1、初めに
皆さんこんにちは。よろしくお願いします!
今回はラ・リーガ23節の簡単な振り返りと、24節全10試合のプレビューについて書いていきたいと思います。楽しんでいただけたら幸いです。
2、ラ・リーガ23節振り返り
23節最大のpartidazo バルセロナvsアトレティコはバルセロナが4-2で勝利し、CL圏内の4位浮上。スコア以上の差を感じさせる内容であり、敗れたアトレティコはかなり不安な状態に陥っている。残留争い直接対決となったヘタフェvsレバンテ、エルチェvsアラベス、マジョルカvsカディスは全て上位側のチームが勝利。特に前者2つの試合では両チームの完成度に差が見られ、実質的にはアラベス、レバンテ、マジョルカ、カディスにグラナダを加えた5チームでの残留争いが濃厚になりそうだ。もう一つの注目カード ベティスvsビジャレアルはビジャレアルが完勝。首位マドリーはWエースを欠きながらもアセンシオのゴラッソでグラナダに勝利、2位セビージャはオサスナとスコアレス。その他の結果は下記画像の通りである。
今節のピックアップはバルサからダニ・アウベス。
アダマやヘタフェのエネス・ウナルらとも迷ったが、やはり今節はこの男だろう。前にアダマが入ったことにより、大外を完全に任せられるようになった結果、アウベスは中に位置取り、場合によってはブスケツの位置でボールを裁く役割も。常にチームの循環を良くしつつ、アダマのサポートもできる適切なポジショニングを見せ続けた。その上で1G1Aと申し分のない結果も出すという文句の言いようがないパフォーマンス。のはずが・・・70分ごろカラスコへのラフプレーで一発退場。年齢からくる疲労などの影響もあったのだろうが、非難されてしかるべきプレーだった。とはいえ、1G1A1レッドと圧倒的な存在感を良くも悪くも放ったアウベス。改めて彼のバルサ復帰はよりリーガ全体にポジティブな話題を提供してくれる素晴らしいディールになったと言えるだろう。
さて振り返りはここまでにして、いつも通り23節のベストイレブンを置いたうえで、プレビューに移りたい。
3、リーガ24節プレビュー
今節のリーガも注目試合が多く、その中でもビジャレアルvsレアル・マドリーのPartidazoは必見だ。エスパニョールvsバルセロナのバルセロナダービーも控える他、躍進中のアンダルシア2つはそれぞれセビージャがエルチェ、ベティスはレバンテ、崖っぷちのアトレティコは好調ヘタフェとのホームゲームに挑む。
1、セビージャvsエルチェ
金曜ゲームはセビージャがホームでエルチェを迎えうつ一戦。
ホーム セビージャの前節はオサスナにスコアレスドロー。試合直前のオカンポスの怪我、また試合早々のモンティエルの負傷交代でサイドプレーヤーの大半を失ってしまったセビージャにとって、この日のオサスナの組織された守備を崩すことは難しく、頼みのエース エン=ネシリの不調、期待の新戦力マルシャルのフィット不足、そして試合終了直前のラキティッチのPK失敗もあり、ホームで格下相手に勝ち点1に留まることとなってしまった。この取りこぼしは優勝争いの上では非常に痛いものだが、元々セビージャの狙いはあくまで4位以内であり、それを考えればあの内容での勝ち点1は悪い結果ではないだろう。引き続き多くの怪我人を抱えて臨むであろうこの試合の相手は難敵エルチェ。現在3戦連続引き分けと調子の上がり切らないセビージャには非常に難しい相手になるだろう。
そんな中で注目はアクーニャ。
この試合に間に合う可能性のあるプレーヤーもいるとはいえ、ナバス、モンティエル、オカンポス、スソ、ラメラ、テカティートという自慢のサイドプレーヤーの大半が離脱している中、ベストなコンディションでこの試合を迎えることができる純粋なサイドプレーヤーはアクーニャとその控えのアウグスティンソンの2人のみ。そんな中、アクーニャには左の大外で幅を取り、DFを広げる動き、そして対面のテテ・モレンテに対する堅実な対応がタスクとして求められる。苦しむチームにおいて違いを作り出せるか、アルゼンチン代表ラテラルに期待したい。
