rinのリーガとスペインサッカーについて語るブログ

ラ・リーガとスペインサッカーについて気軽に書きます。内容めっちゃ浅いです笑 アトレティコのファンです。

【最速】W杯 スペイン代表26名紹介 

1、始めに

 皆さんこんにちは!今回の記事では、本日 11/11日本時間20:30に発表された、スペイン代表メンバー全26名の紹介をしていきたいと思います。ラ・リーガウォッチャー、そしてラ・ロハ(スペイン代表の通称) ウォッチャーとして自分なりの選手の特徴や、代表での立ち位置を書いていきます。普段からリーガを追っている方はもちろん、Myチームしか見ないから他のチームの選手はよくわからないよ!という方や、今回日本代表と対戦することで、どのような選手がいるのか気になった!という方まで幅広い層に向け書きましたので、最後まで読んでいただき、また観戦のお供としていただけたら幸いです。なお、急いで書いているため、誤字などの読みづらい点があるかもしれない事、またあくまで私はリーガウォッチャーであり、他リーグの選手たちへの印象がどうしても薄くなってしまっている事 この2点にはご配慮お願いいたします。

2、特徴

 2018年ロシア大会、イニエスタやシルバなど2008年からの黄金期を支えたメンバーの集大成として迎えた大会をベスト16敗退というあまりに悔しい結果で終えたラ・ロハ。W杯本選直前に当時、監督を務めたロペテギがマドリーとの契約を発表したことで解任されイエロが就任するという協会内部でのゴタゴタを含め、ピッチ内外で不甲斐ない大会に終わってしまった。そこからの4年間、諸事情で辞任した約8カ月を除き、チームの監督を務めたのがルイス・エンリケ(通称ルーチョ)。

 現役時代も3度のW杯出場経験を持つ彼の監督として最大の実績は14-15シーズン バルサを率いての3冠。MSNを武器にこれまでのティキ・タカからカウンターの要素を強く入れた、より現実的な路線への転換を上手く果たした。この伝統やしがらみに囚われず、強気にチームを作り上げていくのが、監督して彼の一番の特色だ。これは、ラ・ロハでのメンバー選出でも色濃く表れており、主力であるセルヒオ・ラモスを21年EUROの直前で呼ばない選択を下したこと、ネーションズリーグ準決勝でいきなり、当時トップチームでの出場経験も限られていたガビを起用したこと。この2つが、その最たる例である。これらの変革によって大きな課題と目されていた黄金世代からの世代交代に見事に成功。CBと点取り屋にワールドクラスの選手がいない中でも、EUROベスト4、ネーションズリーグ準優勝と最激戦区のヨーロッパにおいて数々の結果を残してきた。大量の批判に晒されながらも、その度に結果で黙らせてきたルーチョ。このワールドカップにおいても、この絶対的リーダーの存在が、スペイン最大の武器だ。

3、展望

 今大会のラ・ロハは現実的に見て頂点を目指すことのできる戦力ではない。目標はベスト4。これを達成できれば十分すぎる大会と言えるだろう。理想とすれば初戦のコスタリカ、2戦目のドイツに連勝し、3戦目の日本戦でターンオーバー。ラウンド16でグループF2位(おそらくクロアチアかモロッコ)を下し、ラウンド8でのブラジル戦に挑むというのが基本的な展開となるか。2位での通過となると、ラウンド16の相手はベルギーになることが想定されるため、ここは避けたいところ。まずは初戦のコスタリカ戦での勝ち点3が何よりも重要となる。

4、基本布陣

 布陣及び、序列はおそらく上記の通り。確定枠はGKのシモン、CBのラポルト、DH ブスケツ、インテリオールのペドリ、CFのモラタ。これに加え、LB、RW、LWもおそらくこの序列通りになると思われ、あとはラポルトのコンビがパウ・トーレス or エリック・ガルシア。RBがアスピリクエタ or カルバハル、インテリオールのもう一枚がガビ or コケといったところ。これは相手や個々のコンディションによって変えてくるものとみられる。配置としては左右非対称の形。SBを低い位置に置き、WGは大外、そこにインテリオールが飛び出しでポケットを取りに行く右サイドに対して、左サイドはSB、インテリオール、WGの3枚がローリングしながら相手のマークをずらしていく。CFのモラタは偽9番的に中盤に降りて数的優位を作り、運び出しはCB+ブスケツ。守備は即時奪回の目的の下、ハイラインハイプレスが基本だ。必然とその裏は明確な弱点になるが、ここはメリットとの差し引きで許容。1vs1に強いシモンにこのリスクは負ってもらうことになっている。

