度、良い波を作りそれに乗っかりたいところだが、イラオラがどのように判断してやりくりしていくか。今節の注目は、セルヒオ・カメージョ。
今季アトレティコよりローンで加入しているカメ―ジョ。プリメーラ初挑戦のシーズンとなっているが、着実に存在感を示しており、堂々たるプレーを見せている。その結果、冬に加入したRDTや昨季インパクトを残したファルカオを差し置いて、デランテーロとしてスタメンの座に君臨。スコア自体は5ゴールとまずまずではあるものの、降りてきてボールを引き出すプレーなど、ゴール以外の貢献度が高く、イシ、トレホ、アルバロといった2列目の良さを上手く引き出し、チームの好調を支えている。来季のアトレティコ復帰へ、ここからよりアピールを強めていきたいところ。わかりやすい結果に期待だ。
4、レアル・マドリー vs アトレティコ
ホーム マドリーの前節はオサスナ相手に苦戦。白熱したエル・サダールの中で、相手のハードプレスにも苦しんだが、85分過ぎの連続ゴールで終わってみれば2発快勝。いつも通りのマドリーたる所以を見せつけた。そしてミッドウィークのvsリヴァプール。アンフィールドで行われたこの1戦は、序盤よりリヴァプールらしい強度の高いプレッシングに飲まれ、早々に2失点。守護神クルトワの珍しいミスもあり、苦しい展開になるかと思われた。しかし、CLのマドリーはやはり絶対的王者。ヴィニシウスが何の脈絡もないところから1点を返すと、アリソンのミスを誘い、前半の内に追いついた。そこからはアンチェロッティの修正がお見事。フェデとモドリッチの立ち位置を逆にし、ガクポへのマークの整理を明確にしたことで、チームは躍動。後半開始早々にミリトンがセットプレーから3点目をあげたこともあり、後半の45分間はマドリーの独壇場とも言うべき試合だった。過密日程の中で結果を出し続けているマドリー。重要な試合は続き、今節はデルビ。勝ち点8差で追うバルサを追いかけ続けるためにも、勝利が絶対条件だ。ただミッドウィークにはコパでのクラシコもあり、どのようにやりくりしていくか問われる1戦。チーム全員での力でこの2、3月を乗り越えたい。注目はマルコ・アセンシオ。
主力陣が総じて過密日程の中で疲労を積み重ねているマドリー。実際、アンフィールドではアラバがハムストリングを痛め、離脱となってしまった。熱くなることが予想されるデルビ。何かと因縁のある(ここでは人種差別の件は含まないものとする。人種差別に関する垂れ幕をマドリーの練習場に掲げた愚者たちは追放処分となった)ヴィニシウスとアトレティコ。ベルナベウなことが救いではあるが、この日もブラジル人アタッカーは厳しいマークに晒されるだろう。ベンゼマも年齢的に週2日を高いレベルで行うことは厳しく、ロドリゴもリヴァプール戦で足を痛めていた。ということで期待したいのがアセンシオ。リヴァプール戦では短い時間ということもあって見せ場はなし。今季終了後には契約終了ということもあり、マドリーに残るためにはこの終盤戦、更なる活躍が求められる。今季は好調を維持しており、左足以外にも質の高いフリーランなどでチームには貢献しているだけに、もう一つ強いインパクトが欲しいところだ。このデルビで勝負を分ける1発を沈められるか。注目したい。
一方のアウェイ アトレティコの前節はアトレティック相手にメトロポリターノで勝利。試合前のセレモニーから良い雰囲気で行われた一戦。強度の高い中盤での掛け合いをきっかけに、両チーム集中力の高い痺れる展開となったが、後半、エース グリーズマンがゴールを沈め勝利。試合のクローズも今日は上手く行き、非常に良い形で試合を終えることが出来た。これで3位 ラ・レアルとの勝ち点差は2まで縮めることに成功。セルタ戦に続く勝利によって良い勢いで大一番 ベルナベウでのデルビに臨むこととなる。W杯中断明け以降、1つ1つトライ&エラーを重ねながら、徐々にチームとしての確たる構造が出来てきたアトレティコ。今節のデルビはあくまで挑戦者であり、この積み重ねがどこまでマドリーに通用するのか、どの点に更なる問題があるのか。そういった点を見極めるいい機会にもなる。来季に向けて、少しずつながら確かに前に歩みを進めている中で、この試合は結果を求めることはもちろんだが、内容でも試金石となる1戦だ。注目選手はナウエル・モリーナ。