一方、アウェイのエルチェは前節アラベス相手に勝利し、降格圏の18位カディスとの勝ち点差を8にまで拡大した。これでリーガでは直近5試合無敗と、フランシスコ就任以来ポジティブな結果が続いている。エスクリバ体制と比べて、結果が出ている最大の要因はビルドアップの定型化とサイドの崩しでの関連性。エスクリバ政権下では3バック+ピボーテの形で組み立てていたものを、今はグンバウが左に降りての3-1で運ぶ形。そしてサイドの崩しも右はテテ・モレンテの単独突破、左は内をとるフィデルと大外のモヒカとなり、WBのモヒカ、パラシオスの個頼みだったエスクリバ体制と比べて、より効率的な戦い方ができている印象だ。この調子を継続できれば残留はもちろんたった4pt差のトップ10も決して夢ではなく、その快挙実現のためにも、セビージャ相手にピスファンとはいえ勝ち点が欲しい1戦だ。注目はペレ・ミジャ。
召集メンバー発表直前で、絶対的エースのボジェが大腿四頭筋の不快感により、この試合を欠場することが決定。冬にルーカス・ペレスとベネデットを失ったエルチェに残された選択肢はカリージョとペレ・ミジャの2トップほぼ1つといっていいだろう。今季のリーガ全体で見ても最高レベルのデランテーロであったボジェの欠場はチーム作りの根本から影響を与えうるものだ。そこで期待したいのがペレ・ミジャ。ミスも目立ち、技術的には厳しい部分も垣間見える彼だが、ここまで7得点と結果は残しており、更にそのうちの5Gが直近4試合以内と絶好調。ボジェを欠き、ジエゴ・カルロス、クンデリーガの最強コンビとのマッチアップが予想されるこの試合、彼の活躍なくしてエルチェの勝ち点奪取はないといっても良いだろう。
2、カディスvsセルタ
ホーム カディスは前節マジョルカ相手に1-2で勝利。アルカラスのゴラッソで先制したものの、その後は中々ペースをつかめず、残留争いにおける直接のライバルに敗れ、残留圏との勝ち点差も5にまで広がってしまった。もう余裕がなくなった今、相手がセルタとはいえホームの地で簡単に勝ち点3を持って帰られるわけにはいかない。というより、勝ち点3が欲しい1戦といっていいだろう。アレックス・フェルナンデス、アルカラスで組むドブレピボーテは高い安定感を誇っており、レデスマも神がかったパフォーマンスを披露している今、アタッカー陣にもう少し結果がつくようになれば、勝ち点を拾っていくことは難しい課題ではないはないはずだ。注目はロサーノ。
今季5Gを挙げ、ネグレドに代わる新エースとしての価値を示してきた彼だが、ここにきて中々得点が奪えず、最後に取ったゴールは11月29日のアトレティコ戦。約2か月にわたって結果がついてきていないのが現状だ。チームの序列という意味でも、ルーカス・ペレスやソブリーノの補強もあって、その地位は安泰ではなく、もう一度自らの価値を示すようなパフォーマンスを見せたいところだ。残留に向け貴重な勝ち点3に繋がるゴールをロサーノがとり切ることができるか。注目したい。
一方、アウェイのセルタは前節ラージョ相手に2-0で勝利。ラージョが一時期に比べると調子を落としているとはいえ、難敵相手にしっかりと勝ち切り、順位も遂に10位とトップ10に食い込んでくるようになった。アイドゥー、ベルトランの成長、セルビのフィット、アスパスの復調と好調の原因自体は様々なものがあるが、苦しい状況でもコウデを信じ戦ってきた成果が今のチーム状態に繋がっていると言えるだろう。冬にピネダを取ったとはいえ、トップチームの選手を22人用意できないという点で、選手層面での不安があることは否定しきれないが、現状怪我人が出ておらず、ヨーロッパカップ戦も、コパももうないことを考えればちょうどよいスカッドのボリュームということもできる。注目はベルトラン。