5、選手紹介

GK (PORTERO)

ウナイ・シモン (アトレティック・クルブ)

  

 ラ・ロハの新守護神 ウナイ・シモン。GKの名産地バスクが輩出した25歳の若者。これまでラ・ロハはカニサレスカシージャス、デヘアと世界最高峰の選手が守護神の座を務めていただけに、若干のネームバリュー的な物足りなさがあることは否定しきれないが、それでもこの大会を機に一気にスターダムに乗る可能性を十二分に秘めた選手だ。特筆すべきはそのメンタルの強靭さ。記憶に残っている人も多いだろうが、EUROでのクロアチア戦。バックパスをトラップミスしてしまい、そのままゴールを許すこととなってしまった彼。しかし、それを一切引きずることなく、その後は決定機を何本もセーブ。パラドンの連続でチームの逆転勝利に貢献した。大舞台での経験こそ、まだ浅いものの間違いなくいつも通りのパフォーマンスを見せてくれるはずであり、期待値は大きい。ナバス、ノイアーと世界有数のGKと同居することになったグループリーグからキーパー対決にも目が離せない。

ロベルト・サンチェス (ブライトン)

 ブライトンの正守護神 ロベルト・サンチェス。代表では2ndGKとして、2021年3月の初招集以来、選出されてきたがウナイ・シモンの牙城は崩せず、未だにA代表でのキャップは1のみだ。レバンテのカンテラから16歳にしてブライトンのアカデミーへと移籍を果たしたサンチェス。近年はリーガの舞台を経験せず、そのまま他国へと移籍していくプレイヤーも増えたが、かなり珍しいケースであることに間違いない。現チェルシー監督 グレハム・ポッターによってスタメンに抜擢された彼は、以降の約1年半で急成長。Transfer marktの指標では現在プレミアリーグの選手の中でアリソン、エデルソンに次ぎ、3番目に市場価値の高いGKとなっている。最大の武器は足元の巧みさ。精度が高く、飛距離が出るキックは見ごたえ十分だ。更にそれでいてシュートセーブも優秀。更に197㎝の高身長と全てがハイレベルなGKだ。ルーチョの信頼的にシモンからポジションを奪うことは難しいだろうが、万が一なことがあっても十分ゴールマウスを託すことのできるだろう。

ダビド・ラヤ (ブレントフォード)

 3番手のGKとしてデ・ヘア、ケパらを押しのけて選出されたのがブレントフォードの守護神 ダビド・ラヤだ。カタルーニャ州出身の彼だが、彼もまたロベルト・サンチェス同様、早々にスペインを離れ、イングランドトップリーグへ上り詰めた選手である。ブラックバーンのアカデミーでイングランドでのキャリアを始めた彼はローンで5部リーグへ。そこで活躍を見せ、翌年ローンバックでブラックバーンに戻ったものの、そこから1年半は控えGKとしての立ち位置。その後スタメンGKが移籍したことでようやく定位置を掴むと、当時3部だったチームの2部昇格へ大きく貢献した。その後、19年夏にブレントフォードに移籍すると、遂に20-21シーズン プレーオフを勝ち抜き、25歳にして初のトップリーグでデビューを果たすことになった。そしてそのわずか1年半後には強豪 スペイン代表の一員としてW杯の大舞台に挑むこととなる。育成に長けた国ということもあって、若いころから将来を期待されていた選手が多い中、この代表において彼は唯一ともいえる叩き上げ。出番は中々回ってこないだろうが、それでも彼にとっては夢の舞台。ベンチからチームを盛り上げる姿に期待したい。

RSB (LATERAL DERECHO)