アルゼンチン代表の右ラテラルとして、W杯制覇を達成したモリーナ。その自信もあってか、後半戦に入ってからは素晴らしいパフォーマンスを披露している。攻撃面では課題であった、ジョレンテとの関係性が改善。相棒の爆発的なスプリント力を引き出す良いチャンスメイクを行っており、一方の守備面でも安定した対応を見せている。ヴィニシウスとのマッチアップが予想される今節は彼にとって試金石となる試合。コパでは彼相手に十分互角の戦いを繰り広げており、あの時のパフォーマンスをこの試合でも発揮することが出来るか。ファンフランートリッピアーと受け継がれてきたアトレティコの右ラテラルを受け継ぐものとして、期待したい。
5、バレンシア vs レアル・ソシエダ
ホーム バレンシアの前節はヘタフェ相手に敵地で敗戦。残留争いにおける直接のライバルとの対戦となったこの試合、バレンシアは序盤より積極的な攻撃でチャンスを迎えるものの決めきれず。後半に入っても一進一退の攻防は続いたが、82分にセットプレーから失点。重要な6ポインターを落とし、これでチームは公式戦6連敗。19位に順位も沈み、新監督に就任したルベン・バラハはクラブのレジェンドではあるものの、この苦しい状況下を戦い抜くには、あまりにも未知数。残留に向け、本格的にまずい状況になっている。とはいえ幸い、残留圏内との勝ち点差はわずか2。1勝できれば、状況は好転するはず。今節の相手はラ・レアルと難しい試合になることは間違いないが、メスタージャの力を借りて、何とか残留を果たしたいところだ。注目選手はジョージ・ママルダシュビリ。
昨季のデビュー以来、順調にキャリアを重ねているママルダシュビリ。昨季より目を見張るものがあったセービングはもちろん、ガットゥーゾ前監督の下で、足元もかなり上達し、苦しいチームの中で1人気を吐いている。今節もピンチを迎えるシーンは多いはずで、彼がどこまで無失点で耐えきれるかが、試合を左右することになるだろう。好調ラ・レアルの攻撃陣を封殺し、チームに勢いをもたらすことが出来るか。ジョージア代表GKの活躍に期待したい。
一方、アウェイ ラ・レアルの前節はセルタ相手に1vs1でのドロー。前節と全く同じメンバーでスタートしたこの試合、ショートカウンターの形で久保のパスから、オヤルサバルが見事なゴラッソをあげ先制。それ以降はセルタのプレッシングにある程度、苦しまされることも多く、両チームともペースをつかみきれない展開に。所々で決定機はありながらも決めきれずいると、アディショナルタイムにセットプレーの流れから失点。最悪な形で勝ち点2を取りこぼすこととなってしまった。CL圏内争いは依然熾烈。ここからELも入ってくる中で、層の厚さをイマノルが使いきれていないところは気になる。トゥリエンテスやゲバラなどはスビメンディの君臨と、イジャラの復調により全くといって良いほど出番を得られていない。ただ、彼らも十分チームに貢献できる実力者。固定化されつつある、スタメンそして交代メンバーに新鮮な風を吹かせたいところだ。注目選手はミケル・メリーノ。
メリーノもまた所謂定番側の選手とは言え、やはり彼の帰還は大きい。復帰後の2試合はコンディションの都合か、連続で途中からの出場となっており、まだ完全という状態ではないのかもしれない。ただイジャラやブライスが素晴らしいプレーを見せていると言っても、やはりメリーノの存在感は特別。圧倒的な技術やIQ面はもちろん、それに加えてフィジカルを活かし、中盤に強度をもたらす出来る選手は他におらず、違いを作ってくれるはずだ。今節の相手のバレンシアはラ・レアル同様ボールを大切にしたいチーム。主導権を握るためメリーノの活躍に期待したい。