ここまで未来を嘱望されながら、周りの高い壁にも阻まれ中々大成できなかった大器が今季遂に大きな成長を見せている。昨季ベストイレブン級の活躍を見せたタピアからピボーテのポジションを奪い、さすがの展開力とキープ力、そして安定した守備でチームを支えている。1月には2026年までの契約延長も果たし、今後もセルタの顔として君臨するであろうベルトラン。今回の相手 カディスはセルヒオ就任以来、ボール保持のフェーズにもかなり力を入れており、アルカラス、アレックスで組むドブレピボーテの完成度は中々のものだ。その中でベルトランが自分たちのリズムを作り、チームを勝利に導けるか。注目したい。
3、ビジャレアル vs レアル・マドリー
今節1のPartidazoである6位ビジャレアルvs首位レアル・マドリーの1戦。
ホーム ビジャレアルの前節はベティスに0-2で勝利。ベニート・ビジャマリンの歓声の下、序盤からかなりインテンシティ高くハイプレスに来るベティスに戸惑ってはいた
ものの、次第に冷静に前進できるようになり、セットプレーからパウが決め先制。その後は相手にある程度握らせながらも、持つシーンではしっかりと運び、終了間際のキャプーのゴラッソで勝負あり。CL圏を争う直接のライバル相手に完勝し、これでシーズンダブルを達成した。序盤から勝ち切れない試合が続き、苦しんでいたビジャレアルだがここにきて、一気に調子を上げCL圏内までわずか3pt差というところまで来ている。前節ジェラールを再々負傷で失ったのは非常に大きな痛手ではあるが、戦力的には彼なしでも戦えるだけのメンツは十分揃っており、この試合でも首位マドリーに傷をつけることは可能だ。注目はダンジュマ。
CLのGL最終節アタランタ戦以来、負傷やコロナで離脱していたダンジュマが遂に前節から復帰。得点力や守備強度など不安な点も多くあるとはいえ、あのスピードと突破力は何もないところから大きな脅威を1人で作れる存在であり、大きな武器になる。この試合ではミリトンやカルバハルとのマッチアップも予想され世界トップ級のDF相手の彼のパフォーマンスという点ではデリフトやキエッリーニと当たるCLラウンド16 ユヴェントス戦に向けても、1つ試金石となり得る試合だろう。ジェラールのいない今、攻撃陣を引っ張り、首位マドリーに一泡吹かせられるか。期待したい。
一方のアウェイ マドリーは前節グラナダ相手1-0で勝利。前半こそ苦しんだものの、クロースをピボーテの位置に入れ、フェデをインテリオールとしてハーフスペースを突かせた後半は、相手GKマクシミアーノの奮闘こそあったものの、危なげない試合展開で、ベンゼマ、ヴィニシウスの両エースを欠く試合をしっかりと勝利で終えた。ミッドウィークにはCLラウンド16 vsパリも控えており、その試合に向けターンオーバーを敷くのか、ケガ明けのベンゼマ、メンディをどうするかは一つこの試合の注目だ。とはいえ、中途半端な形で戦って勝てるほど、今のビジャレアルは甘い相手ではなく、パリ戦前に難しい試合となるのは必定だろう。スタメン組から、控え組までそれぞれがベストなパフォーマンスをすることが求められる。この試合の注目はフェデ・バルベルデ。
前節後半から起用された彼は右インテリオールの位置に入ると、そこからのFWを追い越すランニングでチームを活性化。イスコの0トップを使っていたこともあり、動きが少なくなっていた中、裏へのランニングで相手に脅威を与えた。相変わらず、出場時にはハイパフォーマンスを披露する彼だが、モドリッチ、カゼミロ、クロースの中盤3枚の牙城は如何せん高く、他のチームであれば間違いなく中盤の絶対的中心になり得るはずのフェデでさえ、出場機会が限られているのが現状だが、今後CL決勝ラウンド、リーガ後半戦を戦っていくうえで、彼の存在は間違いなく重要になる。絶対的3枚とは違った「インテリオール」として彼がどのようなプレーを見せてくれるのか。そのヒントになるようなパフォーマンスに期待したい。
4、ラージョ vs オサスナ