セサル・アスピリクエタ (チェルシー)

 名門オサスナカンテラ 通称タホナルの誇る最高傑作。若くして海外に飛び出た彼はマルセイユを経て、12年夏にチェルシーに移籍。そこからの10年間イングランドの地で、チェルシーの闘将として戦い続けてきた。そんな彼も33歳。このW杯がキャリア最後の大舞台となることだろう。ルーチョ政権序盤こそカルバハル、ナバスの牙城を崩せず、中々招集されていなかった彼だが、その両者ともが負傷で欠場となったEUROにおいて素晴らしいパフォーマンスを披露。リーダーとしての役割はもちろん、ラテラルを低い位置に置く、現在のルーチョのフットボールに守備的なラテラルである彼のプレースタイルがうまく合致し、一躍右ラテラルの1番手に躍り出た。近年はワールドクラスのWGにちぎられるシーンが垣間見られるなど、衰えは隠せないが、それでも先日のアーセナルで見せたように、ここぞの試合での出来は流石のもの。今大会でもチームの支柱として期待したい。

ダニ・カルバハル (レアル・マドリー)

 怪我さえ考慮に入れなければ、間違いなく世界一の右ラテラルであるカルバハル。ただやはり負傷による離脱が多い影響もあってこのラ・ロハでも序列争いではアスピリクエタの後塵を拝しているのが現状だ。直近のマドリーの試合でも低調なパフォーマンスを見せており、若干の懸念点はあるが、それでもここまで数多くの大舞台で最高のパフォーマンスと結果を勝ち取ってきた歴戦の猛者なだけに、必ずこの大会にベストコンディションを持ってきてくれるはずだ。アルバの際にもvs相手の右WGという点に触れたが、左WGも強烈な選手が揃う。ドイツのサネ、日本の久保、三笘。こういった選手たちをどこまで封殺できるか。カルバハルの負担も大きくなるだろう。とはいえ、昨季の決勝では当時絶好調であったリヴァプールのルイス・ディアスを完璧にシャットアウトしており、実力的には十分に抑えられるものを持っている。怪我がちであること、そして30という年齢を考えてもこれが国際舞台では最後のビッグトーナメントとなる可能性は大きい。代表でも偉大な結果を残すため、今大会では気合の入ったカルバハルが見れるはずだ。

CB (CENTRAL) 

エイメリク・ラポルト (マンチェスター・シティ)

 このチームの守備の柱であるラポルトフランス領バスク出身の彼は、元々はフランス代表のプレイヤーであり、年代別代表での招集経験もあったものの、CBのタレントを豊富に持つレ・ブルーではお呼びはかからず。昨年に開催されたEUROの直前にスペインへと国籍を変更し、早速EUROではラ・ロハの弱点であった最終ラインで中心として君臨し、チームの躍進を支えた。最大の武器である左足でもフィードはもちろん、強度の高いプレミアの中でも更に、ハイラインを志向しているシティにおいて長年活躍していることもあって、守備者としての能力も現ラ・ロハの中では群を抜いたものを持っている。セルヒオ・ラモス不在の余波を起こさせないためにも彼がどれだけディフェンスリーダーとして立ち振る舞いができるかはピッチ内外において注目ポイントだ。

パウ・トーレス (ビジャレアル)

 五輪でも左CBを務め、日本代表とも対戦した左利きCB。強豪クラブが多く関心を寄せる逸材だ。言わずと知れた最大の武器はその左足からの供給力。長距離のフィード、縦へ強く出すパス、自ら持ち上がる場面など、その時々の相手DFに合わせ、適切かつ精度の高い供給ができる選手だ。その一方で弱点としては、空中戦の対応。身長は191㎝と決して低くないものの、空間把握の面で多少難があるように見受けられ、特に横からのボールに対しての対応を間違える場面が垣間見られる。ラ・ロハでは同じ左利きCBであるラポルトがいるため、絶対的なスタメンとは言えない立ち位置。エリック・ガルシアとそのパートナー役を争っている状況であり、パウがスタメンで出る際は、ラポルトが右CBに入る。昨季CLで大きく名を売った彼が、更なる知名度をこの舞台で得ることが出来るか。