6、アトレティック・クルブ vs ジローナ
ホーム アトレティックの前節はアトレティコ相手に敵地で0vs1の敗戦。創設125周年の記念試合となったこの1戦。アウェイの地でホームユニを着るという珍しい状況下での1戦となった。ラインナップでは直近の試合からサンセを1列前に持っていき、ムニアインを左に出す布陣に変更。彼らでアトレティコのライン間を狙い、左の大外は復帰したユーリに任せる形をとった。この形は一定の成果を見せており、特にサンセはエルモソ、デポール、レイニウドの中間くらいの位置でボールを引き出し、チャンスメイク。何度もオブラクの守るゴールへ迫った。結果的に一瞬の隙を突かれ失点し、敗れることとなってしまったものの、そこまでネガティブになる必要のない試合であったとはいえるだろう。今節の後、ミッドウィークにコパ・デル・レイの準決勝 オサスナ戦1stレグがあることもあって、この試合にどれだけの重要性を持って臨んでくるのかは1つ注目ポイント。マルセリーノ体制下では、このような時は必ずメンバーを落としていた印象だが、バルベルデはどうするか。注目はイェライ・アルバレス。
今季圧倒的なパフォーマンスを見せているイェライ。イニゴ・マルティネスがまともに使えない状況下でDFリーダーとして堅守を支えており、ラ・ロハ選出にも期待しかない状態だ。この試合は相方のビビアンが出場停止。イニゴは相変わらず負傷中ということで、恐らくパレデスとのコンビになることが予想される。パレデスも今季は一定のプレータイムを得ているとはいえ、やはりビビアンに比べると、経験・能力共に劣ることは否めず、イェライに対する負担は大きくなることだろう。またイエローの累積が4枚溜まっており、リーチがかかっている点も気になるところ。次節はラージョとの欧州カップ圏内を懸けた直接対決であり、イェライを欠くことになるのは厳しい。何とかカードをもらわないながらも、前節6点を挙げ波に乗るジローナの攻撃陣を抑え、勝利に貢献したいところだ。
一方のジローナは前節、本拠地モンティリビにて6vs2の快勝。ミゲル・グティエレスが累積警告で出場停止となったこの試合、ジローナはいつもの両ラテラルを上げる形ではなく、基本的にアルナウが上がる右肩上がりの形をセット。注目の2列目にはボルハ・ガルシアをそのままに、両サイドにツィガンコフとロロの2人を起用。この配置、そして人選が面白いようにハマり、所謂5レーン全てで攻勢を取れるように。前線4枚にアレイクス・ガルシアやアルナウ、ハビ・エルナンデスも飛び出して、関わっていきながら、相手ゴールを強烈に脅かした。更に途中出場のストゥアニ、イバン・マルティン、トニ・ビジャもゴールに関わる結果を残し、チーム全体として良いムードでシーズンを進めることが出来ている。この勝利で勝ち点は27にまで伸び、残留安全圏の勝ち点40まではあと13。この勢いがあれば、余裕を持ってこの目標までたどり着けるだろう。この試合の注目選手はミゲル・グティエレス。
先述の通り、前節を欠場したミゲル。その間にチームは大勝し、代わりに入ったハビ・エルナンデスは得点を筆頭に素晴らしいパフォーマンスを見せた。ミゲルの立ち位置は絶対的なものがあるとはいえ、間違いなく刺激にはなっているだろう。更に同じラ・ファブリカ出身の左ラテラル フラン・ガルシアのマドリー復帰がほぼ確定的となっており、この事からも影響は受けていそうなミゲル。今節に欠ける気持ちは強いはずだ。マッチアップはニコ・ウィリアムス。彼がここでどれだけ、ニコを抑え、攻撃で存在感を示せるかは、この試合の勝敗を左右する。好パフォーマンスに期待したい。
7、セルタ・ビーゴ vs レアル・バジャドリー