ホーム ラージョは前節、セルタ相手に2-0で敗戦。これでリーガは直近4戦未勝利となり、前半戦に見せたような勢いはすっかり影を潜めている。その影響として考えられるのが、トレホの不調及びイシの序列低下。サイドプレーヤーが多いラージョにおいて、相手のライン間を取り、そこから決定的な仕事を中央のバイタルエリアでできるこの2人の存在は前半戦のラージョを語る上で欠かせないものだが、最近はトレホは中々危険な位置でボールを引き出せず、入っても潰されるシーンが目立ち、イシは勤続疲労等もあるのか出番が一時期に比べると限られており、その結果、外回りからのクロスを跳ね返され続けるという展開が続いている。この試合のオサスナもクロス対応は高い質を誇るチームであり、同様の展開になるといくらホームとはいえ、勝ち点を手にするのは厳しいだろう。そんな中、注目はやはりトレホ。
今季のラージョにおける絶対的中心であり、いくら不調といえど、彼の代わりとなれる選手は存在しない。彼自身の復調こそがチーム復調への唯一といってもいい希望だ。この試合はルーカス・トロやモンカジョラといった非常に強度の高い中盤とのやりあいにはなるが、そんな中で彼らしいプレーを見せられるか。期待したい。
5、アトレティコvsヘタフェ
ホーム アトレティコは前節カンプ・ノウでバルサに完敗。2-4というスコア以上の差を感じる形での敗戦となってしまった。CL出場圏を争う上での6ポインターだったこのゲームを落としたことでチームは5位に転落。4位バルサとは勝ち点2とまだ1試合分以下の差ではあるが、ビジャレアル、ラ・レアルが勝ち点1差、アトレティックが勝ち点2差の所まで迫っており、この悪い流れが続くようならCL圏どころではなくなる可能性すらある。ドン引きしているのにも関わらず、ろくな対抗もできずにやられるというシーンが相次いでいる一方で、試合途中から見せるハイプレスからのショートカウンターは一応の成功を収めている。しかし、この形が90分続かないこともまた、バルサ戦の試合終盤で証明されており、それ以外の時間をどのように使うのかという点で、最低限の構築すらままならないシメオネに批判が集まるのは当然だろう。ただ歪な関係性にあるアトレティコとシメオネの間でシーズン途中の解任というのは無いことが予想される以上、何とかシメオネのもとCL圏を確保するための戦いが求められる。そのためにもホームで迎えるこの試合敗北は許されない。注目はコレア。
チーム構造においてろくな崩しのプランもない中で、コレアは今季8G4Aを早くも記録。出番も限られているなか、この数字は賞賛に値するだろう。個人戦術に長け、相手にとって危険なエリアをとることができ、更にそれが細かい密集したエリアであっても体の使い方の上手さや南米人らしいタッチでフィニッシュまで持っていくその能力は、選手のアドリブ任せになっている今のアトレティコの崩しにおいて欠かせないものだ。しかし、中々序列は安定せず、前節のバルサ戦でもベンチスタート。しかし、現状のアトレティコにおいて彼の活躍なくして、CL圏確保は不可能。このヘタフェ戦。アトレティコが誇るAngel👼の活躍に期待したい。
一方、アウェイのヘタフェは前節レバンテに3-0で勝利。金曜開催となったこの試合だったが、開始早々のエネス・ウナルのゴールをきっかけにレバンテを終始圧倒した。これで降格圏の18位カディスとの勝ち点差は8となり、残留争いから一歩抜け出したといっても良いだろう。キケ・フローレス就任後の好調さを考えれば、下よりも上を意識しても良い状態であり、勝ち点6差のトップ10入りも夢物語ではないだろう。キケ就任後セットした532の形は日に日に練度を増しており、得点面でも好調エネス・ウナルは既に9G、冬に加入したマジョラルもインパクトを残している。そして攻守において躍動するウルグアージョの両ラテラルもまた要の存在であり、現状の完成度でいえば、ワンダ・メトロポリターノであっても勝ち点3を持ち帰るだけの力は持っている。注目はダミアン・スアレス。