エリック・ガルシア (バルセロナ)

 先日引退を表明したピケの正統後継者であるエリック。昨季まではその守備力の低さ、またシティ退団時のゴタゴタからかなり批判の対象となっていたが、今季は一躍成長。チャビから高い信頼を得ている。スピードや高さという部分では物足りなさが隠せないものの、それ以外の読みやビルドアップ時の貢献でその短所を上回るパフォーマンスを現在は出せている。ただ、やはりワールドクラスのスピードを持った相手への対応は厳しい点があり、日本的にはここは狙いたいところ。実際ネーションズリーグでもここの裏を取られ、ピンチに繋がっているシーンは垣間見られたため、どれだけ彼とスピード勝負といった形を作れるかが鍵になる。この代表での立ち位置はラポルトの相棒をパウと争っているところ。ラポルトが左利きなだけに右利きである彼が本来相応しいのだが、ルーチョ自身もここには若干の不安を感じている部分ではあるのだろう。彼がこの大会でどれだけのパフォーマンスを見せられるか。速さ、高さが日に日に求められるようになっている現代CBにおいて、その点にビハインドを抱えながらも戦っているエリック。新たなCB像を再び、彼のパフォーマンスから創り出したいところだ。

ウーゴ・ギジャモン (バレンシア)

 CB4番手に滑り込んだのはイニゴ・マルティネスでもディエゴ・ジョレンテでもなくギジャモンであった。所属チームのバレンシアでは、昨季ボルダラスによってコンバートされて以来、ピボーテの位置を務めることの多い彼だが、ラ・ロハではCBとして計算されている。エリック同様、身長やスピードといった点では劣るものの、やはり供給力に長けているタイプのCBであり、この選出からもルーチョがCBに求めているのは、守備能力以上に持ち運びから質の高い供給ができる点であることを理解することが出来る。この4年間年代別代表でもプレーし続けた彼は、ラ・ロハの志向するフットボールをよく理解している選手であり、ルーチョの信頼が厚いのも納得。年齢も若く、次回以降の大会に向けても、今回この大舞台を経験できる意味は大きい。限られた出場機会にはなるだろうが、活躍に期待したい。

LB (LATERAL IZQUIERDO)

ジョルディ・アルバ (バルセロナ)

 キャリア3回目のW杯を迎えるスペイン史上最高の左ラテラル。今季はクラブでの立ち位置も低下しつつあり、衰えも見られてきたが、それでも得意の裏への抜け出しからのクロスという形は強烈な武器。ルーチョからも絶大な信頼を得ており、プレーは無論、リーダーの1人としての活躍にも期待したい。グループリーグからニャブリ、伊東純也といったワールドクラスのドリブラーとのマッチアップが想定される。元々チームの構造的にラテラルには低い位置を取らせるラ・ロハのスタイルの中で、彼らをどれだけ低い位置に押し込み、アルバの攻撃面での良さが目立つ試合にできるか。チーム全体の状態を確認する指標としてアルバの存在感は注目ポイントだ。

ホセ・ガヤ (バレンシア)

 ククレジャ、バルデ、マルコス・アロンソなど競争の激しかった左ラテラルのポジションにおいて、4年間通してその座を譲らなかったガヤ。バレンシア一筋の偉大なるワンクラブマンだ。2代巨頭として君臨してきたソレールがPSGに移籍した中、フロントにゴタゴタを抱えるチームを今も先頭に立って支えている。今季の彼は、目立ちはしていないものの、非常に質の高いパフォーマンスを見せており、ボール保持を大切にするチームの中で、自らの前にいるWGサムエル・リーノと良い関係を築き、内外使い分けた攻撃参加を見せている。アルバが年齢のこともあって、過密日程の中でフル稼働は難しい可能性が高く、彼の出番もこの大会の中で訪れることだろう。プレーはもちろん、若いチームにおいてリーダーの1人としてチームをまとめる役割にも期待したい。

DH (PIVOTE)

セルヒオ・ブスケツ (バルセロナ)