ホーム セルタの前節はラ・レアル相手に敵地で1vs1のドロー。タピアの退場で数的不利になりながらも、アディショナルタイムにOGという幸運な形で追いつき、強敵相手に貴重な勝ち点1を獲得。皮肉にも前節ギリギリのところで失った勝ち点1を取り返す結果となった。ラ・レアル相手に内容、結果ともに決して負けていなかったことは、カルバリャル体制がW杯による中断期間以来、築いてきたものの正しさを証明してくれることであり、この形を続けていくことが、残留という最低条件、そしてトップハーフフィニッシュに繋がっていくはずだ。2試合強敵との相手が続いた中で迎える、ホームでのバジャドリー戦。勝ち点3を挙げたいところ。注目選手はガブリ・ベイガ。
今季開幕前、デニス、ブライスという2人のファンタジスタを事実上放出したセルタ。そんな中で台頭してきたカンテラーノこそ、ガブリ・ベイガである。このカンテラーノはシーズン序盤より好パフォーマンスを見せ、スタメンに定着。今ではセルタの2列目において最重要選手となり、ラ・ロハ召集へ期待の声も多い。スペイン人らしい、ボールタッチの細かさ、サッカーIQの高さはもちろんの事、若手らしく積極性も備えており、右のハーフスペースに飛び出していく場面も多く見受けられる。カルバリャル体制以来、カルラス・ペレスーミンゲサのコンビが良い関係を築いている右サイドに、アスパスが絡み、ベイガが飛び出していく形は新生セルタの黄金パターン。今節もこの形を見ることが出来るか。注目したい。
一方のアウェイ バジャドリーは前節、ベティス相手に1vs2での勝利。この試合でも後半戦以来、固まった形となっているプラーノをトップ下、プラタとマチスを両翼に置く、4231の形を採用したパチェタ。キケ・ペレス、プラーノ、モンチュの中盤が比較的自由に入れ替わりながら、ボールを引き出しサイドに展開。そこで1on1の形を作りつつ、中央でラリンがそのクロスボールを点で合わせるというお得意の展開が、この試合でも見られており、ベティス相手にも成果は出した。しかし、守備面ではベティスの攻撃陣を捕まえきれず。フェキル+ドブレピボーテにはそれぞれ中盤の3枚がマンマーク気味に対応したが、右から降りてくるカナレス、そして左からダイアゴナルでDFの裏に入ってくるファンミを捕まえきることが出来ず。そこから失点につながってしまうこととなった。残留のため、3戦未勝利は避けたいこの1戦。敵地で勝ち点1は持ち帰りたいところだ。注目選手はオスカル・プラーノ。
バジャドリーの10番として君臨するプラーノ。今季序盤はプラタやイバン・サンチェス、アヌアルなどの後塵を拝することも多かったが、徐々に出場機会を増やしていき、後半戦に入ってからはトップ下の位置に君臨。強力なサイドを活かす存在として、中央で存在感を示している。恐らくボールを握られる時間が多くなるであろう、この試合でプラーノがどこまで存在感を示せるのか。ベルトランやガブリの脇でボールを引き出し、良い展開を作ることが出来るのか。注目したい。
8、アルメリア vs バルセロナ
ホーム アルメリアは前節 アウェイでジローナ相手に2vs6で敗戦。いつも通りの4123で臨んだものの、5レーンを上手く活かしながらサイドを広く使う相手に苦戦。4バックが外にスライドした大外の部分を上手く使われ、捕まえきれない選手が出てきてしまうこととなった。後半開始時点で、ようやくルビによる修正がなされ5バックになったことである程度安定したものの、その時には既に4点差。勝負は決まってしまっていた。これで直近3連敗。更に今後もバルサ、ビジャレアル、セビージャと難敵との試合が続き、この悪い流れを断ち切るのは難しく、このままでは残留に向け黄信号が点ることとなる。何とかホームの地で勝ち点をもぎ取りたいところだ。注目選手はサンティアゴ・アキエメ。
前半戦のチームMVP候補の内の1人であるアキエメ。ラ・マシア出身の左ラテラルは優れたスプリント能力を活かし、左の大外を単独で制圧。初挑戦となるプリメーラの舞台でも見事なパフォーマンスを披露している。この試合、アルメリアとしてはバルサに押し込まれる展開になることは確実。その中で、アキエメがどれだけ左サイドの守備面で耐えきれるのか、そして、カウンター時に第二の矢として、出ていくことができるのか。値千金の勝ち点奪取に向け、古巣相手の活躍に期待だ。