前述の通り、今のヘタフェは完成度勝負ならアトレティコ相手でも十分互角以上の戦いができるレベルにあり、故に差がついてしまうフェーズがあるとすればそれは個での勝負。ダミアン・スアレスはこの試合カラスコとのマッチアップが多くなることが予想される。現在のアトレティコにおいて一番の武器といってもいいカラスコ相手にダミアン・スアレスがどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。ここを抑えきることができれば勝ち点3奪取は大きく見えてくるはずだ。
6、アラベスvsバレンシア
ホーム アラベスは前節エルチェに1-3で完敗。前半こそ何とかリードで折り返したものの、後半早々に失点を許してからは一方的といえるような内容で敗れてしまった。これでメンディリバル就任以来の公式戦5試合未だ未勝利&3連敗中と非常に難しい状況に陥っており、残留圏内の17位マジョルカとは勝ち点6差と早くも残留に黄信号が灯りだしている。試合によってプレスの位置を変えたり、強度を変えたりなどメンディリバルも何か変化を加えようとはしているものの、たとえ良い形で奪えたとしても、その後の質が厳しく、結果ただ消耗するだけというような形が続いてしまっている。しかし、そんな中ホームで迎えるこの試合、残留のためには最低でも勝ち点1、できれば勝ち点3が欲しいところ。そこで注目したいのがペリストリ。
ユナイテッドからのローン2シーズン目を迎えている彼だが、ここまでスタメンはわずか6試合のみと出番は限られている。その原因として考えられるのが、守備強度の低さと選択肢の少なさ。まずアラベスが守備から入るチームである以上、ハイプレ時、ブロック時どちらにおいてもSHには高い守備意識と強度が求められる。この点においてペリストリはジェイソンやエドガルと比べると非常に厳しいと言わざるを得ない。更に肝心の攻撃でも課題は多い。昨季こそいくつかの試合では、良いドリブル突破を見せていたが、今季は対策の早いリーガの特徴の通り、完全に研究され、然るべき対策が打たれている。そして、彼はドリブル以外の選択肢が少なく、相手に実質的な脅威を与えられないのは大きな問題点だ。とここまで、ペリストリを批判する内容を欠いてきたが、最近ではもはや全くといっていいほど出番がない現状。南米予選ではスタメンとしてMOM級の活躍も見せており、成長に期待したいところ。ホセル、リオハ頼みの攻撃陣を活性化する意味でもペリストリの起用、活躍に期待したい。
一方、アウェイ バレンシアの前節はラ・レアル相手にメスタージャでスコアレスドロー。コパの影響もあってある程度ターンオーバーをして迎えた1戦だったが、ハイプレスが上手く機能しつつ、カウンターから良い形で裏を突くシーンもあり、レミーロの好セーブがなければ2点リードで勝っていたといっても良い内容だったと言える。冬の新戦力はチュメルトとモリバはまずまずのプレー内容というくらいだったが、ブライアン・ヒルは流石のパフォーマンス。得意のドリブルはもちろん、絶妙な位置取りからのスルーパスやタイミングのいい裏抜けなどでチームを牽引。ゲデス、ソレールがターンオーバーでいないこともあって、ほぼ1人で攻撃を成り立たせていたといっても過言では無いほどのプレー内容だった。この試合の注目はマキシ・ゴメス。
19-20の夏にセルタから加入した彼はここまで、10G、7Gとまずまずの成績を上げていたが、今季は未だ2Gにとどまっており、前線から強度の高い守備、そしてアスリート能力を生かしたカウンターというフットボールを志向するボルダラスの下で出番も限られている。そういった状況もあって来夏でのプレミア方面への売却が有力視されている彼だが、その実績が示す通り実力に疑いようはなく、まだ25歳と高いポテンシャルも備えている。コパとの両立の中、ターンオーバーを実行している今こそ、彼にとってはアピールどころであり、自らの価値を示すチャンス。試合を決めるゴールに期待したい。
7、レバンテvsベティス