 スペインが誇る世界最高のピボーテ。2010年のW杯制覇組最後の生き残りである彼ももう34歳。この大会が恐らく最後のビッグトーナメントとなる。流石の彼も衰えは徐々に見えており、バルサでも絶対的な地位は多少揺らぎつつあるものの、それでもこのラ・ロハにおける存在感は別格。世界最高峰のピボーテであるロドリでさえも、未だ牙城は崩せず、ブスケツの不在時にはチーム自体が停滞してしまう。このチームにおいて最も替えの利かない選手と言える。とはいえ過密日程の中で、年齢を考慮に入れると全ての試合でベストコンディションでのフル出場とはいかず、できることならグループ3戦目の日本戦では休ませたいところ。彼にマークを付かれた時に、どのようにそこを有効活用して前進していくのか。その対処法も含め、彼がどのようなパフォーマンスを見せられるかがラ・ロハが今大会どこまで行けるかを左右するだろう。

ロドリ (マンチェスター・シティ)

 現在、世界最強のチームにおいて絶対的な存在感を図るピボーテ ロドリ。それでも代表では未だにブスケツの牙城を崩すことはできておらず、それどころか代役としても物足りなさを感じてしまうパフォーマンスに終始している。所属しているリーグの特徴もあり、よりアスリート能力に優れている一方で、状況判断やパスセンスといった分野ではロドリも世界最高峰のものを持ちながらも、その点において史上最高といっても良いほどのクオリティを持つブスケツに分がある。そして、このブスケツの存在が攻守全ての始まりとなるラ・ロハにおいてはやはり、ロドリは後塵を拝すことになるだろう。ただ、最近の試合ではCBやブスケツとの同時起用という形での起用機会も多く、このW杯でもそういった使われ方は増えるだろう。スペイン流の技術の頭脳に優れた小兵タイプが多い、ラ・ロハの中盤でプレミア仕込みの強度を出せるロドリの存在は貴重。必ずや、拮抗したトーナメントにおいて彼の力が必要になる時は来るはずだ。

CH (INTERIOR)

ペドリ (バルセロナ)

 世界中に名の轟く世界最高峰のインテリオール。昨年にベストヤングプレーヤー賞を受賞した彼だが、もはや若者という印象は消えており、世界でも指折りのプレーヤーとして君臨している。EUROで鮮烈な印象を見せつけてから1年と半年。更なる成長を遂げたペドリがその才能を改めて世界に見せつけることになるだろう。彼の最大の武器はやはりフットボールIQの高さ。ポジショニング、状況判断の全てが適切であり、相手に確実にダメージを与えることができる。その上でその頭脳にしっかりとついていくだけの技術を持っており、またフィジカル面においても決して優れているわけではないが、簡単に当たり負けして潰されることはない。やはり注目したいのは2戦目のドイツ戦。ラ・ロハはドイツには良い印象を持っているものの、ペドリを筆頭とするバルサ勢はバイエルンに対して苦手意識が植え付けられているはず。代表という場でバイエルン中心のドイツにリベンジできるか。グループリーグから目が離せない。

ガビ (バルセロナ)

 今年のゴールデンボーイであるガビ。その受賞に関しては賛否両論あったものの、間違いないのは彼がそれに匹敵するほどの才能と能力を持ったプレイヤーであるということだ。彼の名が一躍世界に轟いたのはバルサでのパフォーマンスではなく、ラ・ロハ。当時、チームでもようやく少しずつ出始めていた程度だったガビをルーチョはまさかネーションズリーグの準決勝、決勝のメンバーにセレクト。更にペドリが負傷で不在だったとはいえいきなりスタメンに抜擢したのである。当時は批判もかなり多かったが、それをパフォーマンスで黙らせる素晴らしいプレーを見せると、それ以降も定番のメンバーとして選出。チームでの主力の座を掴み、成長を重ねている。人生2周目の様に、常に落ち着き払っているペドリに対し、ガビの良さはその18歳という若さが前面に溢れ出た負けん気の強さと運動量。この武器がチームを活性化させ、ただのボール保持になりがちなラ・ロハのフットボールを効果的なポゼッションへと成し得ている。ファイターであるため、敵も多い彼だが、このチームで一番相手にとって嫌な選手ともいえるガビ。更に上のレベルへ。これからの時代を先頭になって築いていく選手であるというような確信を全世界に抱かせるような大会にしたいところだ。