一方でアウェイ バルセロナの前節はカディス相手に2vs0で勝利。ペドリを欠いた中で、この試合ではフェラン・トーレス、セルジ・ロベルトという今まで存在感を残せていなかった2人が躍動し7連勝とした。しかし、ミッドウィークのユナイテッド戦では敵地 オールド・トラッフォードにて逆転負け。EL本戦への出場は叶わず、早くもヨーロッパカップ戦から姿を消す結果となってしまった。これで、リーグ戦の制覇はもちろん、コパ・デル・レイのタイトルも是が非でも取り、何とか国内2冠は達成しなければならない状況に。そのためにもEL敗退後且つ、ミッドウィークに国王杯クラシコを控える状況で迎えるこのアルメリア戦は1つ重要なものとなるだろう。出場停止であったガビはともかく、デンべレ、ペドリは一定期間の離脱が決定しており、現在のチームにとって最も代えの利かない2選手ともいえる彼らの不在をどのように埋めていくか。今後も勝負の時は続く。注目はフランク・ケシエ。
今夏ミランよりフリーで加入したケシエ。ただ、中々チームに馴染めず、出番を得ても低調なパフォーマンスに終始するなど、物足りなさが目立つ前半戦となっていた。しかしW杯中断明け以降、チームが中盤のプレーヤーを4枚使う布陣に変わってから躍動。ブスケツ、ペドリの負傷で出番を得ると、特徴であるフィジカルを活かしたプレーで、上がる左ラテラルのカバーや、ビルドアップにおいてプレッシングで追い込まれた際の、収まりどころとして存在感を発揮。ユナイテッド戦でも好パフォーマンスを見せた。ペドリ不在の中で、ケシエがどれだけチームに貢献できるかは、今後のバルサにとって1つ肝になる部分。活躍に期待したい。
9、セビージャ vs オサスナ
ホーム セビージャの前節はラージョ相手に1vs1のドロー。要塞バジェカスにての好調ラージョという難しい1戦だったが、前半から攻勢をかけ先制。その後、若干怪しい判定で、主審に泣かされることが多く、そこからの悪い流れからセットプレーで失点。同点決着となったが、間違いなくチームは好転していると言える内容であった。ミッドウィークのELでは1stレグで3点差勝利したこともあって、敵地での2ndレグではトーンダウン。2失点を許し、敗れたものの危なげなくベスト16に駒を進めた。中断以来の好調は、しっかりとチームの構造として落とし込まれるようになっており、ここから1つでも順位を上げたいところ。ECL圏内の6位 ラージョとの勝ち点差は9。不可能な数字ではないだけに、ELとどちらに注力するかも考慮したうえで、後半戦戦っていきたい。注目はパぺ・ゲイエ。
今冬マルセイユからローンという形でチームに加入したゲイエ。合流以来素早く、チームに馴染み中盤の肝として既に君臨。187㎝と恵まれた体格と足の長さを活かした、中盤でのボール奪取はかなり目を見張るものがあり、その上でダイナミックな持ち運びからの前線への関わりも多く見られ、セビージャの中盤において、唯一無二の存在となっている。ラキティッチ、フェルナンドを筆頭に高齢化が進む中盤の中で、24歳である彼を中心として据えることが出来るのは大きい。この試合では中盤で高い強度を誇っているオサスナとの1戦となる。どちらが中盤を制し、主導権を握ることが出来るのか。ゲイエの活躍に期待したい。
一方、アウェイのオサスナは、前節マドリーに0vs2で敗戦。要塞エル・サダールに王者を迎えたこの試合、アラサテは4123のいつも通りの形でスタート。マドリー相手に主導権を握り、モイ・ゴメスを中心とするボール保持から崩しの姿勢を見せた。ブディミル、アブデ、ルベン・ガルシアの3トップは、それぞれこの能力で劣る中でも、自身の得意なプレーで貢献しており、ブラサナク、トロは中盤で走力を最大限生かし、攻守両面に躍動した。自分たちの時間で1点でも取れていればと言いたくなる試合であったが、それでもマドリー相手にあれだけの内容の試合が出来たのは収穫。とはいえ、結果的にはリーグ戦で5試合未勝利となっており、流石にそろそろ勝利をあげなければ、チームの雰囲気面に懸念が出てくる。ピスファンでのセビージャ戦と難しい試合にはなるが、勝ち点3を持ち帰りたいところだ。注目選手はアンテ・ブディミル。