ホーム レバンテの前節はヘタフェ相手に0-3で完敗。モラーレスとカンパーニャの2大中心を欠いたチームはヘタフェの532ブロックの前に為すすべなく敗れた。これで残留圏内の17位マジョルカとの勝ち点差は12となり、奇跡が起きない限り残留という目標達成は難しいだろう。とはいえ5シーズンにわたってプリメーラで戦い続け、その魅力的なフットボールで存在感を放ったレバンテがこのまま何もできず終わってしまうのは1リーガファンとしては望まないところであり、最後まで意地を見せた素晴らしい戦いを期待したいところだ。この試合の相手は絶好調ベティス。リーガ、コパでも躍進中のベティス相手に一泡吹かせることができるか。注目はやはりモラーレス。
前々節の無駄なイエローでヘタフェとの重要な1戦をスタンドから見守ることになってしまったレバンテの誇るコマンダンテ。今季も彼個人としてはここまで6Gと苦しームチームを何とか牽引しているが、結果に繋がっていないのが現状だ。1年間ローンでエイバルに出ていたとはいえ、カンテラからレバンテのために戦い続けたモラーレスにとって1つの区切りになるであろうこのシーズン。彼の雄姿を目に焼き付けたい。
一方、アウェイ ベティスの前節はビジャレアルに0-2で敗戦。開始早々から強度の高いハイプレスを仕掛けたものの、それを裏返される難しい展開となった。しかし、ミッドウィークのコパ準決勝1stレグvsラージョではアウェイ バジェカスの地で2-1での逆転勝利。試合全体を通してラージョの厳しいハイプレスの前にゲームを支配されたが、イグレシアスとカルバーリョの個の力での強引なこじ開けで、超難所バジェカスの地で先勝した。苦しい展開でも最少失点に抑え、プレーヤーの個人能力で得点をもぎ取り勝つ姿はレアル・マドリーすら彷彿とさせる。そして迎えるこの試合。コパでの疲労があるとはいえ、上昇傾向にあるバルサ、更にアトレティコ、ラ・レアル、ビジャレアルが迫っていることを考えても、最下位レバンテ相手に取りこぼしは許されない。注目はロドリ。
カナレスがコロナ感染により不在が続いている中、コパ準決勝では右SHに入ったのはルイバル。彼個人としては良いドリブル突破を見せるシーンもあったが、右サイドの攻撃全体を見ると、停滞感が否めず、ライン間で引き出して展開or決定的な仕事ができるタレントが求められる。そのタスクを期待したいのがロドリ。序盤戦ではスタメンとしてインパクトを残し、今季のセンセーショナルなスターとして一躍その名前を売った彼だが、カナレスの右SH定着とともに出番は激減。ペジェグリーニは彼の守備強度の低さを指摘するようで厳しい状況が続いている。カナレス不在の今、もう一度自らの存在価値を証明できるか。ロドリの活躍に期待したい。
8、レアル・ソシエダvsグラナダ
ホーム ラ・レアルは前節バレンシア相手に0-0のスコアレスドロー。ボルダラス率いる前線からの強度の高い守備にボール保持のフェーズから苦しみ、CBの裏を取られるなど決定的なピンチを何度も迎えた。レミーロがいなければ勝ち点1すら持ち帰ることはできなかっただろう。直近3戦無得点での勝利なしが続いているラ・レアル。これ以上の取りこぼしはCL圏確保に向けて許されないものであり、アノエタで迎えるこの試合は勝利が絶対条件となる。注目はイサク。
昨季、圧倒的なポテンシャルの高さと実績を見せつけ、夏冬問わずオフにはアーセナルを中心にあらゆるチームへの移籍報道があったイサク。とはいえ、今季は未だ4得点のみと、ケガの影響もあってベストコンディションとは言えず、昨季のような理不尽じみたスーペルゴラッソも中々見られていない。後半戦ラ・レアルの浮上、そしてCL圏獲得という夢に向かって彼の力は間違いなく重要。奮起に期待したい。