コケ (アトレティコ・マドリー)

 負傷からギリギリで復帰したアトレティコのカピタン コケ。一気に若返ったチームの中では珍しく、14年、18年大会に次ぎ3回目のW杯挑戦となる。直近2年間でペドリ、ガビという2人の逸材が台頭してきたことで、その地位は揺らいできたものの、それでもこういったビッグトーナメントにおいて彼の持つバランス感覚は貴重な戦力となるはずだ。実際、ブスケツ、ペドリが大きなインパクトを残した昨年のEUROでも、彼らとトライアングルを組んだコケが上手く、サポートに入り地味な仕事をこなしていたことは見逃せない。前回大会ではベスト16のロシア戦。PK戦となったこの試合で3番目のキッカーとして出てきた彼はPKを失敗。これがラ・ロハの早期敗退に繋がるという悔しい思いを経験した。それだけにこのW杯に懸ける思いは人一倍強い。あの日以来、カピタンをガビ、ゴディンから受け継ぎ、アトレティコを引っ張る存在へと成長を果たしたコケ。そんな彼の集大成となるであろうこのW杯。活躍が楽しみだ。

マルコス・ジョレンテ (アトレティコ・マドリー)

 シメオネのコンバートが生み出したラ・ロハの誇る最高の起爆剤。カスティージャ出身の彼は、カゼミロの代役としてピボーテの位置で起用されていたものの、徐々に出場機会を失い、ライバルのアトレティコに移籍。加入当初はサッカーIQの低さから来る判断の遅さで批判の対象となっていたが、リヴァプール戦で2Gを挙げて以降、前線へコンバート。これが見事にハマることに。圧倒的なスピードとフィジカルを活かした2列目からの飛び出しで、相手のポケットと呼ばれる部分を切り裂き、20-21シーズンのアトレティコのリーガ制覇に大きく貢献した。良くも悪くも、頭の良い選手ではなく、できることは限られた選手のため、ハマったときの爆発力は絶大だが、上手く活かすのが難しいのも事実。実際アトレティコでも理想的な関係を築いていたトリッピアーの退団以降は苦しんでおり、そのスピードと対人の強さを活かした右ラテラルでの起用も多くなっている。ただラ・ロハには彼を上手く活かせる能力を持った選手が揃っており、停滞時のスーパーサブとして期待は大きい。彼の存在が重要になる試合は必ず来るはずだ。

カルロス・ソレール (パリ・サンジェルマン)

 インテリオールの5番手として選出されたソレール。今季移籍したPSGではシャドーの位置で起用されており、良さが全く活かされていないが、ラ・ロハでは右インテリオールで好パフォーマンスをここまで披露してきた。ラテラルを低い位置に置き、WGを外に張らせるラ・ロハにおいて、インテリオールの飛び出しは崩しの上で生命線。彼らが所謂ポケットという場面に、侵入することが出来るかがこのチームのカギとなっている。そのインテリオールに求められる特徴に合致したプレーヤーがソレールだ。実際に昨年の五輪決勝では後半途中から投入されると、この動きで抜け出し、見事なクロスでオヤルサバルのゴールを演出。このように抜け出しはもちろん、その後のキック精度という点でも期待感は大きい。またPK職人としても知られており、このトーナメントにおいて重要な役割を果たす可能性は十分だ。クラブでの鬱憤を晴らすようなプレーに期待したい。

WG (EXTREMO)

フェラン・トーレス (バルセロナ)