ここまでわずか2得点のブディミル。とはいえ、昨季も8Gの内、大半をシーズン後半戦で決めており、後半戦の男としてこれからの活躍に期待したいところ。マドリー戦でもリュディガー、ミリトンという世界最高峰の対人能力を持つCBコンビに対して、果敢に立ち向かい、良いポストプレーで時間を作る動きも見られた。この試合では前節出場停止で欠場したチミーも帰ってくることになっており、より競争は激化。ゴールという結果を積み重ねることが求められる。この試合、好調セビージャ相手に得点を挙げ、チームを勝利に導きたい。
10、ビジャレアル vs ヘタフェ
ホーム ビジャレアルの前節はマジョルカ相手に2vs4で敗戦。ジェラールを再び欠いたこの試合、更に負傷明けのアレックス・バエナに代わってスタメンに起用されたトリゲロスがわずか20分で一発退場。70分以上を10人で戦わなければならない厳しい状況になってしまい敗戦。マジョルカのプレッシングを回避しようと無理をした結果、DFラインでのミスが増え、失点につながってしまった。これでチームは4連敗。CL圏内を争っていたはずの順位も今や8位まで落ち、勝ち点差は10まで広がってしまった。今後ECLも入ってくる中で、選手層の薄さ、そしてセティエンサッカーの幅のなさ。このような問題を抱えた状況では、好転は望みにくい。監督交代も視野には入っているようだが、今すぐといった話ではなく、何かきっかけが欲しいところだ。注目選手はアレックス・バエナ。
ジェラールの復帰が不透明の中で、唯一の希望となっているのがバエナ。前節も彼の投入後は流れが多少変わり、積極的な縦パスによって可能性を感じさせるチャンスメイクを行っていた。若手らしく、積極性に優れた彼はチームの停滞ムードを活性化させられる選手でもあり、試合を決める活躍に期待したいところ。強度の高いヘタフェ中盤陣に対して、バエナが輝くことが出来れば、勝利は見えてくるはずだ。
一方のアウェイ ヘタフェは前節 バレンシア相手に値千金の勝ち点3ゲット。7戦未勝利という厳しい状況から一転、この勝利で直近2連続の引き分けと合わせ、3戦無敗という流れに一変することとなった。この試合ではイグレシアス、ダミアン・スアレスという2人の復帰がありながら、いつもの352の形は使わず、右からジェネ、ドゥアルテ、アルデレーテ、ガストン・アルバレスの最終ラインを使った442に。本職CBを4枚並べるこの戦い方が上手く行っていたかは疑問符が付くところだが、勝利という結果をあげた以上、この戦い方は成功と言わざるを得ないだろう。今節の相手はビジャレアル。直近の調子を見ると、敵地とはいえ十分勝機有。前半戦の対戦でも、初の勝ち点を挙げることとなった試合がビジャレアル戦であり、良い印象は持っているはずだ。注目選手は、マウロ・アランバリ。
長期離脱を経て復帰したヘタフェの絶対的中心。先日、契約延長も果たし、残留に向け活躍が期待される。今季、ミジャやビジャールなど夏冬問わず、レベルの高い中盤の選手を連れてきたヘタフェだが、その中でもアランバリの存在感はやはり別格。プレッシング時には、中盤の底の位置で広いスペースを単独でカバーすることが出来、ビルドアップ時には、精度の高いキックでサイドチェンジ。前節はセットプレーから決勝点の起点ともなっており、まさに心臓と言える存在だ。この試合、ビジャレアル相手にはボールを握られる展開となることは容易に予想でき、ライン間を狙うのが得意なビジャレアル相手にピボーテ脇のスペースをいかに管理しきれるかが焦点となる。このウルグアージョが相手のバイタル侵入を制圧出来るか、期待したい。