一方、アウェイのグラナダは前節レアル・マドリーに0-1で敗戦。相手がベンゼマ、ヴィニシウス不在だったとはいえ、特に前半は互角の戦いを見せており、攻め込まれた後半もマクシミアーノの大活躍でアセンシオのスーペルゴラッソまでは無失点を保ててはいた。しかし、直近は3連敗中&5試合未勝利と厳しい流れが続いており、順位も気づけば降格圏とわずか6pt差の16位と気の抜けない状況に陥っている。冬の補強でもアレソ、ウズニ、ペトロビッチといったタレントを補強したものの、いずれもラ・リーガでのプレー経験のない5大リーグ外からの未知数な選手たちであり、監督としての経験が浅いロベルト・モレノが1pt差を争うような厳しい残留争いになったとき、どれほどのリーダーシップを持てるかにも不安は残る。そのような不安を払拭し、できる限り残留争いに巻き込まれない位置をキープするためにも、この試合最低でも勝ち点1は持ち帰りたいところだ。注目はヘルマン。
チームを牽引するカピタンでもあるこのベテランCBは元来、不安定なプレーが多く信頼の置ききれない面があったが、ここ最近の試合では安定感あるプレーを披露。経験の浅く能力にもまだ不安があるトレンテの横で上手くコーチングをしつつ、個人としても質よ高いプレーを見せている。今後の終盤戦、こういったベテランの存在は各チームにとって重要なものであり、チームの中心として、プレー面、精神面の両方でヘルマンの存在意義は大きくなっていくはずだ。イサクorセルロートという強烈なデランテーロとのマッチアップが予想されるこの試合。トレンテとともに相手を封じ込めることができるか。期待したい。
9、エスパニョールvsバルセロナ
ホーム エスパニョールは前節アトレティックと対戦。新戦力ヴィレイナのゴールで先制こそしたものの、わずか15分の内に2点を返され敗北。RDTのいないことを考慮すれば、メレンドやプアド、ヴィレイナにダルデルなどテクニックを備えたプレーヤーたちを上手く組み合わせゴールに迫ったという評価もできるが、やはりRDTなしでは最後の局面で試合を決定づけることができないという引き続きの課題も残った。そんな中迎える2回目のバルセロナダービー。チャビの初陣となった1回目の対戦では、チャンスも数多く作りながら1-0で敗北。ホームで迎えるこの試合、シーズンダブルを許さないためにも、結果が求められる1戦だ。注目はヴィレイナ。
クラスノダールからローンで加入したヴィレイナは、前節スタメンデビューを果たすと、中間ポジションを上手くとりながら左のハーフスペースでボールを引き出しチャンスメイク。更に先制ゴールとなるエスパニョール初ゴールを挙げるなど、インパクトを残した。ヴィレイナの加入によって、メレンドやプアド、ニコに刺激心を与えるとともに、彼らの選択肢を広げてあげることにもなり、チーム全体にプラス材料をもたらすはずだ。バルサ撃破へ。彼がバルサの中盤相手にどのようなパフォーマンスを見せられるのか注目したい。
一方のアウェイ バルセロナの前節はアトレティコに4-2で快勝。これで順位もCL圏内の4位に浮上した他、冬の新戦力であるアウヴェス、フェラン、アダマ・トラオレの3人もインパクトを残し、批判の声も挙げられていたフレンキーやアルバも見事なパフォーマンスを見せるなど、チーム全体にとって非常に大きな勝ち点3となった。この勝利を無駄にしないためにも、勝ち点3が絶対条件のバルセロナダービー。この試合に向けての懸念点といえばやはりアウヴェスの欠場。前節素晴らしいパフォーマンスながらも、途中で退場となり、この試合ではサスペンションで欠場。ということで注目はその代役になるであろうデスト。
クーマンの下では一定の地位を築き、それなりの活躍を見せていたデストだったが、チャビ政権移行後は全く評価されておらず、一部ではチャビの「ポジショナルプレーを全く理解していない人がいる」という発言の対象がデストなのではという意見も出ており、冬には移籍リストに入っているとも。とはいえ、ミンゲサに信頼がおけず、セルジ・ロベルトが長期離脱中の今、デストの奮起は必要不可欠。ELのアウヴェス登録外も決まったことから、彼の出番は今後も必然と多くなる。そんな中で彼がチャビの信頼を勝ち取ることができるのか。注目したい。