 ルーチョ体制最大のエース。バレンシア時代に右サイドを切り裂くプレーで一躍脚光を浴びた彼はその時点から代表に招集。その後、シティ、バルサと移籍する中で徐々にプレイスタイルを変えていったものの、ルーチョからの信頼は変わらず極めて厚い。バルサ移籍後は決定力という部分に大きな課題を抱え、そこから自信を失っていきプレーの質も落ちていったが、ここにきて徐々にコンディションを上げており、チャンスシーンに多く絡んでいる。特に左ラテラルのアルバとの関係性は良く、クロスに対し逆サイドから入ってくる形は多い。先日のネーションズリーグではコンディションの悪さからボールを受けてもバックパスばかりという低調なプレーに終わり、ニコに話題を攫われたものの、ラ・ロハが上に行くためにはこのエースの活躍は不可欠。大舞台での躍動に期待したい。

マルコ・アセンシオ (レアル・マドリー)

 最強の左足を持つ男がメンバーに滑り込み。日本から見ても五輪での印象が強烈に残っているであろう彼。言わずと知れたそのパンチ力ある左足が最大の武器。更に直近ではマドリーでの調子も上がってきており、開幕時点ではかなり低かった序列も、今では確かな戦力としてカウントされるところまで上がってきた。良い時の彼は運動量多く、スプリントで裏に抜け出す動きができ、相手にとってより脅威になることのできる。五輪の際は、彼自身のコンディションとしてはかなり悪い物だっただけに、あの時以上に警戒が必要。ラ・ロハでの立ち位置は基本、右サイドの控え。直近のネーションズリーグでは0トップの位置でも起用されており、CFタイプがモラタ1人となっただけに、今大会でもこのポジションで起用される可能性も高い。拮抗した試合で決定的な活躍を見せてくれることに期待だ。

ニコ・ウィリアムス (アトレティック・クルブ)

 アトレティック・クルブが産んだ、新たな逸材 ニコ・ウィリアムス。ガーナ代表にも選出されたイニャキ・ウィリアムスの弟としても知られる彼が、滑り込みでメンバーに選出。メンバー発表前、最後の代表期間となったタイミングで、初招集された彼はその期待に応える活躍を披露。得意のドリブル突破で、これまで停滞していた右サイドを活性化させ、自分たちのペースを持ってくる活躍を見せた。本格デビューとなった昨季はまだ粗削りな部分が目立っていたが、今季は大きく成長。突破の面だけでなく、その後のプレーの質や状況判断といった面で改善が見られ、リーグでも有数のアタッカーに名乗りを上げている。ドリブラーとして何よりの武器は両足をかなり高いレベルで使える点。これで縦突破以外にカットインという選択肢もより現実味を持ったものとなるため、相手を惑わすことが出来ている。今回のメンバーの中では現状、最も勢いに乗っているアタッカー。彼がこの舞台でサプライズを起こすことがあれば、その時はラ・ロハの躍進が見れているだろう。

ジェレミ・ピノ (ビジャレアル)

 スペインの誇る02トリオ アンス、ペドリに並ぶ超逸材が、このビジャレアルの誇るWGだ。20-21シーズン 当時、久保建英も所属したビジャレアルで彗星のごとく現れ、日本でも一躍名を売った彼はこの2年間で順調に成長。守備を重要視するエメリの下ではマドリーでフェデ・バルベルデが行っているような、DFラインに吸収され大外を管理するといった仕事も経験し、よりチームに貢献できる選手へと成長を遂げた。フェラン、ニコ、アセンシオなどなど様々なウインガーを抱える中でピノの最大の武器は細かいスペースを切り裂くことのできる点。エメリ時代は右サイドでアイソレーションのような形を作り、仕掛けることが多かったため、中々目立たなかったが、本来彼はより中央寄りの相手が密集するスペースに入り込み、そこからドリブルやパスを効果的に使いながら打開することの出来る選手だ。今大会もまたラ・ロハは退いた相手をどのように崩すかという場面は多くなると考えられ、そんな中で狭いスぺースで仕事の出来るピノに懸かる期待は大きい。他の若手同様、世界中に名を売る機会へ、この大舞台で衝撃を世界に与えたい。

パブロ・サラビア (パリ・サンジェルマン)

 ルーチョから絶大な信頼を得、一躍左WGの一番手の座に躍り出たサラビア。今季は、PSGにローンバックという形で帰還。メッシ、ネイマール、ムバッペの3人がライバルということで中々、スタメン出場とはならないが4番手FWとしてそのマルチなプレーの幅を活かし、チームに貢献している。ラ・ロハにおいても彼の左サイドからのオフ・ザ・ボールは1つの武器となっており、縦突破型のWGを大外に張らせる右と異なり、左の比較的自由に動き、左のラテラルやインテリオールと上手くローリングしながら侵入していく役割を上手く果たしている。その一方でやはり突出した武器はなく、対面するDFが対人守備に優れている場合、中々、単独で違いを作れないのは気になるところ。ネーションズリーグのフランス戦でもそれは露呈しており、ここをルーチョがどのように考えるか。楽しみにしたい。

ダニ・オルモ (RBライプツィヒ)

 ポジショナルプレーとストーミングを高いレベルで共存させる現代フットボールの申し子 ダニ・オルモ。約7年間バルサカンテラ ラ・マシアで育ち、久保ともチームメイトとしてプレーしたが、16歳にまさかのディナモ・ザグレブへ移籍。当時、かなりの驚きを持って受け止められたこの移籍だったが、彼はそこで大きく成長。そしてCLの舞台で絶大なインパクトを残し、次のステップに、これまた育成の名門にしてストーミングサッカーの最先端 ライプツィヒを選択。今大会のラ・ロハでは唯一のブンデスリーガからの招集となった。彼がラ・ロハで大きなインパクトを残したのが昨年のEURO準決勝 イタリア戦。この試合、始めて9番の位置 すなわち偽9番のタスクを与えられた彼は、持ち前のフットボールIQの高さを存分に活かし、イタリアを完全に翻弄。速攻と遅攻を上手く使い分ける彼がこれまで学んだことの全てを活かすようなパフォーマンスで全世界を震撼させた。それ以来、負傷も多く代表への招集は数少なかったが、それでもやはりW杯にはメンバー入り。完璧であったイタリア戦 PK戦において失敗してしまったことで、悔しさを残してしまったEURO。その借りを返すため、今大会では彼がラ・ロハの主役に躍り出る可能性も十分だ。

アンス・ファティ (バルセロナ)

 

 ギリギリでの滑り込みを果たしたスペイン最高の至宝。ペドリ、ガビを筆頭に数々の逸材を揃えるスペインだが、その中でもアンスへの期待値は最高の逸材という代名詞に相応しいものだ。周知の通り、2度の大怪我を経験したことで、今でもコンディションは万全とは言えず、試合によってパフォーマンスレベルに大きな差がある事は否めないが、それでも最大値は今回のラ・ロハのアタッカー陣の中でもダントツでトップ。細かいタッチからのドリブル突破、そして幅広く、質が高いシュートバリエーション。試合を1人で大きく左右させることのできる選ばれし者だ。先述の負傷の影響でこの代表での経験が薄いことは懸念点だが、それでも期待値は高い。EUROを負傷で欠場しただけに代表としては初の大舞台。その才能を世界中に見せつける大会にしたいところだ。

CF (DELANTERO) 

アルバロ・モラタ (アトレティコ・マドリー)

 このチームの絶対的エース モラタ。チェルシーでの失敗や、二転三転する発言などから批判やネタの対象となってしまうことも多い彼だが、ルーチョは絶対的な信頼を彼においている。実際、その期待に応えるだけのプレーを彼は見せており、自ら得点を奪う9番としての役割はもちろん、それ以上に9番の位置から降りてきて、周囲の選手たちを活かす9.5番的な役割を完成度高くできる点が、彼が一番評価されている部分だろう。現在、所属チームのアトレティコでは、相手を背負ってキープしてほしい状況ですぐ倒れファウルをもらいにいってしまう点が、問題視されているが、ボールを保持することが前提となるラ・ロハにおいて、引いてボールを引き出す彼のタスクではそのような状況にはなりずらく、良さを最大限に生かすことが出来るだろう。とはいえこのチームのエースストライカーは間違いなく彼であり、困ったときにストライカーが得点を奪えるかが、このビッグな大会では勝敗を分ける部分。南アフリカ大会のビジャのようなゴールラッシュに期待したいところだ。